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リリス・フェアの女たち〜エミルー・ハリス/ナタリー・マーチャントほか

2017.07.05

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「TAP the COLOR」連載第193回

1997年7月5日。女性アーティストだけを主役にしたコンサート「リリス・フェア」がスタートした。先導に立ったのはサラ・マクラクラン。大方の予想に反してこのツアーは大成功。翌年、翌々年も話題になっていく。出演者も新人からベテランまで多彩。スタッフやローディたちにも女性が数多く携わった。

サラのほか、エミルー・ハリス、シェリル・クロウ、ナタリー・マーチャント、スザンヌ・ヴェガ、トレイシー・チャップマン、ジュエル、ポーラ・コール、ショーン・コルヴィン、メアリー・チェイピン・カーペンター、ジョーン・オズボーン、リサ・ローブ、インディゴ・ガールズ、フィオナ・アップルなどが参加した。

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シェリル・クロウ『Sheryl Crow』(1996)
田舎町で大学生をしながら音楽活動をしていたシェリルは、86年にLAに移住して契約を目指す。90年に念願叶うも、レコード会社はポップ歌手の方向性を示し、意見が衝突。やりたい音楽でデビューできたのは93年夏、31歳でのことだった。本作はそんな彼女のセカンドで、ルーツ音楽寄りの前作よりロック色が強く、タフなイメージ作りにも成功した。


ナタリー・マーチャント『Retrospective:1995–2005』(2005)
10,000マニアックスのヴォーカルとして80年代前半よりインディーズで活動。90年代前半にはオルタナティヴ・ロックのムーヴメントに乗ってヒットも生まれる。93年の脱退後はソロ活動を開始し、デビュー作『Tigerlily』がベストセラー。続く『Ophelia』も高い評価を得て、90年代を代表する女性シンガー・ソングライターになった。本作は彼女の歩みを辿るベスト盤。素晴らしい歌声だ。

メアリー・チェイピン・カーペンター『Come On Come On』(1992)
子供時代に父親の仕事の関係で日本でも過ごしたことのあるメアリーは、インターナショナル・スクールの友人たちと音楽に目覚めて曲作りを始める。レコードデビューは88年。ほとんど売れなかったが質の高さが評価されて、その後もアルバムをリリース。本作は彼女を一躍有名にした大ベストセラーで、7枚ものヒットシングルやグラミー賞を獲得。フォーク/カントリー界の知的良心的存在であり続ける。

エミルー・ハリス『Duets』(1990)
カントリー・ロックを生み出した伝説のグラム・パーソンズと、彼が亡くなる73年まで活動を共にしていたエミルー。75年のデビュー以来、トラディショナリストとしてカントリー界を中心に活動。今では数多くのアーティストからリスペクトを受ける存在に。本作はデュエットだけを集めた編集盤。相手となるのはグラム・パーソンズ、ジョージ・ジョーンズ、ロイ・オービソン、ウィリー・ネルソン、ザ・バンド、ニール・ヤング……顔ぶれだけでもエミルーが本物たちから愛されてきたかが分かる。

*参考/『カントリー・ミュージックの巨人』(ニール・ヘイスロップ他著/星野吉男訳/東亜音楽社)、『女性シンガー・ソングライター』(赤尾美香監修/シンコーミュージック・エンタテイメント)

【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
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