真実の愛はけっして消えることはない
真実の愛はけっして消えることはない。。。
ポップ・ソングの中にはさまざまな職業の主人公が登場する。だが、タトゥーを彫る男が主人公という歌は珍しい。
今回はマーク・ノップラーが2007年に発表した『キル・トゥ・ゲット・クリムゾン』の冒頭に収録されている「トゥルー・ラヴ・ウィル・ネヴァー・フェイド」を紹介しよう。
主人公は観光地の埠頭で、刺青の彫師をしている。そこには、いろいろな理由で、人々が刺青をしにやってくる。彼は、望みの絵柄と言葉を彫っていく。
そして彼は彼女のことを思い出す。彼女のことを。彼女の背中に彫った刺青を。ふたりの愛を誓って、彼はこう彫ったのだ。
<真実の愛はけっして消えることはない>
だが、永遠などないことは、彼の元にやってくる客たちが教えてくれる。刺青を入れにくる客がいるかと思えば、彫った刺青を消しにやってくる人間も多いのだ。それでも彼は、自分が彫った刺青と彼女のことを考えるのである。
真実の愛はけっして消えることはない
真実の愛はけっして消えることはない。。。
目の前を、観光客用のスチームボートが通り過ぎていく。そして彼は、刺青を消したいという客から逃げるように、そのスチームボートに乗ってその場から逃げたい気分になるのだ。
マーク・ノップラー自身は、煮詰まると赤いバイクを走らせる。この歌を書く少し前にも、彼はバイクで事故を起こしているが、バイクに乗ることはやめる気がしない、と彼は語っている。
「それは私にとって、わずかばかりの自由なんだ。もしくは、自由という幻想なのさ」
(このコラムは2017年5月4日に公開されました)
●Amazon Music Unlimitedへの登録はこちらから
●AmazonPrimeVideoチャンネルへの登録はこちらから