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TAP the SCENE

ルード・ボーイ〜ザ・クラッシュの熱いガレージサウンドと心に響く「Stay Free」

2016.08.29

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ザ・クラッシュが“出演”あるいはメンバーが“演技”した最初の映画として知られる『ルード・ボーイ』(Rude Boy/1980)は、1978年に撮影されて1980年に公開された。日本では1987年8月29日から短期間、東京・新宿の映画館でようやく上映されたので、幸運にも観に行けた人もいるかもしれない。

バンドの面々は当時、自分たちが出演したこの映画を余りよく思わなかったようだ。監督/制作スタッフ陣のパンクや音楽に対する理解不足が原因だったらしいが、何よりも劇場向け映画としての完成度の低さが彼らを失望させたのだろう。

しかし、ドキュメンタリー色が強く全編に漂うこの作品は時代とともに再評価され、いつしかザ・クラッシュの貴重なライヴシーンやリハーサル、レコーディング風景を収録した、どうしようもない時代の英国の空気を詰め込んだ“ストレート・クライ・シネマ”として昇華した。言葉に表すことのできない不安や不満が描写されたカルトムービーだ。事実、彼らもマネージャーとほぼ決裂していて極度の金欠状態にあった。

映画は3つの要素で構成される。まずはレイ・ゲンジの物語。失業手当を受けながら暇そうなポルノ・ショップで働くレイは、典型的な労働者階級の若者。リッチになりたいとぼんやりとした夢を描いているが、現実は社会の底辺を生きながら努力もせずに酒を飲んでるだけ。

次はサッチャー政権から犯罪の温床として目をつけられている移民の若者たち。特に人種差別主義者や警察権力から槍玉にあげられるジャマイカ系のルード・ボーイたちは、貧困のために犯罪に走る日々を送っている。

最後はザ・クラッシュ。英国に蔓延る失業問題、人種差別、裁判沙汰、警察や国家権力に真っ直ぐに立ち向かう彼らの、聴衆と一体化した熱く汗にまみれたガレージサウンドと言葉の数々。78年4月ヴィクトリア・パークで行われた反ファシズム集会でのステージはこの映画のハイライトの一つ。

物語はどん底の日々の中で唯一ザ・クラッシュの音楽を救いとしているレイが、彼らのローディの仕事に就き、ツアーに同行していくというもの。しかし、レイは結局使いものにならずにクビになってしまう。その頃、ルーディたちは警察に逮捕されるのだった。そして「しくじるなよ、ルーディ」が聴こえる……。

映画にはザ・クラッシュの楽曲やスカ/レゲエの名曲が使用。中でもミック・ジョーンズが自らのブリックストンでの10代の日々を歌い上げた「Stay Free」のレコーディングシーンと、ジョー・ストラマーがピアノで「Let the Good Times Roll」を弾き語るシーンはひときわ印象的だ。社会問題も政治権力も一切関係のないこのシーンに、『ルード・ボーイ』の持つ永遠的な“音楽の力”を感じずにはいられない。

ジョー・ストラマーから「金持ちになるなんて意味ないよ。虚しいだけさ」と告げられたレイ。「Stay Free」を歌い終わったミック・ジョーンズに、同郷出のレイはたまらなくなって言う。「あんたらしくねえよ。心に響く歌なんか書きやがって……」

歳月は流れてすべては移り変わってしまったけど
俺は自分の望んだ道を歩いてきた
でもお前が家を買ったって聞いた時の
気持ちは忘れはしないけどね

それに微笑みだって忘れちゃいない
お前の進む道は分かっていたよ
もし今夜クラウンで会ったら
俺に一杯おごってくれよな


(映画で演奏/使用されるザ・クラッシュの主な楽曲)
Police and Thieves
White Riot
I’m So Bored with the USA
Janie Jones
Garageland
London’s Burning
What’s My Name?
Clash City Rockers
Complete Control
I Fought the Law
Safe European Home
English Civil War
Tommy Gun
Stay Free
All the Young Punks
Rudie Can’t Fail

熱い予告編


心に響いたミック・ジョーンズの「Stay Free」のレコーディング

ジョー・ストラマーのピアノ弾き語りも印象的なシーンの一つ

♪ Rudie Can’t Fail


『ルード・ボーイ』

『ルード・ボーイ』


*日本公開時チラシ
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*このコラムは2016年3月23日に初回公開されました。

この機会にぜひお読みください!
名作映画の“あの場面”で流れる“あの曲”を発掘する『TAP the SCENE』のバックナンバーはこちらから

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