「本物の音楽」が持つ“繋がり”や“物語”を毎日コラム配信

TAP the POP

ミュージックソムリエ

もう青い瞳のソウルなんて言わせない~ダリル・ホール&ジョン・オーツ

2025.10.10

Pocket
LINEで送る

ダリル・ホール&ジョン・オーツが、真のソウル・シンガーであることを証明したのは、1980年代になってからだ。

ウィリアム・ペンが17世紀にアメリカでペンシルバニアを建設し、あらゆる人種に宗教の自由を保障したことから、宗教的迫害を受けた人々がヨーロッパ中からペンシルバニアに押し寄せた。だからこの州には古くから、多種多様な宗教や人種の移民が共に暮らしている。

ペンシルバニア州の農村地帯であったノース・コベントリーで生まれたダリル・ホールは、いち早く工業化が始まっていた隣町ポッツタウンの、イタリア人や黒人が多く住むゲットーに、子供の頃からよく出入りしていた。

そして14歳の時には、ポッツタウンの聖歌隊のメンバーだった4人と「ディー&ジ・オリジナルズ」というドゥーワップ・グループを結成して歌った。その頃のフィラデルフィアでは、ドゥーワップがリバイバルしていたのだ。

フィラデルフィアのテンプル大学に入学してからは、当時アイドルだったテンプテーションズと大学名を掛け合わせて、「テンプトーンズ」というドゥーワップ・グループを結成した。

アップタウン・シアターのタレント・ショーに出演した時、ゲストだったジェームス・ブラウンのバンドがテンプトーンズの伴奏も引き受けてくれて、本人たちも観客も多いに盛り上がった。

そのことがきっかけで、フィラデルフィアで人気のラジオ局『ソウル・ミュージック・ステーション』のDJだったジミー・ビショップのレコード・レーベルで、初のレコーディングをしてローカル・デビューを果たした。

やがてテンプトーンズが出演していた劇場で、ダリルはテンプテーションズのポール・ウィリアムスとエディ・ケンドリックスに出会い、仲良くなって彼らからアドバイスをもらったり、衣装を貸してもらうようになる。

すごく励みになった。二人は僕にとっては神だったからね。テンプテーションズが大好きだったし、実際に会い一緒に過ごせたことは、とても貴重な経験となった。


その後、ダリルはジョン・オーツと出会って、二人でコンビを結成するのだが、それもテンプテーションズをジョンに紹介したことがきっかけだったという。

1976年の「サラ・スマイル」と「追憶のメロディ」、1977年の「リッチ・ガール」がヒットして以降はしばらくヒット曲に恵まれなかった。だが、彼らはめげなかった。

1980年代は、僕らの時代だ。


ダリル・ホールの言葉通り、1980年代に入ってからは「キッス・オン・マイ・リスト」「ふられた気持ち」「ユー・メイク・マイ・ドリームス」と、アルバム『モダン・ヴォイス』から立て続けにヒット曲が生まれた。

1981年のアルバム『プライベート・アイズ』からもタイトル・ナンバーが全米No. 1ヒットとなり、続けて「アイ・キャント・ゴー・フォー・ザット」は全米チャートのみでなく、ソウル・チャートでも初の1位にランクインした。このことは彼らの大きな自信につながった。

「I Can’t Go For That (No Can Do)」


R&Bやソウル・ミュージックに強く影響を受けた白人ミュージシャンを、「ブルー・アイド・ソウル」と呼ぶ。これは、黒人と白人の両方からの揶揄が含まれることもある。

ライチャス・ブラザーズを始め、ロバート・パーマーやヴァン・モリソンなど、ここに括られて語られることも多い。ダリル・ホール&ジョン・オーツも、ずっとそう言われ続けてきた。しかし、ダリルはそのことを嫌っていた。

ひどい言われ方だったよ。だから僕はいつもジョークを言っていたんだ。「もし黒人がオペラを歌ったら“ブラウン・アイド・オペラ”とでも呼ぶのかい?」僕はソウル・シンガーなんだ。目の色なんか関係ない。


そして1985年5月23日、彼らはハーレムにある『アポロ・シアター』で、テンプテーションズのデヴィッド・ラフィンとエディ・ケンドリックスとともにライヴを行い、名実ともにソウル・シンガーであることを示した。その様子はアルバム『ライヴ・アット・ジ・アポロ』として発売された。

さらには、同年7月13日の『ライヴ・エイド』にもこのメンバーで出演。ポップ・ヒットが続いた1980年代も、彼らのソウルはずっと変わらず燃え続けていたのだった。

「My Girl」David Ruffin, Eddie Kendricks, Hall & Oates live at the Apollo 1985


参考・引用
「ホール&オーツ ロックン・ソウルを求めて」林洋子著 シンコーミュージック、 NHK SONGS 2011年2月ダリル・ホール独占インタビュー


●この商品の購入はこちらから

●Amazon Music Unlimitedへの登録はこちらから
●AmazonPrimeVideoチャンネルへの登録はこちらから

Pocket
LINEで送る

あなたにおすすめ

関連するコラム

[ミュージックソムリエ]の最新コラム

SNSでも配信中

Pagetop ↑

トップページへ