小室等(六文銭)、高田渡、はっぴいえんど、細野晴臣、大瀧詠一、はちみつぱい、あがた森魚、南正人など、日本のフォークやロックの歴史における重要な礎を築いた名作の数々を発表してきたレーベルがある。
講談社の系列だった老舗のキングレコードのなかに、従来の歌謡曲とは違う新しい制作チームが発足したのは1971年の後半のことだ。
ベルウッドの名前を冠した最初のレコードは1972年4月25日に世に出ている。
記念すべきラインアップは六文銭『キングサーモンのいる島』、高田渡『系図』、山平和彦『放送禁止歌』という3枚のアルバム、あがた森魚「赤色エレジー」および友部正人「一本道」のシングル盤だ。
それに先立って3月19日、池袋の西武デパートの前ではベルウッド発足記念のイベントが開催されている。
六文銭、高田渡、山平和彦、あがた森魚、友部正人のほか、はっぴいえんども出演するレーベル所属アーティストの顔見世的なコンサートとなった。
発売からまもなく、思いもよらぬ大ヒットが生まれて、レーベルに最初の成功がもたらされる。
それは、あがた森魚の「赤色エレジー」だった。
日本のカウンターカルチャーの最先端を目指したレーベルから、早くもメジャーシーンで最新のヒット曲が生まれたのである。
<参照記事・変な歌や訳がわからない歌の代表格、あがた森魚の「赤色エレジー」>
「ベルウッド・レコード」の発案者でチームのリーダーシップをとっていたのは、当時はまだ27歳の三浦光紀というキングレコードの社員だ。
1968年4月キングレコードに入社した三浦は文芸部教養課に配属されると、ベテラン・ディレクターだった長田暁二のアシスタントとしてキャリアをスタートさせていた。
先輩ディレクターの小池康之から六文銭を結成したばかりの小室等を紹介されて、ギター教則レコードを制作することを思いついて、『フォーク・ギターの世界』として実現したのは入社から2年目のことだった。
それをきっかけにアメリカのフォークソングに興味を持ち始めた三浦は、キングレコードから出ていた洋楽のレコードを熱心に聴くようになる。
1970年に中津川の全日本フォークジャンボリーが開催されると、三浦は会社の許可も出ないまま現地に行って野外録音を強行する。
そこで高田渡やはっぴいえんどの音楽と出会ったことが、日本の音楽史の大きな節目ともなっていくのだった。
商業主義と一線を画して活動していた若いアーティスト達と仕事をするようになってから、三浦はアメリカにはフォークやロックの分野で特にルーツ系ミュージックを体系的に記録しているレーベルがあることを知った。
自分の仕事に先に、一筋の光が見えたのである。
1971年の歴史的な第3回全日本フォーク・ジャンボリーを録音した後で、三浦は記録されていた音源を聴いていた時に、あがた森魚とはちみつぱい(ムーンライダースの前身)が演奏した「赤色エレジー」を発見する。
そして翌年には彼らをプロデュースすることになり、思わぬヒット曲が誕生して独立レーベルが発展していくことになるのだ。
その年の11月に行われたヤマハが主宰する作曲コンクール「「合歓(ねむ)ポピュラーフェスティバル’71」では、小室等の「出発の歌~失われた時を求めて~」(歌と演奏・上條恒彦と六文銭)が国内大会で優勝している。
11月27日に日本武道館で行われた第2回世界歌謡祭でもグランプリに輝いたことから、三浦は「出発の歌/アルカディア」というシングル盤を発売して大ヒットに結びつけた。
独立レーベルとしての「ベルウッドレコード」がキングレコード内に設立されるのは1972年の春だが、実質的には「出発の歌/アルカディア」が大ヒットした頃から準備体制は整いつつあったのだ。


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