Billboard R&B/Hip-HopチャートにおけるNo.1アルバムの軌跡
「TAP the CHART」第80回
公民権運動とシンクロしながら「ソウル」が全盛期を迎えていた60年代半ば。アメリカのBillboardはブラック・ミュージックに特化した「R&Bアルバムチャート」をスタートさせた。70年代の「ファンク」や「ニューソウル」、後半の「ディスコ」期を経て、80年代には「ブラック・コンテンポラリー」や「ニュージャックスウィング」などでブラック・ミュージックは過去の流れを総括。90年代には新たに「ヒップホップ/ラップ」が主流になっていく。
同時期、ロックの世界でも「オルタナティヴ」の流れがメインストリーム化してしまうという逆転現象が起こったが、ブラック・ミュージックの世界でも似たようなことが起こっていたのだ。その後、R&B(リズム・アンド・ブルーズ)は「アール・アンド・ビー」と呼ばれるようになり、ヒップホップとシンクロしながら新世代のアーティストを量産。2013年以降、「R&B/Hip Hopチャート」と名を変えて発表されるようになった。
ロック同様、このあたりから動向が分からなくなった(興味が薄くなった)人も少なくないと思うので、今回は1965年に始まったR&Bのアルバムチャートより、現在まで歴史や記録を作ってきたスターたちを簡単に紹介していこう。(*2023年1月5日に最新データに更新しました)
【ALL-TIME TOP R&B ALBUMS】*R&BのアルバムチャートでNo.1を獲得したタイトルのうち、15週以上のもの。
①37週/『Thriller』マイケル・ジャクソン(1982)
やはりここでもマイケルは強かった。世界で最も売れたアルバムでもある。
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②29週/『Please Hammer, Don’t Hurt ‘Em』M.C.ハマー(1990)
ラップを取り入れてベストセラー化。リック・ジェームスの「Super Freak」をサンプリングした「U Can’t Touch This」などが大ヒット。日本でも話題になった。
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③26週/『Just Like the First Time』フレディ・ジャクソン(1986)
85年のデビュー曲「Rock Me Tonight」でその名を永遠にR&B史に刻んだ男のセカンド。
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④23週/『Can’t Slow Down』ライオネル・リッチー(1983)
コモドアーズ時代より大きな成功を収めたバラディアー。ベストセラー化したのが本作。
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⑤20週/『Street Songs』リック・ジェームス(1981)
一時期はマイケルよりも勢いのあったファンク・スター。ヒップホップへの影響大。
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⑤20週/『Songs in the Key of Life』スティーヴィー・ワンダー(1976)
70年代の黒人音楽の頂き的存在。キャリア史上で最もヒットしたのが本作。
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⑦19週/『Purple Rain』プリンス(1984)
80年代のプリンスは革命だった。彼の名が世界へ広まったのは紛れもなく本作。
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⑧18週/『Bad』マイケル・ジャクソン(1987)
ポップチャートでも本作からNo.1ヒットが連発した。
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⑧18週/『The Temptations Sing Smokey』テンプテーションズ(1965)
モータウンでミラクルズとともにコーラスグループの魅力を伝えてくれたのが彼ら。
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⑩17週/『Aretha Now』アレサ・フランクリン(1968)
ソウル界の生ける伝説の一人。アレサを聴き始めるのならこの時期から。
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⑪16週/『Recovery』エミネム(2010)
白人でのエントリー。ゼロ年代最大のスーパースター。
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⑪16週/『Off The Wall』マイケル・ジャクソン(1979)
マイケル伝説の序章が本作。
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⑪16週/『Lady Soul』アレサ・フランクリン(1968)
アレサの名盤の一つ。
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⑭15週/『Puzzle People』テンプテーションズ(1969)
ブラック・ミュージックのチャートで、No.1アルバム数が最も多いのは彼らだ。
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【TOP R&B ARTISTS】*R&BのアルバムチャートでNo.1の獲得枚数が6枚以上あるアーティストを対象。
17枚/テンプテーションズ
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14枚/ジェイ・Z
凄まじい勢いでNo.1アルバムを量産するラッパー。妻ビヨンセと「世界で最も稼ぐ影響力のある夫婦」を継続中。
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14枚/ドレイク
最も人気の高いカナダ出身のラッパー。凄まじい勢いで記録を塗り替えている。
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13枚/フューチャー
ジョージア州出身の人気ラッパー。
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12枚/R・ケリー
「アール・アンド・ビー」を代表するシンガーだったが、2022年に禁錮30年の有罪判決を受けた。
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11枚/エミネム
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11枚/カニエ・ウエスト
従来のヒップホップのイメージを変えたラッパー。
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10枚/アレサ・フランクリン
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10枚/スティーヴィー・ワンダー
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10枚/メアリー・J・ブライジ
90年代前半に「ヒップホップ・ソウル」で新時代の到来を告げた実力派女性シンガー。
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10枚/リル・ウェイン
ニューオーリンズ出身の人気ラッパー。
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9枚/アイズレー・ブラザーズ
50年代から時代の変化を取り入れながら活動を続ける伝説のグループ。
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9枚/マイケル・ジャクソン
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9枚/ルーサー・ヴァンドロス
ブラコンの実力派シンガー。
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9枚/ナズ
ニューヨーク出身の人気ラッパー。
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8枚/マライア・キャリー
90年代に驚異的な成功を収めた元祖セレブ系歌姫。
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8枚/ビヨンセ
デスティニーズ・チャイルドはもはや過去。クオリティを維持し続けるスーパースター。
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8枚/ゲーム
西海岸出身のギャングスタ・ラッパー。
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8枚/クリス・ブラウン
ヴァージニア州出身の人気シンガー/ラッパー。
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7枚/シュープリームス
モータウンの看板娘的存在となった女性グループ。ダイアナ・ロスが在籍。
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7枚/マーヴィン・ゲイ
ニューソウル永遠の名作『What’s Going On』もいいが、遺作『Midnight Love』も素晴らしい。
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7枚/ジャネット・ジャクソン
マイケルの妹として有名になったが、次第に個性を確立。80年代後半〜90年代前半の一大ダンスブームのシンボル的存在。
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7枚/2パック
ラッパーとは現代のブルーズマンだ。ギャングスタ東西抗争でこの世を去った伝説のラッパー。
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7枚/アリシア・キーズ
ベートーヴェンのピアノが衝撃的だったデビュー作以来、ブラック・ミュージックを牽引し続ける一人。
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7枚/DMX
ニョーヨーク出身の人気ラッパー。2021年4月、50歳没。
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7枚/T.I.
アトランタ出身のラッパー。「南部のジェイ・Z」とも言われる。
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7枚/ザ・ウィークエンド
カナダ出身の人気シンガー。
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6枚/アイザック・ヘイズ、アル・グリーン、グラディス・ナイト、バリー・ホワイト、アース・ウィンド・アンド・ファイアー、プリンス、キース・スウェット、スヌープ・ドッグ、リック・ロス、J.コール
ジョエル・ホイットバーンに捧ぐ
Joel Whitburn (1939–2022)
(シングル編はこちら)
No.1シングル1942-2017〜ブラック・ミュージックのスーパースターたち
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