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街の歌

Mony Mony〜ニューヨークの喧騒をあらわす“造語”から生まれた最強のパティーナンバー

2017.07.30

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まず、この歌のキャッチーなサビで連呼されるフレーズ“Mony”とは一体なんのことだろう?
作曲者の1人としてクレジットされているトミー・ジェイムスが、当時暮していたマンハッタンのアパートから見えていたニューヨーク相互保険会社MONY (Mutual Of New York)ビルの名前の頭文字からとったもので…タイムズスクエアのネオンサインに象徴されるニューヨークの喧騒をイメージした造語なのだという。

この歌は、1968年にトミー・ジェイムス&ションデルズ(※ジャンデルズと表記される場合もある)の曲としてリリースされたのが初出。
当時、全米チャートで3位まで駆け上がったヒット曲だ。
ベトナム戦争が深刻な状況に陥ってゆく中、ロックやフォークはシリアス内容となり、流行歌の傾向もサイケデリック色が濃くなりつつあった時代だった。
そんな音楽シーンの流れに逆らうかのように…当時まだ19歳だったトミーはデビュー曲「Hanky Panky」(1966年)のヒットをきっかけに次々とパーティーナンバーを発表してゆく。






彼らの曲は、後にジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツがヒットさせた「Crimson&Clover」(1982年)、ティファニーの「I Think We’re Alone Now(ふたりの世界)」(1986年)などで注目も集めながら…1987年にこの「Mony Mony」を当時人気絶頂だったビリー・アイドルがカヴァーしたことで全米No.1に輝くこととなる。


ちなみにこの歌は、当時カウント・ベイシーなども所属していたR&B系のレーベル“ルーレットレコード”のプロデューサー、ボー・ジェントリーとリッチー・コーデルがプロデュースを担当。
作詞作曲のクレジットにはこの二人に加え、トミー・ジェイムスとボビー・ブルーム(ジャズギタリスト)の計4人の名が記されている。

「これまでになかったくらい盛り上がるパーティーロックチューンを作ろう!」


そんな合言葉が交わされた中で行なわれたレコーディングは、先にトラック(演奏部分)を仕上げられ、後からメロディーや歌詞がのせられたものだという。
レコーディングにキーボードで参加したケニー・ラグーナは当時の様子をこんな風に回想している。

「当時はレーベルの人間が我々全員にアンフェタミン(覚醒剤)を与え、昼夜を問わずレコーディングさせていたんだ。この曲のセッションにはドラマーがいなかったので、エンジニアが叩いたものをループさせてダビングしたんだ。タイトルの“Mony”はトミーが当時暮していたマンハッタンのアパートから見えていたニューヨーク相互保険会社MONY (Mutual Of New York)ビルの名前の頭文字からとった造語なんだよ!(笑)」



<引用元・参考文献『ロック&ポップス名曲徹底ガイド②』音楽出版社>



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