ブルース・スプリングスティーンの育った町として知られる、アズベリー・パークにある<ストーンポニー>というライブハウス。
「7月4日のアズベリー・パーク(サンディ)」の歌詞に出てくるマダム・マリーの占い小屋の前で、ボードウォークに立つブルース・スプリングスティーン。
大西洋を望む行楽地として栄えたアズベリーパークは、ニューヨークを車で南下してニュージャージー州に入ってから数十分で着く。ニューヨーカーや観光客が訪れる人気スポットとなったのは1960年代のことだ。
全盛時には海岸のボードウォーク(遊歩道)に家族連れがあふれて賑わったというが、1970年代に入って道路網が整備されると、観光客はさらに約100キロ南にあるカジノで有名な大型リゾート地、アトランティックシティーを目指すようになり、それからはすっかり寂れてしまった。
しかしブルースにとってのアズベリーパークは、バンドマン生活を始めた10代の半ばからの数年間を過ごした町で、デビューアルバムに「アズベリーパークからの挨拶(原題・Greetings From Asbury Park, N.J.)」とタイトルをつけたことからもわかるように、さまざまな曲の舞台や背景としてたびたび取り上げられる特別な場所である。
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セカンド・アルバム『青春の叫び』に収められた「7月4日のアズベリー・パーク(サンディ)」は、まだ賑わっていた頃の風景を彷彿させる歌だ。
夜空に花火が打ち上がる独立記念日の夜、ボードウォークにたむろしてホットロッドやピンボールに興じる不良少年たちや、占い師などのキャラクターを通して描かれる物語の主人公は、スプリングスティーンの大人になろうとする時期のイメージとも重なってくる。
そこには”on the boardwalk”や”under the boardwalk”というように、歌詞もふくめてボードウォークという言葉がキーワードのように出てくる。
腕に覚えがある奴らは ボードウォーク沿いのピンボール屋で勝負に興じている
ボードウォークの下で ジーンズを必ず脱いでくれる工場勤めの女の子を追っかけるのも止めだ
アズベリーパークでもボードウォークの下は、女の子がジーンズを脱いでくれる場所として、若いカップルたちの集う場所だったようだ。
最後に主人公からは、飛び出しナイフを恋人にしている連中や、ハイヒールをはいて髪をグリースで固めた連中と繰り広げる出口のない生き方を、もう一度変えようという決意が語られる。
俺のボードウォーク人生も終わりだ お前にもわかるだろう こんな生活はもう卒業だって
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