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ちあきなおみが発表した最後のオリジナル曲となった「紅い花」

2019.06.16

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ガンで入院していた夫の瀬川鍈治と死別したのをきっかけに、ちあきなおみが表舞台から消えてしまったのは1992年の9月のことだ。
もっとも良い理解者で、しかもプロデューサーでもあった夫の死のショックは大きかった。

関係者に伝えられたちあきなおみからのメッセージは下記の文言で、それを最後に彼女は一切の芸能活動を休止した。

「故人の強い希望により、皆様にはお知らせせずに身内だけで鎮かに送らせて頂きました。主人の死を冷静に受け止めるにはまだ当分時間が必要かと思います。皆様には申し訳ございませんが、静かな時間を過ごさせて下さいます様、よろしくお願いします。」

そんな彼女が最後に発表したオリジナル曲は、1991年10月23日に発売された「紅い花」である。


「紅い花」
作詞:松原史明、作曲:杉本真人、編曲:倉田信雄

昨日の夢を追いかけて
今夜もひとりざわめきに遊ぶ
昔の自分がなつかしくなり
酒をあおる

騒いで飲んでいるうちに
こんなにはやく時は過ぎるのか
琥珀のグラスに浮かんで消える  
虹色の夢

紅い花
想いをこめて ささげた恋唄
あの日あの頃は 今どこに
いつか消えた 夢ひとつ


1992(平成4)年にNHKの歌番組の出演したちあきなおみは、正式な引退宣言がないまま、ふっつりと姿を消したままになった。
それから四半世紀が過ぎてしまった現在、彼女は伝説の歌姫として永遠に語り継がれる存在になっている。

そんな彼女をテレビで目にした元スポーツニッポンの新聞記者で、音楽プロデューサーとしても活躍した小西良太郎氏が、連載エッセイの中で「たまたまBSテレビ東亰のちあきなおみ特集に出っくわした」として、このような印象を記していた。

“いい歌”ばかりの中で、待ったのはやはり『紅い花』だった。平成3年の新譜、めったに聞けない作品をそれもフルコーラス。彼女41才の収録とテロップに出た。こちらも現役最晩年、歌い手盛り、女盛りの彼女だ。
『紅い花』は、熟年の男の悔恨がテーマ。ざわめきの中でふと、男は昔の自分を振り返る。思いをこめてささげた恋唄も、今では踏みにじられ、むなしく流れた恋唄になった。時はこんなに早く過ぎるのか、あの日あのころは今どこに… 男はそんなほろ苦さをひとり、紅い花に託して凝然とする。
ちあきのくぐもり加減にハスキーな歌声が、静かなまま激していく。情感は抑え込まれるからこそ生々しくなる。結果歌は、さりげなく熱い――。





「紅い花」は1995年に石井隆監督のバイオレンス・アクション映画『GONIN』の挿入歌として使用されたときに、それに合わせて同年の10月11日にシングルCDが再発売されている。

石井監督したは1992年に大竹しのぶが主演した映画『死んでもいい』(共演・永瀬正敏、室田日出男)でも、ちあきなおみの「黄昏のビギン」を実に効果的に使っていた。



ところで「紅い花」歌は聴き歌の典型なので、なまじの歌唱力では唄いこなせない。
だから名曲といわれる割には、昔からカヴァーがそれほど多いわけではなかった。
それでも近年はキム・ヨンジャや五木ひろしなど、ベテランのヴァージョンが聴けるようになった。

なかでも秀逸なのは作曲者のすぎもとまさとが自分で弾き語りしたもので、ちあきなおみとはまったく異なる味わいがある。














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