やさしい風も 闇をうつす
さみしい鳥も ひかり見てる
虹を追い越し 空のむこう
いのちのもえる 音をきいていた
(「光る音」より)
ギター/ボーカルの大谷友介と、ベースの柏原譲によるバンド、Polaris(ポラリス)。2001年11月にデビューした彼らは、ダブを基軸に置いたバンド・サウンドが生み出すどっしりとしたグルーヴと、叙情的な歌をかけあわせた独自のポップスを作り上げてきた。これまでに4枚のオリジナル・アルバムをリリースしてきた。2006年のアルバム『空間』発表以降は、それぞれのソロ活動へと重心をシフト。大谷は拠点をベルリンに移し、ソロ・プロジェクト〈SPENCER〉を展開。柏原は以前より継続していたフィッシュマンズに加え、東京スカパラダイスオーケストラの茂木欣一、加藤隆志とのバンド〈So Many Tears〉を結成するなど、精力的な活動を見せていた。
そんな二人の軌道が再び重なりあったのは、2012年に発表されたシングル「光る音」。この作品を機に本格的にPolarisとしての活動を再始動させ、約3年の時間をかけてじっくりと制作していったのがニュー・アルバム『Music』だ。
オリジナルのフルアルバムとしては実に9年ぶりとなる本作。あらきゆうこ、茂木欣一、mito、原田郁子、勝井祐二をはじめ、彼らの盟友たちが楽曲ごとに参加し紡がれていくアンサンブルは、シンプルかつ繊細な濃淡で、流れるように情景を描いていく。とくに1曲目「天と点」から、ストリングスが印象的な躍動的なポップ・チューン「大気圏」、日だまりのようにやさしいレゲエ「One」、80年代ニューウェイブの匂いも感じさせる「Pray」のバリエーションの豊富さに、現在のPolarisのあふれる表現欲を感じてならない。
アルバムは中盤、幽玄的なダブ曲「とける」にはじまり、2部構成からなる「深海」〜「点滅と明滅をくりかえす」、新しいサウンド表現へと意欲的に取り組んだ「Neu」へとすすみ、いよいよ彼らの真骨頂といえるディープな世界へと飛び込んでいく。そして深い闇の向こうに射し込む光のようにラストを飾るのは、再始動のきっかけとなった「光る音」。10分に及ぶこの曲は、新たにミックスが施されたアルバム・バージョンを収録している。Polarisがこれまでの活動で描いてきた世界を継承しつつも、随所にしなやかな力強さも感じ取れるアンサンブルは、新たな世界へと踏み出した彼らの、強い意志を反映しているように聴こえた。
Polaris『Music』特設サイト
http://www.polaris-web.com/special/
Polaris official website
http://www.polaris-web.com/
Polaris「大気圏」 MV
Polaris「光る音」 LIVE
Polaris Tour 2015 “Music”
4月6日(月)大阪・梅田AKASO
4月7日(火)愛知・名古屋CLUB QUATTRO
4月15日(水)東京・赤坂BLITZ
詳細は Polaris official website