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原田知世──歌手としての35年間を彩った代表曲の数々を、鮮やかにリメイク

2017.07.18

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1982年のデビュー以来、女優として活躍し続ける原田知世。彼女の35年間は、歌手として着実に歩みを重ねた道のりでもある。

初主演映画『時をかける少女』(1983年)の主題歌「時をかける少女」(詞・曲:松任谷由実)は59万枚近くを売り上げる大ヒットとなり、以降80年代は自らが主演する映画の主題歌を中心にシングル/アルバムを発表していった。当時の活動を、彼女はこう述懐している。

あの当時は、あくまでも映画のための音楽だったので、歌もコンサートも、映画のプロモーションのためにやっていて、女優の仕事がメインでしたね。(音楽との向き合い方も今とは)全然違ったと思います。今は自由に、楽しみながらのびのびと歌えるようになりました。あの時は、ただただ一生懸命に、すべてのことを必死にやっていましたね。
Qetic 原田知世インタビュー(2017年7月5日掲載)より


90年代に入ると、歌手としての活動が本格化。原田が「私の音楽生活を覚醒させてくれた人物」と公言してやまない鈴木慶一がプロデュースを手掛けた『Garden』、カーディガンズなどの仕事で知られるトーレ・ヨハンソンをプロデューサーに迎えスウェーデンで録音した『I clould be free』などの傑作アルバムを次々に発表。自ら作詞・作曲を手がけ、さらにはセルフ・プロデュースによるアルバムも発表するなど、アーティスティックな才能も開花させていった。

2007年に発表された25周年アニバーサリー・アルバム『music & me』からは、ギタリスト/作曲家の伊藤ゴロー(MOOSE HILL/naomi & goro)とのタッグで音楽活動を展開。ムームらをゲストに迎えアイスランドでの録音を敢行した『eyja』や、カバー・アルバム『恋愛小説』シリーズなどを発表。2011年からは伊藤のギターと2人3脚による歌と朗読の会〈on-doc.〉を全国各地で開催している。また原田個人の音楽活動と並行して、2007年からは高橋幸宏、高野寛、高田漣らとバンド〈pupa〉を結成。2枚のアルバムを発表している。

年を重ねるごとにわたし自身が変化していて、音楽にもそれが表れていると思います。変わらないところは、毎回、また新しい扉を開いてくれるような方とアルバム作りをすること。
HMVオンライン 原田知世インタビュー(2007年11月1日掲載)より

いまの自分がもっとも反映される場所というか……“素”に近いんです。だから、振り返ると、アルバムごとにそのときの自分がいる。
Openers 原田知世インタビュー(2014年6月3日掲載)より


35年にわたる音楽活動を彩ってきた楽曲の数々から代表曲やファンからの人気が高い曲を選りすぐり、〈今の歌〉としてリメイクしていったのが、最新アルバム『音楽と私』だ。



プロデューサーの伊藤をはじめ、近年のレコーディングやツアーを共にしてきた気心知れたミュージシャンたちが脇を固め制作された今作。10年前の『music & me』ではボサノヴァ調のアコースティカルなアレンジでセルフカバーを解禁した「時をかける少女」は、今回のニュー・バージョンでは華やかなストリングスでドラマチックな装いに。90年代を代表する1曲で新たなファン層を獲得したスウェディッシュ・ポップ「ロマンス」は原曲の爽やかさを活かしながら、今の彼女ならではのナチュラルな美しさを反映させた1曲となった。

デビュー当初の原田の楽曲を多く手がけた松任谷由実「ダンデライオン〜遅咲きのタンポポ」や、原曲以上にフレンチ・ポップの色合いを強めた大貫妙子「地下鉄のザジ」といった楽曲から、原田自身がどうしても入れたかったという「ときめきのアクシデント」や「天国にいちばん近い島」はギターやピアノのみのシンプルなアレンジで、楽曲の素晴らしさと彼女の歌声の魅力が際立った。

そして、アイリッシュな側面にフォーカスを合わせた鈴木慶一作曲の「空と糸 -talking on air-」、伊藤ゴローとのコラボで生まれ、近年の代表曲と原田自身も位置付ける「うたかたの恋」、キセルが楽曲提供し、ここ10年近くライブの定番曲となっている「くちなしの丘」では、ギターの弾き語りにも挑戦するなど、2000年代に入って生まれた名曲たちも、フレッシュな息吹が注がれている。

その時々の作家の方々が、等身大の私をしっかり見つめて曲を書いて下さっていて、曲のなかに自分の姿が見える気がしました。(中略)ずっと〈日常と音楽が近くなればいいな〉と思ってきたんですけど、ゴローさんとの10年でその理想の形が実現できた気がします。(中略)私にとって、ここ(音楽)が帰る場所になってきているんだと思います。
原田知世オフィシャルサイト『音楽と私』インタビュー(2017年7月掲載)より


女優活動の一環としてはじめた〈音楽〉が、自らの好奇心や表現欲、そして日々の想いを投影する大切な場へと変化していく──そんな35年間の足跡を辿りながら、大切な宝物を愛でるように名曲たちを歌い上げていく。透明感のある爽やかな歌声はそのままに、しかし年齢を重ねた今だからこそ表現しえる深みを湛えた原田知世の歌。この作品で彼女が35年に渡って作り上げてきた〈音楽〉と、積み重ねてきた〈私〉の時間が、ようやく1つに重なったのかもしれない。

原田知世『音楽と私』

原田知世『音楽と私』

(Verve/Universal Music)


原田知世『音楽と私』特設サイト
http://haradatomoyo.com/special/ongakutowatashi/

official website
http://haradatomoyo.com/



Live Schedule
原田知世 35周年アニバーサリー・ツアー“音楽と私”

9月1日(金) 京都・ロームシアター京都 サウスホール
9月23日(土・祝) 山形・シェルターなんようホール(南陽市文化会館)
10月7日(土) 福岡・電気ビルみらいホール
10月14日(土) 広島・東広島芸術 文化ホール くらら
11月28日(火) 東京・Bunkamuraオーチャードホール

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