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No.1アルバム1964-2017〜カントリー音楽のスーパースターたち(2024年2月更新)

2024.02.26

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BillboardカントリーチャートにおけるNo.1アルバムの軌跡


「TAP the CHART」第78回

日本ではそのあまりにも“アメリカ的なイメージ”が強いこともあって、いまいち馴染みの薄いカントリー・ミュージック。だがロックファンにはすでに60年代後半〜70年代前半のカントリー・ロックでその魅力と重要性は伝わっているし、近年ではテイラー・スウィフトの人気で、実は知らずに普段からカントリーを耳にしていることも多い。今回は1964年1月にスタートしたBillboardのカントリーアルバムチャートから、歴史や記録を作ってきたスターたちを簡単に紹介していこう。(*2024年2月25日に最新データに更新しました)

【ALL-TIME TOP COUNTRY ALBUMS】*カントリーのアルバムチャートでNo.1を獲得したタイトルのうち、20週以上のもの。


①98週/『Dangerous: The Double Album』モーガン・ウォレン(2021)
プライベートでの差別用語発言を動画でスクープされ、それを機にレコーディング契約を失い、ラジオ局では放送禁止になる騒ぎになりながらも、チャート上では歴史的な成功を収めたストリーミング時代の新スター(1993年生まれ)。この2作目は現在も首位最長記録を更新中。一体どこまで記録を伸ばすのか。まさかの100週も見えてきた。*数字は2023年3月11日付までの記録。3月18日付では3作目の『One Thing at a Time』が首位に立った。

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②50週/『Come On Over』シャニア・トゥエイン(1997)
すべての音楽ジャンルの女性アーティストの中で世界最高の売り上げを記録したアルバムが本作。カントリーの枠を超えて幅広い層に受けた。AC/DCやデフ・レパードの仕事で知られる当時の夫ロバート・ジョン“マット”ランジの存在も大きいが、やはり彼女の歌声や魅力が認められたのだ。驚くことにカントリーチャートで1年近くもNo.1を独占。

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②50週/『This One’s for You』ルーク・コムズ(2017)
1990年生まれ。ストリーミング時代のカントリー界の新スターによるメジャー・デビューアルバム。男性アーティストとして長い間破られていなかったランディ・トラヴィスを遂に超えて、首位最長記録を更新した(その後モーガン・ウォレンが更新)。セカンドも大ヒット。

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④43週/『Always & Forever』ランディ・トラヴィス(1987)
1986年、カントリー界に突如登場したネオ・トラディショナリスト。ドワイト・ヨーカムと並んで、久しぶりに現れた若い正統派のシンガーだった。本作は彼の代表作として知られる。

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⑤41週/『No Fences』ガース・ブルックス(1990)
1989年のカントリー界は未来の4人のスターの登場に歓喜した。クリント・ブラック、アラン・ジャクソン、トラヴィス・トリット、そしてこのガース・ブルックス。そんな彼が大化けしたのがこのセカンド。カントリーのみならずポップチャートでも上昇。全米だけで1000万枚以上を超えるセールスを記録した。90年代に最もCDを売りまくったアーティストでもある。一時期キャリアを引退したが、見事復活した。

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⑥40週/『One Thing at a Time』モーガン・ウォレン(2023)

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⑦37週/『What You See Is What You Get』ルーク・コムズ(2019)

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⑧36週/『Fly』ディクシー・チックス(1999)
政治的な発言で賛否両論を呼び、全米規模の大論争になったこともある彼女たち。エミリー・ロビソン、マーティ・マグワイア、ナタリー・メインズの3人組。本作はメジャーデビュー作『Wide Open Spaces』と同様、大ヒットしたセカンド。ポップチャートでも上昇した。

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⑨35週/『Fearless』テイラー・スウィフト(2008)
世界的ヒット『1989』のポップサウンドで誰もが知る存在になった彼女だが、もともとはカントリーシーンから登場した歌姫。本作はセカンドで、アルバムが売れないゼロ年代において全米だけで700万枚以上をセールス。次作はカントリーに戻ってくるか気になるところだ。
(詳しくはこちらをご覧ください)
テイラー・スウィフト〜カントリー音楽を愛するソーシャル時代のポップスター

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⑩34週/『Some Gave All』ビリー・レイ・サイラス(1992)
30歳を過ぎてリリースしたこのデビューアルバムとシングル「Achy Breaky Heart」で、全米の国民的スターとなった男。ポップスターのマイリー・サイラスは娘として有名だ。

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⑩34週/『O Brother, Where Art Thou?』(2000)
ルーツ・ミュージックのファン必見の大ヒット映画のサントラ。
(詳しくはこちらをご覧ください)
オー・ブラザー!〜ブルーズやカントリーが育まれた南部の音風景をとらえた傑作

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⑫33週/『Roppin’ The Wind』ガース・ブルックス(1991)

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⑬31週/『Killin’ Time』クリント・ブラック(1989)
1989年、ガース・ブルックスらと共に新たに登場したトラディショナル・スタイルのカントリー・ミュージシャン。当初はガースよりも人気が遥かに高く、彼こそがカントリー新時代の扉を開いたとも言える。伝説的なデビュー作だ。

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⑬31週/『Need You Now』レディ・アンテベラム(2010)
ポップチャートでも大ヒットしたタイトル曲で、日本でも一躍その名が知れ渡った男女3人組。

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⑮29週/『The Woman in Me』シャニア・トゥエイン(1995)

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⑮29週/『Not a Moment Too Soon』ティム・マグロウ(1994)
超がつくほどの現役スター。セカンドである本作で大ブレイク。以来、No.1ヒットを量産。美人歌手フェイス・ヒルとの結婚も話題に。映画俳優としても活躍中。

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⑮29週/『Traveller』クリス・ステープルトン(2015)
カントリーのソングライターとして様々なミュージシャンにリスペクトされつつ、あのアデルにも楽曲を提供。待望のデビューアルバムは特大ヒットを記録。今最も注目度の高いカントリー・アーティスト。ロックファンにも馴染める。

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⑱28週/『Blue』リアン・ライムズ(1996)
13歳でリリースしたメジャーデビューアルバム。天才少女も今ではすっかり大人の女性に。テイラー・スウィフトも影響を受けたことで有名。たくさんの女性アーティストの登場で人気は下降したが、そろそろ復活が望まれる。

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⑱28週/『Mountain Music』『Feels So Right』アラバマ(1982/1981)
80年代で最も有名でレコードを売りまくったカントリー・バンド。その名が原因なのか、日本ではほとんど無名状態。今改めて聴くと、実に味わい深いカントリー。何度か活動休止したものの、今でも第一線で活動中。

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⑳27週/『Some Hearts』キャリー・アンダーウッド(2005)
彼女の名をご存じの方も多いだろう。「アメリカン・アイドル」シーズン4の優勝者。本作でデビューした。今やカントリー界を代表する歌姫へと成長。今後もヒット連発必至。

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㉑25週/『Kenny』ケニー・ロジャース(1979)
70年代後半〜80年代半ばにかけてカントリー界の顔役だった人。ポップチャートでもヒットを連発。独特のハスキーな声にファンは多い。また、自身の名を冠したレストランチェーン「ケニー・ロジャース・ロースターズ」は一時期、東京や神奈川に出店していたこともある。

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㉒24週/『Taylor Swift』テイラー・スウィフト(2006)

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㉓23週/『The Gambler』ケニー・ロジャース(1979)

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㉔22週/『Always On My Mind』ウィリー・ネルソン(1982)
説明不要。その名を知らぬ者はいないリビング・レジェンド。50年後半にデビューするも、売れない時代が続く。自作の「Nite Life」をたった150ドルで売って中古車を買い、ナッシュヴィルに向かったのは伝説。その曲はカントリーのスタンダードとなり、のちに権利を取り戻した。ウェイロン・ジェニングスらと70年代のアウトロー・カントリーを牽引。
(詳しくはこちらをご覧ください)
ウィリー・ネルソンとウェイロン・ジェニングス〜カントリーのアウトローたち

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㉕21週/『Behind Closed Doors』チャーリー・リッチ(1973)
あのサン・レコードでジョニー・キャッシュやジェリー・リー・ルイスのバックで仕事をしていた白髪の男は、長い間成功には恵まれずにいた。だが70年代になってからようやく本作のヒットが生まれる。カムバックした数年後の1995年、62歳で亡くなった。

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㉕21週/『The Closer You Get…』アラバマ(1983)

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㉗20週/『At San Quentin』ジョニー・キャッシュ(1969)
前代未聞の刑務所ライブ。90〜ゼロ年代にも極めて重要な録音を残した伝説の男。
(詳しくはこちらをご覧ください)
すべてはこの男から始まった〜ジョニー・キャッシュ特集

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㉗20週/『Wichita Lineman』グレン・キャンベル(1968)
一時期、ビーチ・ボーイズのメンバーだったことでも知られる。タイトル曲は名ソングライター、ジミー・ウェッブの作品。

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【TOP COUNTRY ARTISTS】*カントリーのアルバムチャートでNo.1の獲得枚数が7枚以上あるアーティストを対象。

27枚/ジョージ・ストレイト
ダントツのトップは本物のカウボーイ歌手。ガース・ブルックスも手本にした男。1981年にデビュー。以来、80年代・90年代・ゼロ年代・10年代の現在まで、アルバムを出せば必ずNo.1になる超ビッグ・スター。1年の半分だけ音楽に費やす。


17枚/ウィリー・ネルソン


17枚/ガース・ブルックス


17枚/ティム・マグロウ


17枚/ケニー・チェズニー
2002年以降リリースしたスタジオ・アルバムがすべてNo.1を記録するスーパースター。


16枚/マール・ハガード(故人)
凄まじい数のヒットアルバムを遺したカントリー界のレジェンド。2016年4月、79歳で亡くなった。
(詳しくはこちらをご覧ください)
マール・ハガード〜死刑囚の心の風景を想って作った伝説の歌


14枚/アラン・ジャクソン
89年のデビュー以来、絶大な人気を誇るスーパースター。


13枚/リーバ・マッキンタイア
76年のデビュー以来、売れるまで長い不遇の時代を送った彼女は、86年に初めてNo.1のヒットアルバムを出した。現在もスーパースターであり続ける。カントリー界の女性シンガーの伝説的存在。


12枚/バック・オウエンス(故人)
60年代のホンキー・トンク・カントリーの立役者。80年代後半に彼をリスペクトするドワイト・ヨーカムと「Streets of Bakersfield」で共演。新しい世代にもその魅力が伝わった。2006年、76歳で死去。


12枚/チャリー・プライド(故人)
黒人で最初にカントリー界でトップに立った人。その功績は計り知れない。


12枚/ケニー・ロジャース(故人)


11枚/ウェイロン・ジェニングス(故人)
ウィリー・ネルソンとともに70年代のアウトロー・カントリーを牽引した偉大なるレジェンド。2002年、64歳で死去。
(詳しくはこちらをご覧ください)
ウィリー・ネルソンとウェイロン・ジェニングス〜カントリーのアウトローたち


11枚/アラバマ


11枚/ジョニー・キャッシュ(故人)


10枚/ロレッタ・リン(故人)
その半生が『歌え! ロレッタ・愛のために』として映画化もされたことがある。60〜70年代にかけてカントリー音楽のイメージに多大な貢献をした一人。

10枚/トビー・キース
「ブルーカラーの詩人」とも言われる人気スターの一人。ゼロ年代からNo.1ヒットを連発中。


9枚/エディ・アーノルド(故人)、コンウェイ・トゥイッティ(故人)、ドリー・パートン、グレン・キャンベル(故人)、ハンク・ウィリアムズJr、ブラッド・ペイズリー、ルーク・ブライアン、キャリー・アンダーウッド
8枚/ラスカル・フラッツ、テイラー・スウィフト
7枚/エルヴィス・プレスリー(故人)、ブルックス&ダン、ブレイク・シェルトン、キース・アーバン、ジェイソン・アルディーン、ディエクス・ベントレー、ミランダ・ランバート

なお、ジョージ・ジョーンズ(故人)は最も多くのアルバムをチャートインさせているが、No.1アルバムは意外と少なく、今回のリストには登場しない。タミー・ウィネット(故人)やエミルー・ハリス、ドワイト・ヨーカムやクリス・クリストファーソンなども同様だ。リストに登場しないビッグネームはまだまだたくさんいる。

そして、もしいつまでもオールド・ロックに囚われているのなら、これを機に様々な時代における世界中の音楽に慣れ親しんでみるのも楽しい。同じ場所にいてはならないのだ。音楽の旅人とは、永遠に移動しなければならない。

ジョエル・ホイットバーンに捧ぐ
Joel Whitburn (1939–2022)

*参考/『カントリー・ミュージックの巨人』(ニール・ヘイスロップ他著/星野吉男訳/東亜音楽社)、Joel Whitburn氏監修の『TOP COUNTRY ALBUMS 1964-1997』

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(シングル編はこちら)
No.1シングル1944-2017〜カントリー音楽のスーパースターたち

(ヴィジュアルからカントリー音楽に入りたい人にはこちらがオススメです!!)
テイラー・スウィフトだけじゃない! 美女揃いのカントリー歌手たち (前編)
テイラー・スウィフトだけじゃない! 美女揃いのカントリー歌手たち (後編)

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【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
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http://www.tapthepop.net/author/nakano
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