イギリスのアニマルズが1964年にロック・ヴァ―ジョンでカヴァーして、9月に全米1位の大ヒットとなって世界中に広まったのが、「朝日のあたる家(House Of The Rising Sun)」である。
原曲はアメリカのトラディッショナル(伝承歌)で、ウディ・ガスリーやレッドベリーらフォーク・シンガーによって歌い継がれてきた。
ニューヨークのフォーク・リバイバルでも注目されていたために、ボブ・ディランが1962年にデビュー・アルバムでB面の3曲目に取り上げている。
なお、ディランのドキュメンタリー映画『ノー・ディレクション・ホーム』(2005年)では、デイヴ・ヴァン・ロンクがインタビューのなかで、自分がレコーディングするつもりでいたのに、ディランに先をこされたと語っていた。
この歌は「恋人がギャンブラーで、町から町を転々とするうちに、犯罪を犯した男と別れて、最後にはニューオーリンズの娼婦の館「the rising sun」で働くまでに堕ちてしまった」という、悲しい女の身の上話だとして歌い継がれてきた。
しかし、世界中でヒットしたアニマルズのヴァージョンはブルース色が強まって、歌詞の主人公が男性に変えられたこともあり、オリジナルよりも内容が多岐にわたることになった。
日本ではロカビリー出身者の内田裕也や尾藤イサオなどがこぞってレパートリーに取り上げた。ダニー飯田とパラダイスキングのコーラスで1964年の暮に発売されたレコードが、いくらかヒットしたという記録が残っている。
ところが歌詞は、ますます曖昧なものになった。、
原詩のニュアンスを生かした日本語詩による「朝日のあたる家(朝日楼)」をライブで唄っていた浅川マキは、1971年に発売したアルバム『MAKIⅡ』にライブ・ヴァージョンを収録した。日本ではそれをきっかけとして、もともとの歌詞が音楽ファンの間に少しずつ浸透していった。
1992年から音楽活動を停止したまま、沈黙を続けていたちあきなおみの未発表ライヴ音源が、新たに数曲、テープで発見されたのは2002年の秋だ。
そのなかにはコンサートやTVでも歌ったことで、幻の熱唱としてファンに語り継がれてきた「朝日のあたる家」が含まれていた。
『ちあきなおみ VIRTUAL CONCERT 2003 朝日のあたる家』というアルバムは、2003年の春にテイチクからCDとして発表された。これはちあきなおみのバーチャルなライブ・コンサートという趣向のアルバムだった。
そこでは12曲目が「黄昏のビギン」、13曲目が「朝日のあたる家」という並びになっている。
遠い日の淡い恋心をノスタルジックに歌った「黄昏のビギン」の直後に、恋心の行き着いた果ての半生を懺悔するかのように、娼婦に身を落とした女性の痛切な歌が続くという流れである。
ちあきなおみの絶唱によって、この2曲は21世紀になっても聴き手に強い印象を残すことになった。
(本コラムは2014年4月4日に公開されました)

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