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あのロックバンドやポップスターはいくら稼ぐ!?〜メガツアー歴代興行収入ランキング

2024.02.26

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ゼロ年代のネットカルチャー浸透やiTunesによる単曲ダウンロード。10年代に入るとスマホやSNSアプリの台頭、新たに定額制のストリーミングサービスも登場。あれだけ飛ぶようにCDが売れまくった90年代とは打って変わり、ベストセラーの量産がほぼ不可能(アデルは例外)となった今の時代。

印税収入が減少するミュージシャンにとって、「ツアーで稼ぐ」(ついでにグッズで稼ぐ)ことはもはや当たり前。70年代のツアーはレコードを売るための宣伝活動だったが、今ではツアーを成功させるための新作リリースのような逆転現象を起こしている。80年代のようにMTVがツアーの役割を果たしてくれた時代も懐かしい。

スター級のロックバンドやポップスターにとって、長期間に及ぶスタジアムやアリーナのツアーを実施するのは、人気を維持するために常に求められる華やかなイベントのようなものだ。そのツアー自体が巨大化したのは80年代に入ってから。ローリング・ストーンズの1981年の「American Tour」が最初だと言われている。

「生き残るための唯一の手段がツアーだ。レコードの印税でもろもろのコストをカバーするなんてできやしない。メガツアーは回し続けなきゃいけない機械のようなもんさ……俺たちがやってるのは小さなロンドンのクラブに出てた1963年とたいして変わってないけどな」(キース・リチャーズ)

「自分たちが客席から“蟻”のようにしか見えないことを意識するようになってね。観客を盛り上げるために、巨大なスクリーンにミックの姿を映したりしなければならなくなった。ショーの規模がこれだけ大きくなると、花火やら照明やら舞台やら、ちょっした“仕掛け”が必要になってくる」(チャーリー・ワッツ)


今回はメガツアーによって人気バンドやアーティストがどれだけ稼ぐのかをランキング化してみることにした。売り上げ、期間、公演数、動員数・・・そのスケールの大きさには驚くばかりだ。

──ここまでは2019年までの話。2020年のコロナの猛威により、そのツアーでさえ開催困難となった。そして2023年以降は再びツアービジネスが再開されている。
*2017年3月23日に公開された記事を最新データ(2024年2月21日)に更新したものです。

【ツアー収益歴代ランキング TOP 10】
❶テイラー・スウィフト「The Eras Tour」
10億3930万ドル
2023-継続中/60公演
❷エルトン・ジョン「Farewell Yellow Brick Road」 
9億3900万ドル
2018-2023/330公演/610万人動員
❸コールドプレイ「Music of the Spheres World Tour」
8億1000万ドル
2022-継続中/132公演/766万人動員
❹エド・シーラン「÷ Tour」
7億7620万ドル
2017-19年/255公演/880万人動員
❺U2「U2 360°Tour」
7億3642万ドル
2009–11年/110公演/727万人動員
❻ハリー・スタイルズ「LoveOn Tour」
6億1700万ドル
2021-2023/169公演
❼ガンズ・アンド・ローゼズ「Not in This Lifetime… Tour」
5億8420万ドル
2016-19年/158公演/537万人動員
❽ビヨンセ「Renaissance World Tour」
5億7980万ドル
2023/56公演/278万人動員
❾ローリング・ストーンズ「A Bigger Bang Tour」
5億5825万ドル
2005–07年/147公演/468万人動員
❿ローリング・ストーンズ「No Filter Tour」
5億4651万ドル
2017-21年/58公演/287万人動員

【1980年代】
①ピンク・フロイド「A Momentary Lapse of Reason Tour」
1億3500万ドル
1987–89年/197公演/550万人動員
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②マイケル・ジャクソン「Bad」
1億2500万ドル
1987–89年/123公演/450万人動員
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③ローリング・ストーンズ「Steel Wheels Tour」
9800万ドル
1989年/57公演/327万人動員
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④ブルース・スプリングスティーン「Born in the U.S.A. Tour」
9000万ドル
1984–85年/156公演/390万人動員
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⑤デヴィッド・ボウイ「Glass Spider Tour」
8600万ドル
1987年/86公演/300万人動員
Never-Let-Me-Down
(補足)
6位以下には、『スリラー』で人気絶頂の中にいたマイケルが参加したジャクソンズの「Victory Tour」(1984年)、メガツアーの先駆けとなったローリング・ストーンズの「American Tour」(1981年)など。
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【1990年代】
①ローリング・ストーンズ「Voodoo Lounge Tour」
3億2000万ドル
1994–95年/129公演/634万人動員
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②ローリング・ストーンズ「Bridges to Babylon Tour」
2億7400万ドル
1997–98年/108公演/480万人動員
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③ピンク・フロイド「The Division Bell Tour」
2億5000万ドル
1994年/110公演/600万人動員
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④U2「PopMart Tour」
1億7167万ドル
1997–98年/93公演/394万人動員
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⑤マイケル・ジャクソン「HIStory World Tour」
1億6500万ドル
1996–97年/83公演/450万人動員
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(補足)
6位以下には、再結成したイーグルスの「Hell Freezes Over Tour」(1994–95年)、カントリー界のスーパースターとしてCDを売りまくったガース・ブルックスの「World Tour」(1996–98年)、ジャネット・ジャクソンの「Rhythm Nation 1814」(1990年)など。


【2000年代】
①ローリング・ストーンズ「A Bigger Bang Tour」
5億5825万ドル
2005–07年/147公演/468万人動員
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②マドンナ「Sticky & Sweet Tour」
4億1100万ドル
2008–09年/85公演/354万人動員
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③U2「Vertigo Tour」
3億8904万ドル
2005–06年/131公演/462万人動員
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④ポリス「The Police Reunion Tour」
3億6200万ドル
2007–08年/156公演/330万人動員
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⑤ローリング・ストーンズ「Licks Tour」
3億1100万ドル
2002–03年/115公演/347万人動員
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(補足)
6位以下に、セリーヌ・ディオンの「Taking Chances Tour」(2008–09年)、シェールの「Living Proof:The Farewell Tour」(2002–05年)、ボン・ジョヴィの「Lost Highway Tour」(2007–08年)、ブリトニー・スピアーズの「The Circus」(2009年)など。
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【2010年代】
①エド・シーラン「÷ Tour」
7億7620万ドル
2017-2019年/255公演/880万人動員

②U2「U2 360° Tour」
7億3642万ドル
2009–11年/110公演/727万人動員
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③ガンズ・アンド・ローゼズ「Not in This Lifetime… Tour」
5億8420万ドル
2016-2019年/158公演/537万人動員

④コールドプレイ「A Head Full of Dreams Tour」
5億2303万ドル
2016-17年/114公演/539万人動員

⑤ロジャー・ウォーターズ「The Wall Live」
4億5867万ドル
2010–13年/219公演/413万人動員

(補足)
6位以下に、AC/DCの「Black Ice World Tour」(2008-10年)、ピンクの「Beautiful Trauma Tour」(2018-19年)、ガース・ブルックス&トリーシャ・イヤーウッドの「The Garth Brooks World Tour with Trisha Yearwood」(2014年)、ブルース・スプリングスティーン&ザ・Eストリート・バンドの「Wrecking Ball World Tour」(2012年)、ポール・マッカートニーの「Out There」(2013–15年)、ビヨンセの「The Formation World Tour」(2016年)、テイラー・スウィフトの「The 1989 World Tour」(2015年)、レディー・ガガの「The Monster Ball Tour」(2009-11年)など。
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*コメント引用/『ザ・ローリング・ストーンズ 50』(ヤマハミュージックメディア)、『ローリング・ウィズ・ザ・ストーンズ』(ビル・ワイマン著/小学館プロダクション)


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