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「TAP the COLOR」連載第131回
1986年から始まった「ロックの殿堂」(Rock and Roll Hall of Fame) は、デビュー25年以上のミュージシャンやバンドを対象としているが、2015年のセレモニーでは、ポール・バターフィールド・ブルース・バンド、ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ、ルー・リード、グリーン・デイ、スティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブル、ビル・ウィザースらが殿堂入りした。
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ポール・バターフィールド・ブルース・バンド『The Paul Butterfield Blues Band』(1965)
アメリカのホワイト・ブルース・シーンの顔役的存在だった彼らの記念すべきファースト・アルバム。ポール・バターフィールドはシカゴ育ちで、シカゴ・ブルースを幼い頃から肌で感じていたという。イギリスで同時多発的に起こったブルース・ロックと比べても、よりブルース臭さを漂わせているのは、メンバーが白人黒人混成という点を見れば納得。マディ・ウォーターズ、エルモア・ジェイムズ、ウィリー・ディクソンなどのナンバーをカバー。
ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ『Glorious Results of a Misspent Youth』(1984)
元ランナウェイズのギタリスト、ジョーン・ジェット率いるバンドが「I Love Rock ‘n’ Roll」でナンバーワン・ヒットを放ったのが1981年。本作は彼女の4枚目で、隠れた名曲「I Need Someone」を収録している傑作だ。心の底からR&Rが大好きなんだと感じられる演奏や歌いっぷりは、何度も聴きたくなるような魅力を秘めている。ブレない稀なロックンローラー。
スティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブル『Texas Flood』(1983)
アメリカのブルース・サーキットでは既に彼らのことを知らない者はいなかった。そんな1982年7月17日。毎年恒例のモントルー・ジャズ・フェスティバルがスイスのレマン湖畔の町で行われ、27歳のスティーヴィー・レイ・ヴォーン率いるダブル・トラブルのステージが始まった。しかし、世界へ向けての華々しい出発点になるはずだった夜はブーイングの嵐。怒りと悲しみの狭間でSRVはステージを後にする。1年後のデビュー作でも、引き続きブルースに身を捧げたとしか言い様のない凄まじいプレイを繰り広げ、3年後のモントルーでは盛大な歓迎を受けることになった。
グリーン・デイ『Nimrod』(1997)
1994年、ニルヴァーナのカート・コべインが伝説になった頃、イギリスではブリット・ポップの狂騒が幕開けた時、アメリカではポップ・パンクが大ブレイクした。その先頭を走ったのがグリーン・デイ。本作はブレイク後の3枚目で、どこか切ないメロディにも磨きがかけられた普遍的なパンクを聴かせる。彼らはこの時、2004年に『American Idiot』で再ブレイクするとは思いもしなかった。
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