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「TAP the COLOR」連載第341回〜BLACK〜
1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。4月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?
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ピンク・フロイド『The Dark Side of the Moon』(1973)
「もうずっと何年も俺は気が狂いっぱなしなんだ……」という男の不気味な声から幕開ける本作(1週1位)には、全編に渡り発狂して脱退したフロイドの創始者シド・バレットの亡霊が漂う。ちなみにロック史上に輝く有名なジャケットを手掛けたデザイン集団・ヒプノシスのストーム・トーガソンはシドの同級生だった。
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ウイングス『Band on the Run』(1973)
こちらもある意味で〝ビートルズの亡霊〟に苦しみながら音楽活動を続けていたポール・マッカートニー率いるウイングスの傑作(4週1位)。「Jet」やタイトル曲がシングルヒット。印象的なジャケットデザインはやはりヒプノシス。次作『Venus and Mars』も手掛けている。
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伝説のデザインチーム「ヒプノシス」
U2『The Joshua Tree』(1987)
アメリカ巡礼3部作の1枚であり、世界中でビッグセールスを記録したU2の代表作(9週1位)。祖国を追放されたアイルランド移民たちが求めたアメリカという夢はあまりにも過酷な運命にあったという事実。バンドはそんな歴史と向き合いながら、アパラチア山脈の移民たちや南部の黒人たちが創った音楽と溶け合う。「With or Without You」「I Still Haven’t Found What I’m Looking For」の2曲のナンバーワン・ヒットを生み、屋上でのビデオ撮影は映画の原案にも繋がった。
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ボニー・レイット『Longing in Their Hearts』(1994)
1989年の『Nick Of Time』(1位)、続く91年の『Luck Of The Draw』(2位)がベストセラー化したスライドギタリストのボニー。“本物の音楽”を演奏するミュージシャンの宿命なのか、72年のデビューからワーナーでリリースしたオリジナルアルバム9枚がほとんど売れずに契約終了してしまい、不遇の時代を送り続けた彼女。薬物に溺れたドン底からの復活劇だった。本作は充実期の1枚(1週1位)。
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