カントリー・ミュージックのアウトローたちの系譜
1960年代のカントリー界は、商業的成功を第一に掲げたクセのない甘くポップなサウンドが主流となっていた。テネシー州ナッシュビルがすべてをコントロールしていたが、対抗する動きも少なからずあった。
ジョニー・キャッシュはレコード会社の反対を押し切って刑務所での荒々しいライブ録音盤を制作し、刑務所上がりのマール・ハガードはカリフォルニア州ベイカーズフィールドでホンキー・トンク・カントリーを復権。そしてグラム・パーソンズやクリス・クリストファーソンがロックにカントリーの良心を“出逢わせて”いた。
そんな流れが一つになる時がやってきた。ヒッピー運動やベトナム戦争の挫折を経たアメリカ建国200年を背景に、「レッドネック・ロック」「アウトロー・カントリー」と呼ばれるシーンが1970年代半ばに確立。全米規模でムーヴメントを起こすことになる。ナッシュビルの保守的な音楽産業と商業主義に反旗を掲げ、長髪にカウボーイハットを被ったミュージシャンたちが新たな拠点テキサス州オースティンに集まり始めたのだ。
中でも、1960年代からナッシュビルのシステムと折り合いがつかなかったウィリー・ネルソンとウェイロン・ジェニングス。二人が中心となって制作した1976年のアルバム『Wanted! The Outlaws』やヒットした「Good Hearted Woman」「Mammas Don’t Let Your Babies Grow Up To Be Cowboys」といった曲は、自由と孤独を貫くアウトロー・カントリーの道標となった。
1980年代に不遇の時代を送っていたジョニー・キャッシュを救ったのも、このアウトローたちの結束だった。ウィリー・ネルソンが呼びかけたテキサスでのステージがきっかけとなり、再会した顔役とでも言うべき4人(キャッシュ、ジェニングス、ネルソン、クリストファーソン)は自分たちをハイウェイメンと名乗ることにし、1985年にアウトローの歌を綴ったアルバム『Highwayman』をリリース。アルバム・シングル共にすぐさまカントリー・チャートの1位に上り詰める。好況に浮かれていたアメリカにアウトロー魂が蘇ったのだ。
まだ鉄道がなかった時代。馬に乗って街道に出没し、金持ちから金品を巻き上げたという盗賊を意味するタイトル曲「Highwayman」は、4人が順番に歌っていく。それはアウトローとナッシュビルの関係にもどこか似ていた。最後に歌ったのは、カントリー界でアウトローの居場所を最初に作ったジョニー・キャッシュだった。
この世にお別れしたら 安らかに眠る場所を探そう
もしかしたら またハイウェイマンに生まれ変わるかもしれない
でなければ 単に雨粒となって降り注ぐか
いずれにしろ俺は生き続ける この世にきっと帰って来るよ
この曲はキャッシュ死去のニュースの際に、よく流れていたという。
長髪にカウボーイハットを被ったミュージシャンたち
ウィリー・ネルソンやウェイロン・ジェニングスのほか、ジェリー・ジェフ・ウォーカー、マイケル・マーティン・マーフィ、ビリー・ジョー・シェイヴァー、ガイ・クラークなど。
ここで少しカントリー界のアウトローの系譜をたどろう。
酒のせいでナッシュビルの聖地グランド・オール・オプリーから締め出されたハンク・ウィリアムス。ドラッグやアルコール中毒の伝説となったジョージ・ジョーンズ。刑務所上がりで有名なのはマール・ハガードやデビッド・アラン・コーだ。一匹狼ならタウンズ・ヴァン・ザントが深い印象を残す。
グラム・パーソンズはキース・リチャーズにカントリーを教え、その友情からストーンズ流のカントリーナンバーが生まれた。ジョン・プレイン、スティーブ・グッドマン、シェル・シルヴァスタインらの曲はアウトローたちが何度も取り上げる。
1980年代後半からはドワイト・ヨーカムやトラヴィス・トリット、2000年代以降ではライアン・アダムスに同じスピリットが感じられる。共通する一番大切なことは、アウトローが素晴らしい曲を作ったり歌ったりするということだ。

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*このコラムは2014年4月に公開されたものを更新しました。
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