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男が結婚を意識する瞬間

2015.06.25

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歌の主人公はいつも、街ですれ違う彼女を見てきた。
いつもベビーカーを引く彼女。
その髪にはリボンが寂しそうに揺れている。。。
 
主人公は彼女が笑ったところを見たことがないし、何か話したところも見たことがない。
来る日も来る日も、彼女は無言で歩き去っていく。
このワケのわからない世界で2人の子供を育てるのは、労働者階級の女性にとっては辛く寂しいことだろう、と主人公は想像する。

そして突然、彼は告白するのである。

♪ リトル・ガール
  君と結婚したい
  リトル・ガール
  君と結婚したい
  イエス・アイ・ドゥ
  リトル・ガール
  君と結婚したいんだ


結婚する時期がやってきたのだ、というのが主人公の説明だ。

♪ なあハニー
  僕はなにも君の天使の羽を
  クリップで止めるつもりはない
  ただ、二人がそういうことを
  考える時期だってことさ
  家族を持つ、ということ
  そして責任と向き合うってことだよ


青春との決別、そして大人になることの誓い。
この歌はブルースのパーソナル・ライフを反映しているのだろうか。
ブルースが実際、最初に結婚するのは、この歌から5年後のことで、相手はモデルだった(その後、モデルの彼女とは離婚し、バックシンガーだった女性と再婚し、今にいたっている)。

だが、歌の最後の方に登場する一節に少しだけ、ブルースの生い立ちが見てとれる。

♪ 死ぬ前に親父は言ったのさ
  真実の愛なんて嘘っぱちだって
  親父は傷心のまま、墓場へ旅立った
  満たされない人生は
  人を意固地にするんだ


少年時代、父親との衝突、葛藤があったことを何度もブルースはステージ上で語っている。まだ彼が、髪を長く伸ばしていた頃の話だ。

ブルースにとって大人になることは、青春のすべてと決別することではなく、真実の愛の存在だけは信じ続ける宣言だったのだろう。

♪ リトル・ガール
  君と結婚したい
  リトル・ガール
  君と結婚したい
  イエス・アイ・ドゥ
  リトル・ガール
  君と結婚したいんだ




ブルース・スプリングスティーン『ザ・リバー』
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

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