1982年、最もセクシーな男の称号を欲しいままにしていた、人気絶頂期のテディ・ペンダーグラスを悲劇が襲った。
3月18日、テディ自身が運転していた愛車のロールスロイスがガードレールに激突。その衝撃で反対側車線を横切り樹木に激突して車は大破。テディは一命はとりとめたものの、脊髄を損傷して四肢不随となる重傷を負ってしまうのだった。
早速マスコミは、「次のテディ・ペンダーグラスになるのは誰?」などと容赦無い記事を書きたてた。
「俺はまだ死んでいないんだ!」
有名なテディ・ペンダーグラスはもう落ちぶれてしまったという世間のイメージと、誰にも理解されない孤独や苦しみと戦いながら、テディは病院で数ヶ月間、懸命のリハビリを行なった。
そしてPIRを離れてエレクトラ/アサイラム・レコードと契約し、1984年にアルバム『Love Language』(邦題『愛の贈りもの』)で復帰する。当時まだデビュー前だったホイットニー・ヒューストンを迎えてデュエットした収録曲「Hold Me」が、ビルボード・チャートの50位以内となる、まずまずのヒットとなった。

そんなテディ・ペンダーグラスが事故後初めてファンの前に姿を見せたのが、1985年のライヴ・エイドだった。アシュフォード&シンプソンと彼らの楽曲「Reach Out And Touch (Somebody’s Hand) 」を大観衆の前で歌ったことで、テディは自信を取り戻すのだった。
(ライヴ・エイド’85からの映像)

アルバムには、テディによってこのように記されている。
The songs of Joy, Love and Happiness recorded for this album are the expression of the joy, love and happiness that has been brought into my life.
このアルバムに録音された喜びと愛と幸せの歌は、僕の人生にもたらされた喜びと愛と幸せの表現なんだ。
そして、アルバムは彼の心の支えとなってくれた、当時の妻カレンに捧げられている。

車椅子の上で上半身でリズムをとって歌うテディ・ペンダーグラスには、もはや戸惑いも苦しみもなく、ただ歌うことへの喜びにあふれている。ライブの後テディはこのように語っていたという。
「あの夜は会場に愛が漂っていた。僕はそれにずいぶんと元気づけられたよ」
(ライブよりオープニング曲「Joy」)

遡るが、テディがソロになって2作目の1978年に発売された大ヒットアルバム『Life Is a Song Worth Singing』(邦題『人生は歌』)のタイトル曲、「Life Is a Song Worth Singing」に歌われている歌詞を最後に味わってみたい。テディ・ペンダーグラスの人生に重ねて。
人生って歌ってみる価値はあるよ
君も歌ってごらんよ
鍵は君がその手に握っているじゃないか
使ってごらん!
人生が思い通りにならないからって
恨むんじゃない
それに立ち向かうんだ!
君の人生で何ができるか
決められるのは、君だけなんだぜ
もうダメだと思うなんて、バカだよ
自分の人生を、うまくあやつることさ
その気になりゃ 人生ってやつは
歌になるくらい値打ちのあるもの
歌ってごらんよ!
参考文献:waxpoetics japan 09号、ソウル・サーチン・ブログ 吉岡正晴著、アルバムCD『Joy』林剛著ライナーノーツより
(前編はこちらから)
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