TAP the NEWS

人間の証明のテーマ〜ジョー山中の歌声を世に知らしめた運命の一曲〜

2017.04.02

Pocket
LINEで送る


Mama, Do you remember the old straw hat you gave to me
I lost the hat long ago, flew to the foggy canyon Yeh
Mama, I wonder what happened to that old straw hat
Falling down the mountain side, out of my reach like your heart

Suddenly the wind came up
Stealing my hat from me Ah
Swirling whirling gusts of wind
Blowing it higher away

Mama, that old straw hat was the only one I really loved
But we lost it, no one could bring it back like the life you gave me

Suddenly the wind came up
Stealing my hat from me
Swirling whirling gusts of wind
Blowing it higher away

Mama, that old straw hat was the only one I really loved
But we lost it, no one could bring it back
like the life you gave me
like the life you gave me


1975年、角川書店が編集するエンターテインメント小説誌『野性時代』で森村誠一が手掛けた『人間の証明』という作品が連載され大きな注目を集めた。
第3回角川小説賞を受賞したそのベストセラー長編推理小説は、後に映画やテレビドラマが製作され、一般にも広く知れ渡る名作となった。
1977年8月にリリースされたこの「人間の証明のテーマ」は、同年公開の映画『人間の証明』の主題歌で、ジョー山中が歌ったもので、作曲は大野雄二、作詞は詩人・西條八十が書いた原詩を元にジョー山中が英語詞を担当。
オリコンチャート2位を獲得し、約51.7万の売り上げを記録したヒットソングである。
当時、音楽関係者にとってジョーが売れてスター歌手となったことは、まさに“晴天のヘキレキ”だったという。
実力派ロックシンガーとして知られていた彼に対して誰もが「素晴らしい歌手だけれども売れることは難しい」と思っていたからである。
ジョー山中といえば1969年にフラワートラベリンバンドを結成し、翌1970年にはカナダに渡り“日本初の海外進出バンド”として注目を集めていた。
同バンドのアルバム『SATORI』は、カナダの音楽チャート8位を記録するなど、まさに“快挙”を達成。
その後、帰国してからは日本のロックの黎明期をリードする存在となる。
その実力は群を抜いていたものの…当時、日本ではまだロックをビジネスとして成立させるには難しく、バンドは1973年に解散してしまう。
翌1974年からジョーはソロ名義で再スタートを切る。
しかし、フォーク全盛の時代に彼のような“筋金入り”の英語詞ロックが受け入れられることはなかった。
フラワートラベリンバンド時代の素晴らしい功績は彼のプロフィールを逆にしめつけることとなり…いつしか“伝説のボーカリスト”“3オクターブの声の持ち主”というフレーズだけが彼の存在を表すようになる。
そのまま神格化されてロック史の中に封じ込められるだろうと誰もが思っていた矢先に、彼はこの作品と出会い陽の目を見ることとなる。
ところが「人間の証明のテーマ」のヒット中に、彼は大麻取締法違反容疑で逮捕され…結局、世間は彼がこの歌をテレビで歌う姿を目にすることはなかった。

母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ

母さん、あれは好きな帽子でしたよ
僕はあのときずいぶんくやしかった
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから

母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね
紺の脚絆に手甲をした
そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね
けれど、とうとう駄目だった
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの

母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍らに咲いていた車百合の花は
もうとうに枯れちゃったでせうね、そして
秋には、灰色の霧があの丘をこめ
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ

母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは
あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と
その裏に僕が書いた
Y.S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく

(原詩:西條八十)


<参考文献『フォーク名曲事典300曲』/富澤 一誠(ヤマハミュージックメディア)>


Pocket
LINEで送る

スポンサーリンク

関連アーティスト

関連するコラム

    関連記事が見つかりません

[TAP the NEWS]の最新コラム

このコラムへの感想・コメントを書く

Pagetop ↑