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A Place in the Sun〜黒人たちに希望をあたえたスティーヴィー・ワンダーの歌声

2023.05.24

あの東日本大震災から二年後のことだった。日本車(トヨタ) のシリーズCM“Re BORN”に、スティーヴィー・ワンダーの名曲が起用された。希望に満ちたそのメロディーをバックに、織田信長に扮した木村拓哉と、豊臣秀吉に扮した北野武がこんな会話を交わす。

キムタク(信長)「ところで俺たち何で東北走ってるんでしたっけ?」
たけし(秀吉)「何でだろうなぁ?でも道がつながってるから来れたんだよな」
キムタク(信長)「え?」
たけし(秀吉)「震災の時は道が途切れて来たくても来れなかったもんな」
キムタク(信長)「そうっすね…。俺達がこうやって東北を走ってるって、治り始めた体に新鮮な血液を流すみたいなことなんすかね」
たけし(秀吉)「それにさ、楽しいだろ?知らない土地行くのって」

この「A Place in the Sun(太陽のあたる場所)」は、まだ16歳だったスティーヴィー・ワンダーが1966年に発表した曲だ。11歳でモータウンと契約して、12歳で“盲目の天才少年”としてデビューした6枚目のスタジオアルバム『Down to Earth』の1曲目に収録されたリードソングである。

シングルカット盤は全米ポップ・チャートで9位、R&Bチャートでは3位を記録し、スティーヴィーの初期作品を代表するヒット曲となった。
自作曲の多いスティーヴィーだが、この楽曲はロン・ミラーとブライアン・ウェルズというモータウン所属の“黒人系ではない”ソングライターが手掛けたものである。

スティーヴィーは、この歌を発表する前年にボブ・ディランの「Blowin’ In The Wind(風に吹かれて)」をカヴァーして、全米ポップ・チャートで9位、R&Bチャートでは堂々1位を獲得している。
1963年に発表されたこの「Blowin’ In The Wind(風に吹かれて)」は、ディラン本人の意図は別として、当時アメリカの黒人(アフリカ系アメリカ人)が公民権の適用と人種差別の解消を求めて行った“公民権運動”のシンボルソングとして広く知られるようになった。

同じ時代背景の下で発表されたこの「A Place in the Sun(太陽のあたる場所)」も、不平等な扱いを受けていた多くの黒人たちに希望を与える歌となった。当時、日本のレコード会社が(勝手に!?)カップリングして発売したシングル盤「太陽のあたる場所/風に吹かれて」は、現在入手困難な“レア盤”となっているという。

太陽のあたる場所。それは生まれた国や肌の色によって変わってはいけないもの。あの大震災を経験した東北は、一歩一歩復興への道を歩んできた。原発事故を経験したあの場所はどうだろうか?

今あらためて耳を傾けると、名曲と言われるこれらの歌が、様々な問題を抱えながら生きる我々に、大切なことを教えてくれるような気がする。


スティーヴィー・ワンダー『the definitive collection』

スティーヴィー・ワンダー『the definitive collection』

(2007/ユニバーサルミュージック)


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