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7月のナンバーワンアルバム⑦〜ウイングス/ジャネット・ジャクソンほか

2019.07.17

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「TAP the COLOR」連載第369回〜RED〜

1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。7月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?


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サミー・デイヴィス・ジュニア『Starring Sammy Davis Jr.』(1955)
歌にダンス、映画に舞台に、まさにエンターテイナーの中のエンターテイナーとして、日本でも知名度が高かったサミー・デイヴィス・ジュニア。本作は記念すべきデビュー作(3週1位)。前年に片目を失うという事故に遭遇しながらも、実に表情豊かな歌唱で楽しませてくれる。人知れず努力を積み重ねたからこそ、彼は彼しか作ることのできない領域をクリエートした。1990年、64歳で他界。

ウイングス『Wings at the Speed of Sound』(1976)
余りにも巨大で深いビートルズの幻影と向き合ってきたポールが、妻リンダと共にウイングスとして再スタートを切ったのが1971年。『Band on the Run』(1973)などの傑作を生み出していく中、ウイングスがポールのプロジェクトではなく、一つのバンドであることを証明したのが本作(7週1位)。各メンバーがヴォーカルを取っていることからもその姿勢が伺える。ナンバーワン・ヒットの「Silly Love Songs」が生まれた。


ジャネット・ジャクソン『Control』(1986)
「マイケルの妹」というだけだったジャネットが、その存在を自立させたのが本作(2週1位)。ジミー・ジャム&テリー・ルイスのプロデュースで一気に時代の最先端に躍り出た。そのサウンドとヴィジュアルはMTV時代のニーズと合致しただけでなく、当時としては革新的なものであり、ゆえに若い世代を熱狂させた。「Nasty」「When I Think of You」「Let’s Wait Awhile」など6曲ものヒットを収録。次作『Rhythm Nation 1814』(1989)と併せて、日本のダンスシーンに与えた影響は計り知れない。


ヴァン・ヘイレン『For Unlawful Carnal Knowledge』(1991)
サミー・ヘイガー在籍時のヴァン・ヘイレンのスタジオ録音作はすべてナンバーワンという事実(ちなみにデイヴ・リー・ロス時代は何とゼロという意外性)。本作は『5150』(1986)『OU812』(1988)に続く3枚目のトップ獲得(3週1位)。「Poundcake」「Right Now」などを収録。80年代ののHR/HMを否定したオルタナティヴ・ロック全盛期が到来しても、彼らは強かった。それは演奏にも現れている。


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