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人生の転機とライブ盤〜ジェームス・ブラウン/B.B.キング

2015.05.27

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「TAP the COLOR」連載第83回

5月30日から自伝映画が公開される、ソウルの帝王ジェームス・ブラウン。
そして5月14日に89歳で亡くなった伝説のブルースマン、B.B.キング。
偉大な二人に共通するのは、永遠の名作がライブ盤であるということ。

(こちらの記事も併せてお読みください)
ジェームス・ブラウン/最高の魂(ソウル)を持つ男〜伝説の裏に隠された真実と友情

B.B.キング追悼〜ブルース・シンガーになるということは、二度黒人になるようなものだ

71fmLe9cWnL._SL1071_ ジェームス・ブラウン『Live at the Apollo』(1963)
1956年に「Please, Please, Please」でデビューしたJBは、その後「Try Me」などのR&B/アーリーソウル・バラードを数枚リリースするが、決定的なヒットには恵まれなかった。しかし、1962年にニューヨークのアポロ劇場でのライブ録音をレコードにするアイデアを提案したところ、所属会社が反対したために自費で制作。これが大ヒットして賭けに勝つ。「誰かのやり方を追ったり従うのではなく、自分の道は自分で切り開く」というJBの信念が証明された1枚。アポロ録音はその後、定番化していった。


0060253700102_600 ジェームス・ブラウン『I Got You (I Feel Good) 』(1966)
1964年の「Out of Sight」あたりからファンキー・ソウルになったJBが、1965年には「I Got You (I Feel Good)」や「Papa’s Got a Brand New Bag」などで前進全開。同時代に一大勢力となっていたデトロイト/モータウンのノーザン・ソウルに唯一対抗できるサウンドとなった。そのクールなダンスやパフォーマンスも含めて、イギリス/ロンドンでは当然のことながらモッズ風俗にも支持されていた1枚。


bb_king_live_at_the_regal B.B.キング『Live at the Regal』(1965)
B.B.の黄金期は1950年〜1962年のモダン吹き込み時代と言われているが(気になる方は『The Vintage Years』という4枚組がオススメ)、1962年以降のABC時代も重要作が多い。その一つが本作で、アポロ劇場のジェームス・ブラウン、コパカバーナのサム・クックと並ぶ永遠の名盤と評価が高いライブ盤。ブルースのガイド本では必ず紹介される1枚。名物DJ、パーヴィス・スパンのMCで登場。女性客の歓声と熱気に応えるB.B.のギター。シカゴの冬は寒いはずなのに、スローブルースまでもが熱い。


81GUiCsF3eL._SL1485_ B.B.キング『Completely Well』(1969)
ロック畑のプロデューサー、ビル・シムジクと組み、キャリア最大のヒット「The Thrill is Gone」を生んだ人生の転機盤。ストリングス入りのドラマチックなスローバラードは、本物のブルースファンからは賛否両論あったものの、ブルースを世界に広げた功績は余りにも大きい。それまでは苦労の連続だったB.B.は、これを機にアルバムタイトル通りに陽のあたる場所を歩くことに。


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