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ブギーナイツ〜ポルノ映画に従事する人々の愛と葛藤を描いたドラマであの名優は復活した

2017.03.08

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ロサンゼルス郊外、サン・フェルナンド・ヴァレー。70年代から80年代にかけてこの地では数多くの映画が作られた。映画と言ってもポルノ。そう、ここは「もう一つのハリウッド」として栄える場所なのだ。

『ブギーナイツ』(Boogie Nights/1997)は、ポルノ映画に従事する人々の愛と葛藤を捉えたドラマだった。舞台となる時代は、スター・ウォーズやディスコ・ミュージックが流行して、性革命が絶頂期を迎えていた1977年から、ビデオやMTVが登場し、カーターからレーガン政権へと移行した1985年までの8年間。

ポルノ業界という題材上、敬遠した人もいるかもしれない。だがこの作品は、“アメリカのポップカルチャーの裏側”を描いた傑作として映画史に刻まれることになった。

監督は撮影当時まだ26歳の若さで、実際にサン・フェルナンド・ヴァレーで生まれ育ったというポール・トーマス・アンダーソン。1988年にエイズで死亡したポルノ界の大スター、ジョン・ホームズをモデルにストーリーを練った。ちなみにジョンは2274本ものポルノ映画に出演。のべ14000人の女性を相手にしたそうだ。

主役を演じたのは、今や『テッド』でお馴染みのマーク・ウォールバーグ。彼は80年代にニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックに加入。デビュー前に脱退して、マーキー・マーク&ザ・ファンキー・バンチとしてナンバー1ヒットを放ったり、カルバン・クラインの下着モデルに起用されたこともあった。この役は最後までレオナルド・ディカプリオと争ったということもあり、撮影には18㎏減量して役作りを徹底させた。

助演陣がまたいい。この映画に“知的良心”と重みを与えたのは、何と言ってもバート・レイノルズの存在だろう。成功から転落を経験したスターは、本作で復活した。その他、ジュリアン・ムーアやヘザー・グラハム、名脇役フィリップ・シーモア・ホフマンの存在も光る。

1977年。LA郊外のディスコで皿洗いのアルバイトをする17歳のエディ・アダムス(マーク・ウォールバーグ)は、ブルース・リーとファラ・フォーセットが好きな普通のティーンエイジャー。高校も行かず、これといった目的も持たずに夜遅くまで働く日々を送っている。そのせいで母親とも衝突。父親は無関心のままだ。

そんなある夜、売れっ子ポルノ映画監督のジャック・ホーナー(バート・レイノルズ)からスカウトされるエディ。イメージと違い、いつかは芸術として認められると信じながら作品を撮り続けるジャックと接していると、エディには一つの夢が見えてきた。自慢の“アレ”を使ってナンバーワンのポルノスターになってやる。

ジャックの豪邸には、スタッフや出演者などがいつも“家族”のように集まっている。自分と同世代のローラーガール(ヘザー・グラハム)、息子の親権を手放したポルノの女王アンバー・ウェイブス(ジュリアン・ムーア)、妻の浮気に悩まされるプロダクション・マネージャー、いつか自分のオーディオショップを開くことを夢見る男優……本当は孤独で苦悩している人たちの集まりなのに、エディはどこか心が安らいでここが自分の居場所なのだと感じる。誰かに認められるのは初めてだった。

ダーク・ディグラーなる芸名を得たエディは、そこから一気にポルノ界のスーパースターへと駆け上がっていく。しかし、華やかなパーティや消費を繰り返すうちに、次第にドラッグに深く溺れるようになり、不安は傲慢さに変わって遂にクビにされる。以来、何をやってもうまく行かず、そのうち犯罪にも手を染めそうになるのだが……果たして彼は再起できるのか?

『ブギーナイツ』は音楽の使い方が抜群。過ぎ去る時代に合わせながら聴ける。オープニングのディスコシーンで流れるエモーションズの「Best of My Love」やパーティシーンで流れるアンドリュー・ゴールドの「Lonely Boy」なんて最高だ。また80年代になると、ナイト・レンジャー、リック・スプリングフィールド、ネーナ、ティル・チューズデイからも選曲するセンスの良さ。ビーチ・ボーイズの「God Only Knows」やELOの「Livin’ Thing」もいつまでも耳に残る。

予告編


80’sナンバーが流れる秀逸なシーン

『ブギーナイツ』

『ブギーナイツ』


*日本公開時チラシ
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参考/『ブギーナイツ』パンフレット

評論はしない。大切な人に好きな映画について話したい。この機会にぜひお読みください!
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