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意味不明の歌詞でも大ヒットした森山加代子の「じんじろげ」は中村八大による多国籍ポップス

2019.01.13

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日本における”変な歌”の歴史において筆頭格、まるで意味不明な歌詞にもかかわらず1961年に大ヒットした「じんじろげ」は、インドが発祥地といわれる原曲をもとにした多国籍ポップスである。

歌い出しの歌詞は「ちんちくりんのつんつるてん まっかっかのおさんどん おみやにがんかけた ないしょにしとこう」というものだ。
それがどうやら日本語らしいとはわかっても、何を意味するのかまではわからなかった。
しかもその先からは、呪文のような感じの奇天烈なフレーズが続いていくので、当時の人にはどこの国の言葉に由来するのかさえわからなかった。

「じんじろげ」
作詞:渡 舟人 作曲・編曲:中村八大

ちんちくりんのつんつるてん
まっかっかのおさんどん
お宮に願かけた 内緒にしとこう

ジンジロゲーヤ ジンジロゲ
ドーレドンガラガッタ
ホーレツラッパノツーレツ
マージョリン
マージンガラチョイチョイ
ヒッカリコマタキ ワーイワイ


それにもかかわらずこの”変な歌”は、何やら怪しげな歌詞とノリの良いサウンドがごきげんだったので、森山加代子のハツラツとした若さと可愛らしさ、そして品のいいヴォーカルの魅力と相まって大ヒットを記録したのである。




ロカビリー出身の森山加代子は18歳のアイドル・シンガーで、イタリアのミーナが歌った「月影のナポリ」を日本語で歌ったデビュー曲がヒットしたことで、カヴァー・ポップスで最も人気があるスターの一人になった。
それが1960年6月のことだった。

「 月影のナポリ(Tintarella di luna)」

 ティンタレラディルナ 蒼いお月様
 あの人に云って キスして欲しいって
 そしてお月様 ねェ 彼を返して

 ティンタレラディルナ あの人を街で
 初めてみたとき 月が出ていたっけ
 あのとき私は ねェ 恋をしたのよ

 ティン ティン ティンと 胸の鳴る
 ティン ティン ティン あまい恋よ
 お月様 その光で


こちらもまた「ティンタレーラディルンナ」と聴こえる歌の出だしから、普通の人にはまるで意味不明のイタリア語である。
そもそもミーナの原曲はアメリカのブルースとロックンロールが、イタリアでカンツォーネと融合して生まれた曲だった。
「錫」を意味する英語の「Tin」を取り入れて「ティン ティン ティン」と繰り返したのは、作詞家の岩谷時子によるアイデアだったらしい。


イタリア製の西部劇映画はマカロニ・ウェスタンと呼ばれたが、マカロニ・ロックンロールが日本語でカヴァーされて多国籍化し、森山加代子のハリのある歌声で「月影のナポリ」はヒットした。

セカンド・シングル「メロンの気持ち」もやはりカヴァーで、原曲はキューバの「Corazon De Melon(メロンの心)」。
これもまた、“♪ コラソン デ メロン デ メロンメロンメロンメロンメロン~” のフレーズが印象に残るラテン・ナンバーだった。

こうして言葉遊びのような歌詞のカヴァー曲が続けてヒットしていたことから、森山加代子をスカウトしたマナセプロダクションの曲直瀬社長は、学生時代に耳にしたことがあった「ヂンヂロゲ」という奇妙な歌のことを思い出したという。



それを森山加代子の新曲に仕上げてほしいと、曲直瀬は懇意にしていた作曲家の中村八大に相談した。
うろ覚えだった歌とメロディーを口伝えで教えてもらった中村八大は、さっそくラテンのリズムをベースにした多国籍ポップスを誕生させていく。

こうして新鮮な若さと健全さが注目されていた森山加代子という歌手から、滑舌のいいヴォーカルの魅力を最大限に引き出した中村八大のセンスと、卓越したアレンジによって摩訶不思議な大ヒット曲が誕生したのである。

「じんじろげ」から半年後、中村八大はマナセプロダクションの坂本九のために「上を向いて歩こう」を書き下ろして、自分のリサイタルで発表している。
作曲家としての才能はもちろんだが、プロデューサーとしていかに優れていたのかがわかるエピソードだ。



(注)本コラムは2014年8月に公開された内容をもとに、大幅に加筆修正をしてタイトルも変更しました。
なお、「じんじろげ」の原曲と推定されるのは、インドで子供向けの歌として知られる「Chanda Mama Door Ke」です。詳しくは「チャンダ・ママ インド童謡 Chanda Mama Door Ke 日本の歌謡曲『じんじろげ』の原曲?」を参照してください。


『明日があるさ~中村八大作品集』
EMIミュージックジャパン

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