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私の人生を変えたアルバム~コリーヌ・ベイリー・レイ・インタビュー(後編)

2018.05.26

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~前編より続く

時にロックだったり、ポップだったり、またはフォーキーで、ジャジーで、そしてソウルフルだったり。
一つのジャンルにくくれない幅広い魅力を持ったコリーヌ・ベイリー・レイの音楽背景を、ぜひ訊いてみたいと思い、少し面倒かもしれないと思いながらも最後にこんな質問をぶつけてみた。


ー少し前からインスタグラムなどのSNSで「#私を構成する9枚(#9albums that changed my life)」というハッシュタグが話題なのですが、あなたにとっての9枚はどんなアルバムなのでしょうか。


私の人生を変えた9枚のレコード、私の頭に思い浮かぶのは。。。

『Star』Belly (1993年)

ベリーの『スター』は、音楽があんなにもシンプルで、パーソナルで、そして女性的であれるのだということを教えてくれました。女性の人生に起こる日常の出来事を歌っていて、ポップミュージックでありながらとても普遍的と思えるものでした。ギターのリフとドリーミーなエフェクトが、どれも全部大好きでした。



『Songs for Distingue Lovers』Billie Holiday (1957年)

このアルバムを好きなのは、ビリー・ホリデイの声を“知っていた”からです。
彼女がアーティ・ショウのバンドで歌う声を私は知っていましたし、ビッグバンドによるアレンジで歌う声も知っていました。
だけどこのアルバムで歌う彼女の声は、そういったストリングスや洗練された演奏で聴くのとは、全く違う系統にあったんです。
それは私に、ドレスアップが変われば表現される声もまた変わる、ということを気づかせてくれました。



『Voodoo』D’Angelo (2000年)

このレコードに含まれているたくさんのレイヤーが私は好きです。特に、テクスチャーやカラーを作り上げるために、彼の声を一つの楽器として使っているところに惹かれます。
全ての歌がはっきり違っているのに、どこかしら一貫性があるのです。これこそがアルバム制作における究極の目的だと私は思いますし、それを実現するのは本当に難しいことだと思うのです。
何度聴いても、聴くたびに新しい発見があるこの『ブードゥー』は、私にとってとても特別なアルバムです。



『Debut』Bjork (1993年)

ビョークの『デビュー』は、彼女の声とサウンドの生々しさ、自然との対話性など、入門として聴くにはあまりに驚くべき内容でした。中でもトイレに潜入して録音したかのような楽曲「ライフ・ザン・ディス」が大好きです。
フィールド・レコーディングをダンス・ミュージックに取り込んでみたり、都会的、あるいはテクノ的だと思われているようなものに、自然のイメージを編み込んでいくような彼女のやり方が、私は大好きです。ええ、あれは本当に素晴らしいレコードでした。



『To Pimp a Butterfly』Kendrick Lamar (2015年)

ケンドリック・ラマーの『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』は、私の人生を変えました。
とっても野心的な作品で、表面的にはヒップホップなのですが、よくよく聴いてみると話し言葉と詩、即興とファンクによって成り立っているのです。
アルバムの中では演目が繰り返され、そしてそれが全ての道へと開かれている、そんな壮大で、野心的で、映画的な性質を持ったこのレコードが、私は大好きです。さらにはポピュラー音楽のど真ん中にコズミック・ジャズを持ってきた、そんなところも!
リスナーが彼の音楽をポップスとしてどう捉えるか、あるいはラジオでどう扱われるか、そういった懸念やプレッシャーなど、少しも感じることなく制作したのでしょうね。



『The Secret Life of Plants』Stevie Wonder (1979年)

『シークレット・ライフ』は、私がスティーヴィー・ワンダーを知るきっかけになったアルバムです。両親が持っていて、アルバム表紙の点字にとても興味を惹かれましたし、まるで花が歌っているかのような楽曲「花の精」とかが好きでした。たくさんの自然が歌われているのも好きですし、なんともヒッピーな録音で、聴いたことのないクレイジーなシンセの音に夢中になりました。
私が初めて聴いた時には、すでにアルバムが出てから数年が経っていました。80年代の中頃か90年代の初め頃でしたが、どこか奇妙な感じがして、事あるごとに聴き直していました。
このアルバムはスティーヴィー・ワンダーの入門として、私にとってとても重要なアルバムだったのです。



「Visions』Lena Fiagbe (1994年)

リナ・ファイアグブの『ヴィジョンズ』というアルバムが大好きで、この作品は『ヴィジョンズ』と『ロウ』という2枚のレコードで成り立っています。
『ロウ』はアコースティックによる作品で、私はこの時初めて、作り込まれたプロデュース音源と、生の音源が同時に提示されている作品と出会いました。
ギターを練習していた私は、おそらくこのアルバムがきっかけで、黒人の女性がギターを弾きながら、とてもシンプルなラブソングを歌う世界へと足を踏み入れたのです。自分より先に同じ道を歩んでいる人がいるのを知って、何かが私の頭の中ではじけたのです。

黒人の女性ギタリストでシンガー・ソングライターとして生きている人は、多くはありません。彼女は間違いなく、私にどのようにして歌を作り、レコードを作り、どんな風にやっていくのかを、想像させてくれる手助けをしてくれた存在です。
このアルバムは、私がどちらかというとアコースティックなレコードのほうが好きなことを、そしてどのようにレコードをプロデュースしたいのかということを思い出させてくれました。
私のファースト・アルバムに大きな影響を与えた作品です。



以上の7枚のアルバムをあげてくれたコリーヌ。
ラストの2枚は2枚組のアルバムなので、9枚と言っていいのかもしれない。
ビリー・ホリデイから、最新のケンドリック・ラマーまで、いつでも彼女が音楽に対してオープンマインドでいることがうかがえるエピソードばかりだ。
特に彼女が10代の多感な頃を過ごした時に聴いたのであろう1990年代の音楽は、とてもパーソナルで個性的なものが並んでいて興味深い。
このインタビューから、コリーヌ自身と彼女の音楽の魅力を少しでも感じてもらえたら嬉しい。
待望の来日公演はもうすぐだ。


コリーヌ・ベイリー・レイ来日公演

【大阪】
6月6日(水)@ Billboard Live OSAKA
詳細はコチラ

【東京】
6月8日(金)@ Billboard Live TOKYO
6月9日(土)@ Billboard Live TOKYO
6月10日(日)@ Billboard Live TOKYO
詳細はコチラ


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