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シド・ヴィシャスの死〜革ジャンのポケットから発見された直筆の遺書

2025.02.01

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パンクのアイコン的存在として、現代の若者やカルチャーにも影響を与え続けているシド・ヴィシャス。1979年2月2日、彼は麻薬の過剰摂取によってこの世を去った。享年21。

シドのデビューパフォーマンスとなった、セックス・ピストルズのギグを撮影していたことでも知られる映画監督ドン・レッツは、こう回想している。

「シドはいつもトラブルに巻き込まれてた。マヌケだったからな。愛されるバカだったよ」


ドン・レッツは、シドの人生が狂ったのは、ピストルズが名声を手に入れたのが原因だったと続ける。

「あのまやかしを本物だって信じ始める奴らが現れたのが問題だった。シドはその第1人者だ。そんな中、世間では“奴はいまに死ぬ”みたいなヴァイヴが流れてた。そういうのって人を追い詰めるもんだろ?」


1978年10月13日、ニューヨークにあるチェルシーホテルのバスルームで、(シドの恋人として有名だった)ナンシー・スパンゲンが刺殺された亡骸で発見される。凶器となったのはナイフ(シドの所有物)だった。

しかし、そのナイフは指紋が拭きとられている状態で、シドの手元に入ったばかりの「MY WAY」の印税2万ドルが全て無くなっていた。

ナンシー殺害とされている時刻には、ツイナール(睡眠薬)の過剰摂取によって昏睡状態だったため、後日医師による調べの中で服用した量から推測すると、少なくとも5時間は意識のない状態だったことがわかっている。その間、彼らの部屋には複数人が出入りしたことも確認されており、シドが昏睡している状態だったことが証言されている。

ナンシー殺害についてはこんな有力な説もある。当時ナンシーにドラッグを売っていた男が、前日に1杯の酒代をせびるほど金に困っていた様子だったにも関わらず、彼女が殺害された翌日には新品のブーツとレザーパンツ姿でバーに現れて、血のついたシャツを見せびらかしていたという話。

その他にも二人が自殺を図って、昏睡したシドを死んだと思ったナンシーが自殺したという説もあるのだが、その説だと、指紋が拭きとられて置いてあったナイフと、消えた2万ドルの謎とは結びつかない。

この時期、二人は互いを殴り罵るという激しい喧嘩を繰り返していたという。また、ナンシーは腎臓を病んでいたため、その激痛から逃れる為にハードドラッグにすがっていた。

ナンシーの死の真相は謎のままだったが、物的証拠として凶器がシドの所有物であったことから、殺人容疑で逮捕され、薬物リハビリ棟に送られることとなる。だが後日、レコード会社(ヴァージン)が多額の保釈金を支払って保釈された。

その後も自殺未遂を起こすなど、シドは精神的にも非常に不安定で、同年の12月にも傷害事件を起こし勾留されている。そして翌1979年2月2日、ベッドの上に倒れていた息子を母親が発見。

ベッドわきのサイドテーブルには、前夜に高純度のヘロインを使用していた形跡が残されていた。皮肉なことに、その高純度のヘロインは、シドに哀願された母親が前日に渡したものだった。

逮捕後、約2ヶ月の勾留生活である程度浄化されていたシドの身体は、純度の高いドラッグを受け付けず、オーバードーズにより死亡したのだ。死後、彼の革ジャンのポケットの中から、直筆の遺書らしいメモが発見される。

俺達の間には“死の取り決め”があった。一緒に死ぬ約束をしてたんだ。こっちも約束を守らなきゃいけない。今からいけば、まだ彼女に追いつけるかも知れない。お願いだ。死んだらあいつの隣に埋めてくれ。レザージャケットとバイクブーツを死装束にして…さようなら


母親は息子の遺言に従って、ナンシーの遺族にそのことを申し入れたが、強く反対され断念する。人知れず息子の墓を掘り起こした母親は、その遺灰をナンシーの墓に撒いたという。

以降、ファンの間では、ナンシーの墓を“シド&ナンシーの墓”としている。その墓標は、ペンシルベニアにあるキング・ダビデ・セメトリーの外れにひっそりと立っている。



<引用元・参考文献『シド・ヴィシャスの全て VICIOUS―TOO FAST TO LIVE(ロッキング・オン)』/アラン・パーカー (著), 竹林 正子 (翻訳)>


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執筆者
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