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サイモン&ガーファンクルが再会を果たした曲

2023.11.22

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1975年(昭和50年)11月21日、サイモン&ガーファンクルの「マイ・リトル・タウン」(CBS・ソニー)が日本で発売された。
同年の国内ヒットソングといえば…

1位「昭和枯れすゝき」/さくらと一郎
2位「シクラメンのかほり」/布施明
3位「想い出まくら」/小坂恭子
4位「時の過ぎゆくままに」/沢田研二
5位「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」/ダウン・タウン・ブギウギ・バンド

山陽新幹線博多まで開通、第二次ベビーブーム、天皇が史上初めてアメリカ合衆国を公式訪問、双子デュオ歌手ザ・ピーナッツが引退、ローソン設立、マルちゃんのきつねうどん(東洋水産)、ペヤングソース焼そば(ペヤング)、「オヨヨ」(桂三枝)、「死刑!」(漫画ガキデカ)が流行した年でもある。


ちっぽけな町で
僕はこう信じて大きくなった
神様はいつだってみんなのことを何もかも見ているんだと
だから僕はよく 押さえつけられているように感じたものだった


「アーティーとは“明日に架ける橋”のレコーディングが終わったあと、1972年の始めに別れました。正式な解散発表はしませんでした。またいつか一緒にやることがあるかもしれないと思っていたからです。」(ポール・サイモン)

この「マイ・リトル・タウン」は、当時解散状態だったサイモン&ガーファンクルが1975年に発表した楽曲である。
二人は1970年発表のアルバム『Bridge Over Troubled Water(明日に架ける橋)』の制作中、音楽に対する意見の違いを理由に解散し、お互いに距離をおいている時期だった。
そんな状況の中、同曲はサイモン&ガーファンクル名義のシングルとして発表され、それぞれのソロアルバムに収録されるという、ちょっと珍しい形でのリリースだった。
1975年の年明け、ポール・サイモンは自身のソロアルバム用の曲を書き始めていた。
いくつかの曲を書いていくうちにこの「マイ・リトル・タウン」のメロディーと歌詞が降りてきたという。
一方その頃、アート・ガーファンクルもソロ名義の新作ルバムを制作しようとしていた。
ある日、しばらく会っていなかった二人の間でこんな会話が交わされた。

「最近、君が歌っている曲は悪くはないんだけど、甘ったるい歌が多いね。君の魅力を一番知っている僕としてはそれがちょっと不満なんだ。少し毒気のある歌を書いたから君のアルバム用にプレゼントさせてくれないか?」(ポール・サイモン)

「ありがとう、君の提案を受け入れるよ。ちょうど次のソロアルバムでは色々な形式の歌を取りあげようとしているところだったんだ。きっと君が書いてくれた歌が最も僕の興味深いものになるだろうね。」(アート・ガーファンクル)

レコーディングは、ボブ・ディランやビリー・ジョエルなども手掛けている名プロデューサー、フィル・ラモーンを加えた3人のプロデュースの下で行われた。
1975年の10月にアメリカでリリースされたこのシングルは、その年の12月13日付のビルボードHot 100で9位を記録し、イージーリスニングチャートでは堂々の1位を獲得した。
同年、ポールはデュオ解散後初のグラミー受賞となったソロアルバム『Still Crazy After All These Years(時の流れに)』を発表し、全米1位に輝いている。
一方のアートもソロ名義では2作目となったアルバム『Breakaway(愛への旅立ち)』を同時期に発表し、全米7位となっている。
解散から5年…サイモン&ガーファンクルは“この一曲”を通じて奇跡の再会を果たすこととなった。


この曲が発表される前年にポールはソロアーティストとして初来日を果たしている。
その時の記者会見で彼はサイモン&ガーファンクルの解散についてこんな言葉を語っていた。

「もちろん複雑な経緯もありますが…シンプルに言えば、良きパートナーシップを長い間持続していくのが難しくなったからです。仕事上のプレッシャーもあったし、各々が自分の好きな方向を目指し始めたこともありました。音楽以外の様々なことも介入してきて、やっぱり別れようということになったんです。」

雨があがったら虹が出る だけど色は全部黒だった
色がなかったってわけじゃない なかったのはたぶん想像力の方だ
何もかもが同じだったから あのちっぽけな町では






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【佐々木モトアキ公演スケジュール】
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【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
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