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メランコリア〜地球に異常接近する巨大惑星と世界が終わりを告げる時

2024.05.30

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『メランコリア』(MELANCHOLIA/2011)


ダンサー・イン・ザ・ダーク』や『アンチクライスト』など、今やデンマークが世界に誇る巨匠となった映画作家ラース・フォン・トリアー。そんな彼が自らの鬱体験を含みながら、壮大かつ甘美な世界観とともにスクリーンに映し出したのが『メランコリア』(MELANCHOLIA/2011)だった。

これは憂鬱(メランコリア)についての映画だ。そして二面性を持っていて、惑星の地球への異常接近という出来事も描いている。惑星の名は“メランコリア(憂鬱)だ。憂鬱は恋に落ちるのと同じような甘い痛みだよ。惑星メランコリアと地球の衝突はその象徴なんだ。


主演は二人の女優。一人はソフィア・コッポラの『ヴァージン・スーサイズ』や大ヒット映画『スパイダーマン』シリーズでお馴染みのキルスティン・ダンスト。彼女は本作でカンヌ映画祭の主演女優賞を獲得。アメリカ人女優としては18年ぶりの快挙だった。

そしてもう一人はシャルロット・ゲンズブール。あのセルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンの娘であり、80年代半ばにフレンチ・ロリータ・ブームを起こしたこともある実力派。トリアーの前作『アンチクライスト』ではこちらもカンヌで主演女優賞を獲得。

物語はこの二人が演じる、クレアとジャスティンという姉妹それぞれのパートで進んでいく。それにしても冒頭の8分間のプロローグが凄すぎる。美しすぎる。この後に始まる物語の象徴的なイメージが歴史的な名画のような映像で綴られていく。

さらに全編に流れるワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の圧倒的な調べ。そこには観る者を完全に陶酔させる魔力がある。以来、真夜中に輝く満月や不思議な表情を描く夕暮れ空を見るたびに、この映像を意識せずにはいられない。

憂鬱に支配された人間は、普通の人間よりも大きな可能性を秘めている。最悪の状況を常に想定していて、実際に悲惨なことが起こった時には、普通の人々よりもずっと冷静に対応できるんだ。


第1部では、ジャスティン(キルスティン・ダンスト)の結婚パーティが舞台。鬱病を患っている彼女は結婚によって普通の生活ができることを信じているが、姉のクレア(シャルロット・ゲンズブール)とその夫ジョン(キーファー・サザーランド)の大邸宅で開かれる宴では、次第に彼女のコントロール不能な言動がすべてをぶち壊し、心優しい新郎が去っていくという最悪の結末を迎えてしまう。

何もかも妹のためを想って盛大に準備していた疲労困憊のクレアは言う。「あなたが時々たまらなく憎い」。それでも翌朝、姉妹は愛馬に乗って敷地を一緒に駆け抜ける。空を見上げたジャスティンは、蠍座の赤い星アンタレスが消えて無くなっていることを知る。

第2部では、7週間後。鬱が酷くなって憔悴しきったジャスティンがクレアとジョンの邸宅で一緒に暮らし始める。一方でクレアは、地球に異常接近している惑星メランコリアのことが気になっている。知識の高いジョンは決して衝突はないと安心させるが、実は非常時に備えていた。

再び愛馬に跨る姉妹。しかし、惑星メランコリアは月よりも大きく、空に青白く輝いていた。その夜クレアが見たのは、裸になって小川のほとりに横たわり、うっとりと惑星を見上げるジャスティンの姿だった。

日増しに心が軽くなって自分を取り戻していくかのようなジャスティンは、守るべき子供もいて怯えるだけのクレアに、「地球は邪悪。消えても嘆く必要なんかない」と言う。ジョンの様子もどこか変だ。クレアは遠ざかるはずの惑星が徐々に近づいていることを知って愕然とする。そして遂にその時がやって来る……。

ある意味、この映画のエンディングはハッピーエンドなんだ。


圧倒的な世界観と映像美で迫る冒頭8分間のプロローグ映像。一見の価値あり。


『メランコリア』

『メランコリア』


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*日本公開時チラシ
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*参考・引用/『メランコリア』DVD特典映像、パンフレット
*このコラムは2015年10月に公開されました。

評論はしない。大切な人に好きな映画について話したい。この機会にぜひお読みください!
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