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止めて
愛の名において
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「お願いだから、やめて」というような意味の言葉を仰々しく表現したシュープリームスの「ストップ・イン・ザ・ネーム・オブ・ラブ」は、1965年の3月27日、チャートのナンバーワンに輝き、彼女たちの代表曲となっただけでなく、数々のカバーヒットを生み出すことになる。
この曲の作詞作曲は、モータウンが誇るヒット・メーカー、ホーランド・ドジャー・ホーランド。エディー・ホーランド、ラモント・ドジャー、ブライアン・ホーランドのトリオである。だが、この曲に関しては、ラモント・ドジャーの痛い体験が下敷きになっている。
ソングライター・チームとして多忙な毎日を過ごしていたドジャーだが、お遊びの方も忘れてはいなかった。
その日、スタジオでの仕事が終わると、彼は「お相手」を「ノーテル・モーテル(No-Tell Motel)に連れ込んだ。ノーテル・モーテルとは、第3者と会って、会話する危険のないモーテル、いわゆるラブ・ホテルのことである。ドジャーにはステディなガールフレンドがいたが、お相手は当然、彼女以外の女性だった。
モーテルに入り、ドジャーはお相手にシャワーを浴びさせる。
その時だった。
モーテルのドアを激しくノックする音がした。
「開けて!開けなさい!」
彼女は、そう叫びながら、ドアをノックし続けた。
ドジャーは、急いでお相手をバスルームの窓から脱出させ、落ち着いたふりを装いながら、ドアを開けた。
「ラモント、あなた、私を騙してたのね」
彼女は言った。
「誤解だよ」と、ドジャーは弁明した。スタジオ作業で疲れたから、ちょっと休もうと思っただけだ、と彼は説明したが、もちろん、彼女がそんな彼の言葉を信用するわけがなかった。
「もう、いい。別れましょ」と、彼女は言った。
「ちょっと待ってくれ(ストップ)」と、ドジャーは言った。そして次の言葉が口をついた。
「愛の名のもとに(イン・ザ・ネイム・オブ・ラブ)」
だが、彼女はそのまま彼の前から去っていった。
翌日、スタジオでブライアン・ホーランドがピアノでスローなメロディを弾いていた時のことである。
「もう少し、テンポを上げてくれないか」と、ドジャーは言った。そしてテンポの上がったピアノのメロディに合わせて、前の日、彼の口から出たフレーズを乗せてみたのである。
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ストップ
イン・ザ・ネーム・オブ・ラブ
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そこからチームは、この曲を完成させていき、大ヒットさせたわけだが、この曲が1日中ラジオから流れるようになってすぐ、ドジャーの元を去っていった彼女は再び、彼のところに戻ってきたのである。
愛の力が強いのか。
曲の力が強いのか。
やはり、売れた、からなのか?