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ウィ・バンジョー・スリー──アイルランド音楽に新風を吹き込む、技巧派バンジョー・バンド

2017.10.02

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カントリーやブルーグラスには欠かせない楽器のひとつであるバンジョー。そもそもアメリカ南部やアパラチア地方で奴隷として働かされていたアフリカ系黒人たちによって作られたとされる楽器だが、そのバンジョーはアイルランド移民によって持ち込まれた伝統音楽をもとに発展したブルーグラスや、カントリー・ミュージックに用いられることで広く普及していったという歴史がある。後にバンジョーはアイルランド音楽にも取り入れられるようになるが、アイリッシュ界では脇役的な存在に甘んじてきた。そのバンジョーをメインに据えたサウンドで新しい可能性を見せてくれるのが、ウィ・バンジョー・スリーだ。

アイルランド出身の兄弟2組によって2012年に結成されたこのバンドは、バンジョー奏者3人とフィドル奏者1人によって構成。メンバーそれぞれが各楽器の国内チャンピオンの腕前を持つプレイヤーたちで、バンジョーを軸にギター、マンドリンなども取り入れたステージングで話題をさらってきた。

なんといっても耳が向くのはバンジョーの演奏テクニック。パンクやオルタナティヴ・ロックを通過してきたであろうスピード感にあふれる痛快なプレイはもちろん、スタイリッシュなアンサンブルは若いリスナーからも多くの支持を集めている。しかし彼らの音楽は技巧だけに走るのではなく、アイリッシュ・トラッドの伝統や、バンジョーという楽器が渡り歩いてきた歴史も背景に感じさせてくれるところが面白い。

各地で大盛況となった2015年の来日ツアーでは、三味線奏者・上妻宏光や、人気フォーク・デュオ=ハンバート ハンバートとの共演も実現。さらに先ごろ発売されたハンバート ハンバートのアルバム『家族行進曲』では、ハンバートの2人とウィ・バンジョー・スリーとのセッションによる楽曲も収録されていたりと、日本でも人気の高い彼ら。2年ぶりの来日ツアーでは、沖縄民謡唄者・上間綾乃との共演や、ピーター・バラカンがキュレートする「LIVE MAGIC!」への出演も含む、全国6公演が予定されている。ルーツ・ミュージックに惜しみない愛情を注ぎながらも、常に新たな表現を目指し、聴き手に新鮮な発見を与えてくれる彼らの音楽を、ぜひライブで体験してほしい。


ウィ・バンジョー・スリー『String Theory』

ウィ・バンジョー・スリー
『String Theory』

(プランクトン)


ウィ・バンジョー・スリー official website
http://www.webanjo3.com/
http://plankton.co.jp/webanjo3/index.html




Live Schedule
10月15日(日)埼玉・所沢市民文化センターミューズ マーキーホール w/上間綾乃(唄・三線 from 沖縄)
10月16日(月)東京・渋谷クラブクアトロ
10月18日(水)大阪・梅田クラブクアトロ
10月20日(金)山形・文翔館議場ホール
10月21日(土)神奈川・ヨコスカ ベイサイド ポケット

​Peter Barakan’s LIVE MAGIC!
10月22日(日)東京・恵比寿ガーデンプレイス ザ・ガーデンホール/ザ・ガーデンルーム

詳細は、プランクトン HPをご確認ください。


*本コラムは2015年11月30日に初回公開された記事に、加筆修正したものです。


*こちらの特集もあわせてお読みください。
みんなアイリッシュだった~アイルランド系特集

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