「本物の音楽」が持つ“繋がり”や“物語”を毎日コラム配信

TAP the POP

TAP the NEWS

ロックンロールの種を撒いた男〜伝説のカントリー歌手ハンク・ウィリアムスの偉大な功績

2023.05.11

Pocket
LINEで送る

1940年代〜50年代の初期──“カントリーの開拓者”と呼ばれた男ハンク・ウィリアムスは、それまでの伝統的なカントリー音楽にPOPSの感覚とBLUESのテイストを加味し、より親しみやすく調理してみせた。
1923年9月17日アラバマ州で生まれた彼は、10代の頃より地元モンゴメリーのラジオ番組に歌と司会で出演していたという。
第二次世界大戦以降は苦難に直面するも、1948年に「Move It On Over」が大ヒット。以降1953年までの6年間で、ビルボードのカントリー&ウェスタン・チャート1位に11曲を送り込み、メインストリームにのし上がった“伝説のミュージシャン”である。

「Move It On Over」/ハンク・ウィリアムス



だが、そんな順風満帆な日々は続かなかった…。
健康不安の解消や鎮痛のために摂取したアルコールやモルヒネに依存するようになり、ラジオ番組からも解雇され…1953年1月1日、コンサートに向かうキャデラックの後部座席で心臓発作をおこし29歳の若さで他界する。
カントリー音楽に新風を吹き込み“ロックンロールの種”を撒いた彼自身が、その後の音楽史においてROCKが開花してゆく姿を見ることは叶わなかった。
しかし彼の死から半世紀以上の時が流れても、多くのミュージシャン達が彼をリスペクトし、彼の歌は今も唄い継がれているのだ。
これまでも、彼の偉業を称えるベスト盤や企画アルバムが多く発表されてきたが、2001年にリリースされたトリビュート盤は特に秀逸だといわれている。
そこにクレジットされた錚々たるミュージシャンの名前を見るだけでも、世代やジャンルを超えて彼が現在の音楽史に与えた影響の大きさがわかる。
ジョニー・キャッシュを筆頭に、ボブ・ディラン、キース・リチャーズ、シェリル・クロウ、BECK、エミルー・ハリス、マーク・ノップフラー、トム・ぺティ、KEB’ MO’、ライアン・アダムス、ルシンダ・ウィリアムス…そして実際に彼の遺伝子の継承者である孫ハンク・ウィリアムス3世も参加している。
また、ルシンダ・ウィリアムスはたまたま同姓であって血の繋がりはないものの、彼女が産声をあげた1953年1月といえば…ハンク・ウィリアムスがこの世を去った同年同月であったりして、何か因縁めいたものを感じずにはいられない。

「Cold Cold Heart」/ルシンダ・ウィリアムス

ハンク・ウィリアムス トリビュート/ジョニー・キャッシュ、ボブ・ディラン、キース・リチャーズ、シェリル・クロウetc.『Timeless』

ハンク・ウィリアムス トリビュート/ジョニー・キャッシュ、ボブ・ディラン、キース・リチャーズ、シェリル・クロウetc.
『Timeless』

(2001/Mercury)


1. I Can’t Get You Off Of My Mind(愛しているから)/ボブ・ディラン  
2. Long Gone Lonesome Blues/シェリル・クロウ
3. I’m So Lonesome I Could Cry(泣きたいほどの淋しさだ)/Keb’ Mo’
4. Your Cheatin’ Heart/Beck
5. Lost On The River(川に迷いて)/エミルー・ハリス&マーク・ノップフラー
6. You’re Gonna Change (Or I’m Gonna Leave)/ トム・ぺティ
7. You Win Again/キース・リチャーズ
8. Alone And Foresaken/エミルー・ハリス&マーク・ノップフラー
9. I’m A Long Gone Daddy/ハンク・ウィリアムス3世
10. Lovesick Blues/ライアン・アダムス
11. Cold Cold Heart/ルシンダ・ウィリアムス
12. I Dreamed About Mama Last Night(母の夢)/ジョニー・キャッシュ



1曲目から最後の曲まで、それぞれのアーティストが魅力ある歌唱を披露しており、ハンク・ウィリアムスの楽曲の“普遍性”を再認識させてくれる。
各曲ごとにニヤリとさせられるアレンジや演奏スタイルの多様さは、彼が撒いた種によって開花した今日のROCK&POPSの芳醇さを逆照射しているようだ。
もう一つの聴きどころといえば(TATTOOを彫りまくっていたりしてちょっとヤンチャなところもあるが)顔立ちや声質が「ハンクの生まれ変わり」と囁かれているハンク・ウィリアムス3世が比較的伝統的な歌唱法&アレンジで歌っているところだろう。
お爺さんが得意とした軽やかなヨーデル歌唱に胸を打たれるカントリーファンも少なくはないという。

────時代を越え、世代をまたぎ、国境・人種・ジャンルを超えて…この先も“本物の音楽”は生き続けることだろう。
アーティストは死んでも、歌は死なない。
輪廻転生のように、歌い継がれながら、生まれ変わりながら…ハンク・ウィリアムスが撒いた種がそうであるように。

「I’m A Long Gone Daddy」/ハンク・ウィリアムス3世

「I Can’t Get You Off Of My Mind(愛しているから)」/ボブ・ディラン

「You Win Again」/キース・リチャーズ

「I Dreamed About Mama Last Night(母の夢)」/ジョニー・キャッシュ

「Long Gone Lonesome Blues」/シェリル・クロウ



こちらのコラムの「書き手」である佐々木モトアキの音楽活動情報です♪
宜しくお願い致します。


【佐々木モトアキ公演スケジュール】
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12660299410.html




佐々木モトアキの楽曲「You」のミュージックビデオです♪
映像編集、ポートレート(写真)撮影共に、佐々木モトアキ本人が手掛けております。
とてもシンプルな技法ですが、何よりも登場する皆さんの表情が素敵です✨
人が“目を閉じている”表情。
その“瞼(まぶた)に浮かんでいる”誰かの顔。
繋がってゆく“一人ひとりの想い”が、100通りの、いや1000通りのドラマを描いてくれています。





佐々木モトアキ
執筆、動画編集、音楽・食・商品・街(地域)に関わるPRなどなど…様々なお仕事承ります。

例えば執筆・編集のお仕事として、、、
「ロック」「ジャズ」「ブルース」「R&B」「シャンソン」「カントリーミュージック」「フォークソング」「歌謡曲」「日本の古い歌」など、ほぼオールジャンルのページ企画・特集に対応いたします。
ライブイベントの紹介・宣伝文や、アーティストの紹介文なども対応できます。
音楽以外のライティングとして、WEBページの作成・リニューアル、各種パンフレット作成に伴う「店舗のご紹介」「メニューご紹介」「企業・会社のご紹介」「商品のご紹介」などなど様々なPRに関わるお仕事も承ります。


音楽、人、食、商品、街(地域)…私たちが関わるものすべてには“ものがたり”があります。
あらゆるものに存在する、ルーツや“人の想い”を伝えながら「誰が読んでもわかりすい読み物」をお作りいたします✒︎
お気軽にご依頼のご相談・ご連絡ください♪
sasa@barubora.jp
090-2669-2666

【佐々木モトアキ プロフィール】
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12648985123.html

【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
http://www.tapthepop.net/author/sasaki

Pocket
LINEで送る

あなたにおすすめ

関連するコラム

[TAP the NEWS]の最新コラム

SNSでも配信中

Pagetop ↑

トップページへ