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BLUESの旅路⑩〜スリーピー・ジョン・エスティス/ワイノニー・ハリスほか

2017.05.17

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「TAP the COLOR」連載第186回

ブルース(正確にはブルーズ)を聴いたり目の前の演奏に接したりすることは、言うまでもなく一つの体験であると同時に、それは時と場所を巡る旅でもある。スタート地点はミシシッピ川、綿花畑、ハイウェイ61……といったところだろうか。長い旅路では様々な人生、苦悩、歓喜といった風景を見ることになる。旅人たちはそれを決して忘れることはできない。

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スリーピー・ジョン・エスティス『The Legend of Sleepy John Estes』(1962)
1941年の録音を最後に姿を消し、死んだと思われていたブルーズマンが、21年後に両目の光を失って掘ったて小屋で極貧生活しているところを“再発見”された。苦難の連続。泣き叫ぶような歌。スリーピー・ジョン・エスティスの復活作。ジャケ写がすべてを物語っている。70年代にブルーズマンの象徴として2度来日。日本に本物のブルーズを届けてくれた。1977年6月、77歳で死去。


チャールズ・ブラウン『Best of Charles Brown』
“チャールズ・ブラウン・マナー”と呼ばれる独自の演奏とヴォーカルで、1940年代後半から50年代前半にヒットを連発。西海岸で多くの模倣者を生むほど影響力を持ったピアニスト。甘さと洗練さ、夜の匂いと色気。そんな音色が聴こえてくる。本作は全盛期の代表曲を集めた編集盤。どれもR&Bチャートを駆け上がったものばかりだ。1999年1月、76歳で死去。

ロイ・ブラウン『The Very Best of Roy Brown』
ニューオーリンズ生まれのジャンプ・シンガー。B.B.キングもボビー・ブランドも、ジェイムズ・ブラウンもジャッキー・ウィルソンにも影響を与えたロイ・ブラウン。ブルーズ・シャウターとしてワイノニー・ハリスらと共に1940年代後半〜50年代前半にヒットを連発。本作は全盛期を総括した編集盤で、ロイの静と動の世界が満喫できる。1981年5月、55歳で死去(60歳説あり)。

ワイノニー・ハリス『The Very Best of Wynonie Harris』
性的な動きを取り入れたパフォーマンスと太くて豪快な声で、ジャンプ・ブルーズを代表するシャウターとなったワイノニー・ハリス。彼の声に刺激されるようにバンドも大暴れ。エンターテイナーとして1940年代半ば〜1950年代前半にヒットを連発した。R&BやR&Rに与えた影響も大きい。ロイ・ブラウンと併せて持っておきたい強力な編集盤だ。1969年6月、53歳で死去。

*参考/『ブルースCDガイド・ブック2.0』(小出斉著/ブルース・インターアクションズ)、『ブルースの世界オフィシャル・ガイド』(ブルース&ソウル・レコーズ責任編集/ブルース・インターアクションズ)

(『THE BLUES』シリーズはこちらでお読みください)
フィール・ライク・ゴーイング・ホーム』(Feel Like Going Home/マーティン・スコセッシ監督)
ソウル・オブ・マン』(The Soul Of A Man/ヴィム・ヴェンダーズ監督)
『ロード・トゥ・メンフィス』(The Road To Memphis/リチャード・ピアース監督)
『デビルズ・ファイヤー』(Warming By The Devil’s Fire/チャールズ・バーネット監督)
『ゴッドファーザー&サン』(The Godfathers And Sons/マーク・レヴィン監督)
『レッド、ホワイト&ブルース』(Red, White & Blues/マイク・フィギス監督)
『ピアノ・ブルース』(Piano Blues/クリント・イーストウッド監督)

【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
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http://www.tapthepop.net/author/nakano
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