「TAP the CHART」第81回
前回のアルバム編「No.1アルバム1965-2017〜ブラック・ミュージックのスーパースターたち」に続いて今回は「シングル編」を。
「ブルーズ」〜「ジャンプ/ジャイヴ」から「リズム&ブルーズ」へ。そして公民権運動とシンクロしながら「ソウル」が全盛期を迎える60年代。さらには70年代の「ファンク」や「ニューソウル」、後半の「ディスコ」期を経て、80年代には「ブラック・コンテンポラリー」や「ニュージャックスウィング」などでブラック・ミュージックは過去の流れを総括。90年代には新たに「ヒップホップ/ラップ」が主流になっていく。
同時期、ロックの世界でも「オルタナティヴ」の流れがメインストリーム化してしまうという逆転現象が起こったが、ブラック・ミュージックの世界でも似たようなことが起こっていたのだ。その後、R&B(リズム・アンド・ブルーズ)は「アール・アンド・ビー」と呼ばれるようになり、ヒップホップとシンクロしながら新世代のアーティストを量産。
ロック同様、このあたりから動向が分からなくなった(興味が薄くなった)人も少なくないと思うので、今回は「ハーレム・ヒット・パレード」として始まった1942年10月から現在(2017年7月)の「Hot R&B/Hip-Hop Songs」まで約72年分を集計。それでは歴史や記録を作ってきたスターたちを簡単に紹介していこう。
【TOP R&B ARTISTS】*R&BのシングルチャートでNo.1ヒットが8曲以上あるアーティストを対象(feat.扱いは除く)
★20曲
アレサ・フランクリン
ソウルの女王がトップに立った。
スティーヴィー・ワンダー
70年代にはメインストリームの頂に君臨。
★18曲
ルイ・ジョーダン
ジャンプのスモールコンボ化でR&B誕生に貢献したエンターテイナー。
★17曲
ジェームス・ブラウン
JBにはNo.1以外にも凄まじい数のヒットがある。
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★15曲
テンプテーションズ
アルバムのNo.1数ではトップ。
★14曲
ジャネット・ジャクソン
90年代前半に空前のダンスブームを牽引。
★13曲
マーヴィン・ゲイ
その悲劇的な死が惜しまれる真のスター歌手。
★13曲
マイケル・ジャクソン
生きていたらどんな歌を聴かせてくれたのか。
★13曲
アッシャー
新世代R&Bを代表するシンガー。
★11曲
レイ・チャールズ
50〜60年代にヒットを連発したレジェンド。
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★10曲
フレディ・ジャクソン
85年のデビュー曲「Rock Me Tonight」でその名を永遠に刻んだ
★10曲
グラディス・ナイト&ザ・ピップス
一時期モータウンでも活躍。
★10曲
オージェイズ
フィリー・ソウルを代表するグループ。
★10曲
R・ケリー
新世代R&Bの象徴的存在。
★10曲
マライア・キャリー
ポップチャートではこれ以上のNo.1ヒットを打ち立てている。
★9曲
ファッツ・ドミノ
ロックンロール期にも重要な役割を果たしたニューオーリンズR&Bのピアノマン。
★9曲
クール&ザ・ギャング
70年代だけでなく、80年代のMTV時代にもヒットを連発。
★8曲
プリンス
惜しくも亡くなった革新的なアーティスト。
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★8曲
ホイットニー・ヒューストン
80年代最高の歌姫。特にバラードでその魅力を発揮した。
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★8曲
アース・ウインド・アンド・ファイアー
70〜80年代前半に人気の高かったファンクグループ。
★8曲
シュープリームス
モータウンの看板娘としてヒットを連発した3人組。
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★8曲
ビヨンセ
メッセージ色の強い作品でさらに存在力を増した。
★8曲
アリシア・キーズ
ゼロ年代から高い人気を維持するR&B歌手。
【TOP R&B HITS BY DECADE】*R&BのシングルチャートでNo.1ヒットとなったもののうち、獲得週が多いもの5曲ずつを時代別に振り返り。
【1940年代】
18週/「The Honeydripper(Parts 1 & 2) 」ジョー・リギンス&ザ・ハニードリッパーズ
18週/「Choo Choo Ch’Boogie」ルイ・ジョーダン
17週/「Ain’t Nobody Here but Us Chickens」ルイ・ジョーダン
16週/「Hey! Ba-Ba-Re-Bop」ライオネル・ハンプトン楽団
15週/「Trouble Blues」チャールズ・ブラウン
40年代はR&B時代の幕開け
【1950年代】
14週/「Sixty Minute Man」ザ・ドミノズ
14週/「Black Night」チャールズ・ブラウン
14週/「The Things That I Used to Do」ギター・スリム
13週/「Honky Tonk」ビル・ドゲット
13週/「Pink Champagne」ジョー・リギンス&ザ・ハニードリッパーズ
ブルーズの大ヒットを放ったギター・スリム
【1960年代】
10週/「Tossin’ and Turnin’」ボビー・ルイス
10週/「Baby (You’ve Got What It Takes)」ダイナ・ワシントン&ブルック・ベントン
10週/「I Can’t Stop Loving You」レイ・チャールズ
9週/「I Can’t Help Myself」フォー・トップス
9週/「Kiddio」/ブルック・ベントン
大物二人によるデュエット
【1970年代】
9週/「Let’s Stay Together」アル・グリーン
7週/「Serpentine Fire」アース・ウインド・アンド・ファイアー
6週/「One Nation Under a Groove (Part 1)」ファンカデリック
6週/「Float On」フローターズ
6週/「Good Times」シック
アル・グリーンの大名曲
【1980年代】
10週/「Sexual Healing」マーヴィン・ゲイ
9週/「That Girl」スティーヴィー・ワンダー
9週/「Billie Jean」/マイケル・ジャクソン
8週/「Juicy Fruit」エムトゥーメイ
8週/「When Doves Cry」プリンス
大ヒットを放ったエムトゥーメイ
【1990年代】
14週/「Nobody’s Supposed to Be Here」デボラ・コックス
12週/「Bump n’ Grind」Rケリー
11週/「You Make Me Wanna」アッシャー
11週/「I Will Always Love You」ホイットニー・ヒューストン
11週/「Any Time, Any Place」ジャネット・ジャクソン
常連組を抑えてトップに立ったデボラ・コックス
【2000年代】
15週/「Be Without You」メアリー・J・ブライジ
14週/「Pretty Wings」マックスウェル
14週/「We Belong Together」マライア・キャリー
14週/「Blame It」ジェイミー・フォックスfeat.T-Pain
14週/「Single Ladies (Put a Ring on It)」ビヨンセ
長い人気を維持するメアリー・J・ブライジ
【2010年代】
18週/「One Dance」ドレイクfeat.Wizkid & Kyla
16週/「Blurred Lines」ロビン・シックfeat.T.I.& ファレル
14週/「Thrift Shop」マックルモアー&ライアン・ルイスfeat.Wanz
14週/「See You Again」ウィズ・カリファfeat.Charlie Puth
14週/「Diamonds」リアーナ
大記録に並んだドレイク
今回のリストには登場しなくても、ブラック・ミュージックに足跡を残す巨人たちは他にも大勢いる。例えば、サム・クック、ジャッキー・ウィルソン、ウィルソン・ピケット、オーティス・レディング、ルース・ブラウン、エタ・ジェイムス、マディ・ウォーターズ、B.B.キング、ボビー・ブランド、ナット・キング・コール、ダイナ・ワシントン……とても書ききれない。
そして、もしいつまでもオールド・ロックに囚われているのなら、これを機に様々な時代における世界中の音楽に慣れ親しんでみるのも楽しい。同じ場所にいてはならないのだ。音楽の旅人とは、永遠に移動しなければならない。
*参考/Joel Whitburn氏監修の『TOP R&B SINGLES 1942-2016』
(アルバム編はこちら)
No.1アルバム1965-2017〜ブラック・ミュージックのスーパースターたち
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