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国立競技場で初のコンサートは夢の共演のオンパレードだった

2015.07.21

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2014年に解体された明治神宮外苑の国立競技場。
そこではじめて音楽イベントが開催されたのは1985年、それは世代を超えて実現した一夜限りの伝説的なコンサートとなった。

ことの始まりは1982年、小田和正と吉田拓郎が日本にもグラミー賞を作るべきだとして、仲間のミュージシャンたちに声をかけたところから始まった。
しかしこの構想はレコード会社やマスメディア、所属するレーベルや事務所といった様々な関係から生じる諸問題を解決できずに幻となってしまう。

そこへ舞い込んだのが、国連によって国際青年年と定められた1985年に、音楽の力で何かやれないかという日本民間放送連盟からの相談だった。

国際青年年(インターナショナル・ユース・イヤー)とは、21世紀に向けて世界の青年人口が増加し続けていく中で、彼らの役割や意義、抱える問題について、国連をはじめ世界の団体や個人で取り組んでいこうという期間で、世界各地で様々な活動が展開されていた。
その呼びかけに対し、日本民間放送連盟は音楽イベントを通じて日本の青年たちにメッセージを送ろうと考えたわけである。

ニッポン放送の亀渕昭信がプロデューサーとなって尽力を尽くす中、小田和正と吉田拓郎を中心として様々なミュージシャンたちに声がかけられ、1985年の6月15日に国立競技場で「国際青年年記念 ALL TOGETHER NOW」が開催される運びとなった。
それは国立競技場で初の音楽イベントだった。

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1958年の開場以来、30年近くに渡って音楽イベントが実現しなかったのは、フィールドに敷かれた天然芝を保護するため、日本スポーツ振興センターによる厳しい審査をパスしなければいけないという高いハードルがあるからだった。
しかし、日本青年年という大義名分と日本民間放送連盟のバックアップがあることから、はじめて音楽イベントとして使用する許可が降りたのだった。

poster

6月15日の16時、6万人の観衆が見つめる中、吉田拓郎のMCでコンサートは幕を開けた。

「とりあえず景気づけにオレが1曲歌います。ところが今日は俺のバンドがいない。
そこで、是非ともこのグループとやってみたかったというグループを紹介します。
泣いて喜べよ!オフコースだ!」


1970年のフォークシーンを牽引した両者による共演に、会場からは驚きとともに盛大な歓声が上がった。

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その後もアン・ルイスとラッツ&スター、山下久美子と白井貴子、チューリップとつのだ☆ひろとブレッド・アンド・バターとチェッカーズなど、様々な共演が会場を沸かせた。

後半では12年ぶりにして1度きりのはっぴいえんど再結成が実現し(詳しくは次回のコラムで)、続いて1夜限りのスーパーバンド、サディスティック・ユーミン・バンドが登場した。

元ザ・フォーク・クルセダーズの加藤和彦を中心として1971年に結成されたサディスティック・ミカ・バンドが解散したのは1975年のことだった。
そのメンバーを中心に、松任谷由実と坂本龍一を加えて復活したこのバンドは、それぞれのナンバーをメドレーで演奏すると、サディスティック・ミカ・バンドの代表曲「タイムマシンにお願い」を、そして最後には小田和正と財津和夫も加わって「今だから」を披露した。

sadistic_yumin_band

最後に登場したのは佐野元春 with the Heart Landだ。
国際青年年のテーマソングでもある「Young Bloods」をはじめ3曲を演奏したところでシークレットゲストとしてサザン・オールスターズが登場し、「悪魔とモリー」(ブルース・スプリングスティーンのデトロイト・メドレーでお馴染みのナンバー)などの洋楽カバーをメドレーで披露すると、「夕方 Hold On Me」を熱唱した。

最後は総勢100名ほどの出演者全員で、この日のために作られた「ALL TOGETHER NOW」を歌って幕を閉じた。

心を寒くさせないで、子どもたち
大地も海もやさしさを求めてる

ただ時ははかなく過ぎ
何かを心に感じよう

今こそその手に小さな勇気をもて
愛の歌よ、風に乗りはるかに届け


このコンサートは全国の民法ラジオで放送され、多くの若者たちのもとへと届けられた。



それから28年後、当時の音源が見つかったことから、“ラジオ再価値化プロジェクト”の第1弾として同コンサートを音源とともに振り返る特別番組が放送された。
その番組内で、コンサートの先導役の1人だった吉田拓郎は、決して皆が皆、横でつながっていたわけではなかったと話している。
それでもコンサートのために何かやろうという前向きな気持ちとともに、数々の共演が実現したのだという。

「まあ思い出深い、今じゃちょっと考えられないぐらい、あらゆるジャンルで音楽をやってるビッグネームな人たちがよくこんだけ集まれたなと。
今では奇跡に近いくらい夢のようなコンサートだったなと思い出しますね」




また、プロデューサーの亀渕昭信は、のちにインタビューでこう振り返っている。

「僕にとっては自分でブッキングを担当する最後の仕事だと思っていました。
あのイベントは確かに日本の音楽界のターニング・ポイントになったと思いますが、ちゃんと次の世代を担うべき、サザンオールスターズ、佐野元春さん、チェッカーズも出演していたことが、今振り返ると良かったと思います」

Museum of Modern Musicのインタビューより

このイベントではっぴいえんどが再結成をするに至ったのも、亀渕氏が大滝詠一のもとを訪ねたのがきっかけだった。
(次回に続く)

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