TAP the SONG

15年の歳月を経て完成した映像、スーパー・ジャンキー・モンキー「We’re the Mother(私たちはこの世界の母親)」

2015.12.18

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スーパー・ジャンキー・モンキーの「WE’RE THE MOTHER」には、時代を超えて現在を撃つ根源的なメッセージが込められていた。

古さを感じさせない哲学的ライム、人間の極限に迫っていくような激しい演奏によるハードコアな世界、そこから見えてくる現実社会への真っ直ぐな問いかけ。

高橋睦と作詞家Tim Jensenの共作による歌詞は、21世紀の現在を先取りするものだった。

「WE’RE THE MOTHER」

のがれられない
見て見ぬふりをしているが
いつになったら変わるのか
有無も言わさず仕方のないまま
救いの手を差し延べることもできず
ただこの状況に対応するだけ

私たちは知らない
誰がそれを作り上げたのか
誰が正誤を決めたのか
あたり前はあたり前ではない
立ちあがる彼女は数えきれない
それでも何もなされなかった
男のものさしで苦闘は強いられる
彼らだけの手によって
私たちなど物の数じゃないとでもいうように
彼らはただ押さえつけているだけ
力を力で

エゴイズム ナルシズム 単細胞人間
心理的暴力 美しき抑圧
抑圧 抑圧 甘き抑圧

私たちはこの世界の母親
私たちはこの世界の母親

(訳詞:Mutsumi/沼崎敦子)



シャウトする高橋睦、トリップするかのように鳴り響くギター、それを支えているのは男性顔負けの強力なドラム、そして最年少のしのぶが変化自在のベースを弾く。

4人にしかできない究極の表現がそこにはあった。
だから1999年に高橋睦が亡くなったことで、バンドの活動が完全に止まったのは当然のことだ。
バンドは解散もメンバーチェンジもなく、ただ止まったままに置かれた。

新しい動きが出たのは2009年、3人が集まって11年ぶりにSJMのライヴが行われた。

ギターKEIKO

現在はアメリカに住んでいるギターのKEIKOが、来日して参加したライブをこう振り返っている

どんな感情が渦巻くのかと思ったけれど、ステージに立った途端にフーっと落ち着いた。
何年、何十年経とうが、このメンバーでステージに立つと、母親の子宮に戻ったが如く、
「何処よりも解けこめる場所」である事を再確認。ああ、帰ってきたんだな、という感覚。

睦のいないSJMの復活はないが、ずっと変わらない、変わる事のない永久不変なもの。
SJMは私の心の宇宙、宝物。そのパワーは永遠。

何年か後、娘が言葉が理解出来るようになったら、伝えよう。
Mommyにはこんな素晴らしい仲間、大切なもうひとつのファミリーがいるんだよって。

(Super Junky Monkey KEIKO)


SMJドラム

ベースのしのぶ

ベースのかわいしのぶは現在、大友良英&「あまちゃん」スペシャルビッグバンドなどでも活動しているが、「かわいしのぶって誰?って聞かれたときには、SUPER JUNKY MONKEYのかわいしのぶ」と答えている。

10年ぶりにライブをやったことは自分にとっても衝撃で「そうか、こういうことだったんだ!」と改めて自分たちのやっていたことがわかったんです。
だから今こうしてライブができることによってSUPER JUNKY MONKEYが「過去のバンド」じゃなくなって欲しいという気持ちがあります。


メモリアルライブの成功によってスーパー・ジャンキー・モンキーは、翌年にはフジロックにも出演したが、それからまたしばらくライブが行われない状態が続いた。

しかし昨年デビュー20周年を迎えたことをきっかけに、2015年の12月25日に再びイベントを開催することが決まった。

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そこに発表されたのが完全版の映像「We’re the Mother(私たちはこの世界の母親)」だ。  

もともとは1999年2月に高橋睦が亡くなったあと、5月にリキッドルーム(新宿)で行われたトリビュート・イベントのライブなどが、音楽専門チャンネルで放送された時に制作された。
ミュージック・ビデオに日本語の対訳を乗せたが、時間の都合で前奏と間奏、後奏がカットされた作品だ。


リキッドルーム(恵比寿)で開かれるイベントに向けて、「一から作り直しちゃおうかな」と思いたったのは、映像ディレクターの吉野達哉。
アナログのベータカムの原版をもとにして、画の方にもモノクロ画面の追加、
スロー処理の追加、色味の修正、画質などの手を入れて完成させた。


音もデジタル原版から取り込み直し貼り直しました。
ちょっと自分好みにマスタリングさせていただきました。
MVの制作から20年を経て。放送から15年を経て。全尺版が、やっと日の目を見ました~。
ちなみに、これ、静岡は焼津の睦さんの実家近く、小川港で撮影。

埠頭に、でっかい船のエンジンが置いてあったのさ、
撮影場所、あ、ここ、ぜったい、ここ、って感じでした!

楽しい撮影だったな~~、きつかったけど。
しばらくして現場行ったら、きれいさっぱりエンジンが無かった。

きつねにつままれた、というか、睦につままれた、って感じでした。
(吉野達哉)


15年の歳月を経て完全版が正式に公開された「We’re the Mother(私たちはこの世界の母親)」は、すぐれた作品というものは、過去のものではなく”変わることのない永遠なるもの”だと思わせる。

この映像作品でスーパー・ジャンキー・モンキーもまた、”過去のバンド”ではないことが知られはじめていくことを期待したい。



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