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「九月が終わったら、起こして」~父を亡くした少年の思い出を歌ったグリーン・デイのヒット曲

2017.09.01

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グリーン・デイのヴォーカル、ビリー・ジョー・アームストロングの父はジャズ・ミュージシャンだった。
しかし音楽では暮らしが成り立たず、トラックのドライバーで生計を立てて家族を養っていた。

6人兄弟の末っ子だったビリーは幼い頃から歌の才能を発揮したので、父から音楽の手ほどきを教えてもらっていた。
そんな父が食道癌と宣告されたのは1983年4月だった。

そこから夏の闘病生活を経て、秋を迎えた9月10日に父が亡くなった。
11歳だったビリーはベッドで毛布をかぶって泣きながら、母親にこう言ったという。

「九月が終わったら、起こして」

父を失くした悲しみのなかで、ビリーは母が再婚した相手(継父)に馴染めないまま音楽に没頭していく。
サンフランシスコの対岸にあるイーストベイに住む仲間たちと一緒にパンクバンドを始めたビリーが、地元のマイナー・レーベルに認められたのは1990年である。

ビリーがグリーン・デイとして最初のアルバムを出したとき、父の死からは7年の歳月が過ぎていた。

親父が逝ってしまったあの時のように
七年が過ぎるのはあっという間だった
九月が終わったら、起こして


DOOKIE グリーン・デイ


グリーン・デイ初のメジャー作品として1994年に発表したアルバム『ドゥーキー(Dookie)』は、カレッジ・チャートで支持されて大ヒットし、全米だけで1000万枚を越すセールスを記録した。

1995年の『インソムニアック(Insomniac)』、1997年の『ニムロッド(Nimrod)』、2000年の『ウォーニング(Warning)』と、確実にヒット・アルバムを出したグリーン・デイは、ライブを重ねて王道のロックバンドになっていく。

そして2004年の9月、アルバム『American Idiot(アメリカン・イディオット)』が発売になった。
アルバムが作られた背景には、9.11同時多発テロをきっかけにブッシュ大統領が中東で始めた戦争があった。

それによって動揺していたアメリカの現実が、アルバムの骨格となっていたのである。



11曲目に収められていた「ウェイク・ミー・アップ・ホウェン・セプテンバー・エンズ」は、”9月”という単語から9.11同時多発テロを連想させた。
オフィシャルビデオではイラク戦争に駆り出される若者の物語が描かれている。

冒頭のショートストーリーは田舎町に暮らす若いカップルが、いつまでも一緒にいようと気持ちを確かめるシーンから始まる。
不安そうな女の子は、私を置いて行かないでと願う。


「ずっと離れたくない ずっと一緒にいてね 愛してる」
「わかってる、わかってるよ」
「私を置いて行かないでね」
「もちろん」
「ほんとうに置いて行かないでね」
「わかってるよ、わかってるさ」


しかし、男の子は志願兵となる道を選ぶ。
兵役につけば収入が保障されるし、米国民を守るという使命を果たすことで尊敬も得られる。
除隊後は奨学金を受給して、大学にも行けるのだ。


永遠の愛を誓ったパートナーが自分のもとから離れて行ってしまうことに、彼女は泣き叫んで反対する。

避けては通れない過酷な現実を前にして、答えが簡単に見つかるわけはない。
男の子は兵士となって戦場に行く。

父を亡くした悲しみを歌った「ウェイク・ミー・アップ・ホウェン・セプテンバー・エンズ」は、非戦・反戦のメッセージとも共鳴してヒット曲になった。
そしてアルバム『アメリカン・イディオット』は2005年のグラミー賞で「最優秀ロック・アルバム賞」に輝いた。

自分の記憶を消そうとしても
失くしたことを忘れることはない
九月が終わったら、起こして

親父がこの世を去った時のように
二十年もの年月が足早に過ぎて行った
九月が終わったら、起こして


ビリーはアルバムを出した時のインタビューで、「音楽によって何かが変えられると思いますか?」という質問にこう答えている。

影響は与えられると思うし、その時起こっていることの写真を撮るような意味合いはあると思うんだ。
だって音楽は音楽の歴史に残るだろう。
そして歴史から学ぶのはそれを繰り返したくないという想い。
だから音楽というメッセージ、もしくはコメントは戦争みたいなことを繰り返さないようにするのに役立つんじゃないかな。



(注) このコラムは2015年8月21日に公開されました。
ビリー・ジョー・アームストロングの言葉は、「Green Day / General Interview for the album『American Idiot』 2004.08.06@Tokyo」からの引用です。

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