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ポール・カントナー追悼~飛行機と宇宙船を乗り継いで向かった先

2025.01.29

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1960年代後半、フラワー・ムーブメント全盛のアメリカで大きな支持を集めたバンド、ジェファーソン・エアプレイン。その中心であるポール・カントナーとマーティ・バリンが出会ったのは、1965年のサンフランシスコだった。

1941年3月17日にサンフランシスコで生まれたポールは、SFと音楽が大好きな少年だった。

フォーク・リヴァイバルが隆盛を迎えた1950年代後半に青春を送ったポールは、ピート・シーガーのようなプロテスト・ソングを歌うフォーク・シンガーに憧れて、本格的にミュージシャンとしての道を歩きはじめる。

ところが1964年にビートルズが全米でブレイクを果たすと、その影響はフォーク・シーンにも及び、その影響を受けたフォーク・ロックが翌年から注目を集め、バーズの「ミスター・タンブリン・マン」やボブ・ディランの「ライク・ア・ローリング・ストーン」が大ヒットを記録した。

そうした時代の流れの中で、ポールもまたアコースティックでのフォークを卒業し、バンドを組むことを決意する。

そんな折に出会ったのがマーティ・バリンだ。マーティもまたビートルズに刺激されて、フォークからロックに転向しようとしていた。

サンフランシスコのとあるクラブで出会った2人は意気投合し、同じクラブに出演していたシンガーや知人を集めてジェファーソン・エアプレイン(JA)を結成する。

ファンとの交流に積極的だった彼らはすぐに地元サンフランシスコで人気となり、わずか1年でレコード・デビューを果たす。

ドラムとボーカルが脱退するという危機にも面したが、代わりに入ったジャズ・ドラマーのスペンサー・ドライデンはサウンド面で大きな飛躍をもたらした。そしてヴォーカルのグレイス・スリックは、そこからJAの象徴的な存在となっていく。

この頃、サンフランシスコでは大きな変化が起きていた。全米各地からドロップアウトした若者たちが集まり、共同生活をはじめたのである。
詳しくはこちらのコラムで

やがてヒッピーと呼ばれるようになった彼らは、LSDによって魂が解放されると信じて、ドラッグがもたらす幻覚を強く反映したサイケデリックなカルチャーを発信し始めた。その思想と文化はJAのメンバーにも大きな影響を与えることになった。

メンバーの好きな音楽はそれぞれフォーク、ロック、ブルース、ジャズなど十人十色だったが、バンドの中心だったポールとマーティは、自分たちの音楽を押し付けることなく、むしろそれらを積極的に取り入れていった。

そこにドラッグを連想させるサイケデリックな歌詞やエキゾチックなフレーズが加わって、JA特有のロックンロールが確立する。

1967年には「ホワイト・ラビット」と「サムバディ・トゥ・ラブ」が大ヒットし、彼らはサイケデリック・ロックの旗手に祭り上げられた。


JAはロック・フェスティバルでも引っ張りだこになったが、この頃からマーティがまとめ役から一歩下がるようになったため、ポールはそれまで以上に自分のアイディアを持ち込むようになる。

そうして1969年に発表された6枚目のアルバム『ヴォランティアーズ』は、ポールのプロテストなメッセージ性が前面に押し出された作品で、時代を象徴する1枚となった。


ところがヒッピー・ムーブメントが終息を迎えると、もともと好きな音楽が違っていた彼らは、次第にバラバラになっていく。

ギターのヨーマ・カウコネンとベースのジャック・キャサディはブルース・バンド、ホット・ツナを結成した。1970年にはドラムのスペンサーが脱退、翌年にはポールとともにバンドを支えてきたマーティ・バリンが脱退してしまう。

一方のポールも友人のデヴィッド・クロスビーやジェリー・ガルシアとともに、ジェファーソン・スターシップ(JS)なる別バンドを結成し、1970年にはアルバムを制作していた。結局JAは1972年に解散、メンバーはそれぞれの道を進み始めるのだった。

残されたポール・カントナーとグレイス・スリック、そしてディヴィッド・フライバーグの3人はジェファーソン・スターシップを本格的に始動させる。ポールの好きなSFの世界観が色濃くなり、それまでのサイケデリックな浮遊感はSF的な浮遊感へと変貌を遂げた。


1980年代に入るとポップ路線を目指すメンバーとの対立が目立つようになり、ポールは1984年にバンドを脱退、ジェファーソン・スターシップは“スターシップ”と名を変えて別の道を進み始める。

その後は旧友のマーティ・バリンとジャック・キャサディとともにKBCバンドを始めたり、ジェファーソン・エアプレインのメンバーとの再会を経てスターシップとは別に、新たにジェファーソン・スターシップを結成するなど、ポールは立ち止まることなく精力的な活動を続けていった。

ところが2015年3月に心筋梗塞で倒れると健康面での不安が露呈し、2016年1月28日、多臓器不全と敗血症ショックにより74歳でその生涯に幕を閉じるのだった。

そんなポールは2012年に来日した際、雑誌のインタビューでファンに向けてこんな言葉を残している。

「ロックンロールのカオスとアドヴェンチャーの最前線を探しにきてほしい。
そして僕たちの音楽の構成とその美しさに心を奪われる準備をしてきてくれ」
(「ストレンジ・デイズ」2012年12月号より引用)


フォーク・シンガーとしてスタートを切りながら、時代の変遷や仲間との出会いによって様々な音楽や文化に触れるとすぐにそれを取り入れ、決して1つの場所にとどまることなく、飛行機と宇宙船を乗り継いで飛び続けたその姿勢は、まさに“アドヴェンチャーの最前線”だった。



(このコラムは2016年2月19日に公開されたものです)


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※通常チケットのみ販売。音楽愛の特設ページへの名前入れはありません。

▼通常チケットの購入はこちらから
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