街の歌

Sweet Virginia〜70年代のストーンズが生み出した“味わい深い”ワインのような歌〜

2016.04.10

Pocket
LINEで送る


Wading through the waste stormy winter
荒れ果てた厳しい冬を切り抜けてきた
And there’s not a friend to help you through
手を貸してくれる友達さえ一人もいない
Trying to stop the waves behind your eyeballs
目の玉の裏のチラつきを止めようとした
Drop your reds, drop your greens and blues
赤も緑も青も ぜんぶ捨ててしまえ

Thank you for your wine, California
カリフォルニアよ ワインをありがとう
Thank you for your sweet and bitter fruits
甘くほろ苦い果物をありがとう
Yes I got the desert in my toenail
俺の足の爪には広大な砂漠
And I hid the speed inside my shoe
俺の靴の中には“スピード”を隠している

But come on, come on down Sweet Virginia
おいで ここにおいでよ 可愛いヴァージニア
Come on, honey child, I beg of you
ねぇ頼むからここに来ておくれ
Come on, come on down, you got it in you
さぁ ここにおいで
Got to scrape the shit right off you shoes
靴にこびりついた汚れを落としてやるからさ


ミック・ジャガーの印象的なハーモニカフレーズによるイントロから始まるこのアコースティックナンバーは、70年代のストーンズが生み出した数ある名曲の中でも特に“味わい深い”一曲と言われている。
一般的には「カントリーテイストの楽曲」と紹介されがちだが、特にキース・リチャーズのギタープレイをじっくり聴き込んでみると、ライ・クーダーに大きな影響を与えたことでも知られる“伝説のブルースマン”ブラインド・ブレイクの代名詞ともいえるラグタイム奏法に近いニュアンスを感じとることができる。
また、力の抜けた歌唱やボビー・キーズのサックスソロからはアメリカ南部の音楽をルーツとするスワンプロックのテイストを、そしてサビのコーラスのからはゴスペルの雰囲気を味わったりもできる一曲なのだ。

この楽曲が収録されているアルバム『Exile on Main St.(メイン・ストリートのならず者)』は1972年にリリースされたもので、発表当初は批判的な評価を受けたが、現在では“ロック史上優秀なアルバムの一つ”と評され、アメリカでは300万枚以上を売り上げている。
一曲目の「Rocks Off」からラストを飾る「Soul Survivor」までの楽曲構成は“ゴッタ煮のシチュー”と表現されることもあるほど多彩でありながら、彼らの音楽的な“根っこ(ルーツ)”がしっかりと張り巡らされた作品となっている。
同アルバムでは「Tumbling Dice(ダイスを転がせ)」「Shine a Light(ライトを照らせ)」「Happy」など、今や彼らのコンサートでは欠かせないヒットナンバーが並ぶ中、この「Sweet Virginia」もまたファンの間では人気の高い名曲として知られている。

virginia-wine-cork_iagoxz

ところで、この曲のサビのフレーズ(歌詞)やタイトルから連想せずにはいられない“ヴァージニア産のワイン”にはどんな歴史があり、どんな味わい深さがあるのだろう?
まず、今や世界中で愛されているカリフォルニア州産のワインは、この楽曲が生まれた1970年代に国際的な評価を得たと言われている。
以来、アメリカのワイン業界は着実に成長し進化の一途を辿ってきた。
一般的にアメリカのワインといえば“カリフォルニア産”を想像する人が大多数だろうが、実はヴァージニア州は「カリフォルニア州」「オレゴン州」「ワシントン州」「ニューヨーク州」に続き第5番目のワインの産地として知られているのだ。
ヴァージニア州のワインの栽培地域は3000エーカー(東京ドーム1000個分)と広大で、ワイナリーが250以上もあり年間100万人以上がワインツアーなど訪れているというから驚きだ。

american-wine-regions

ヴァージニア州のワイン作りの歴史は、イギリスの植民地時代にさかのぼると言われている。
また、ここ30年くらいでヴァージニア州でのワイン作りが急成長したことにアメリカのワイン産業界は「次なる目玉!」として大きな注目をしているという。
ヴァージニア州では積極的に様々なぶどうの品種を取り入れており、カヴェルネソーヴィニヨン、メルロー、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランといった代表的な品種以外にも、アメリカ固有のノートン、古くはローマ時代からあったといわれるヴィオニエ、フランスのタンナ、スペインのフェール・セルヴァドゥー、ポルトガルのティント・カンやトゥリガ・ナシオナル、南アフリカのピノタージュなどなど、実に70種類以上のぶどう品種がワイン作りのために栽培されている。
ワイン製造者も「フランス」「カナダ」「ドイツ」「ギリシャ」「イタリア」「レバノン」「ポルトガル」「南アフリカ」「トルコ」など様々な国からヴァージニア州に移り住んできており、こうした多様性がヴァージニア産ワインの味に“深みと広がり”を与えていると考えられている。

2DZ_424786_249111115180018_1716377016_n

カントリーやブルース、ラグタイムやスワンプロックのテイスト、そしてゴスペル風なコーラスなど多様性を持ちながら“深みと広がり”を感じさせるこの「Sweet Virginia」は、まさに芳醇なヴァージニア産ワインのような名曲だ。
陽気のいい日にドライヴしながら聴くもよし。
ちょっと疲れた気分のときに、いつか行ったバカンスの地を思い出しながら聴くもよし。
そして何といっても酒場で気のおけない仲間とグラスを傾けながら聴くにはもってこいの“酒呑みソング”としておすすめしたい楽曲である。



■こちらの記事もこの機会にぜひお読みください♪
【キース・リチャーズ〜“逃亡先”で生まれた最高傑作】
http://www.tapthepop.net/story/6849


220px-ExileMainSt
ローリング・ストーンズ『Exile on Main St.』
(1972)

Pocket
LINEで送る

スポンサーリンク

関連アーティスト

関連するコラム

[街の歌]の最新コラム

このコラムへの感想・コメントを書く

Pagetop ↑