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「TAP the COLOR」連載第77回
例えば、ラモーンズの「Do You Remember Rock ‘n’ Roll Radio?」やザ・クラッシュの「Hitsville UK」など、そのバンドにとってはちょっとポップな曲があるけれど、でもそんなことは実際どうでも良くて、聴くだけで胸が熱くなる。パンクが遺してくれた音楽愛を想って。
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ラモーンズ『End of the Century』(1980)
チャートやセールスとは縁がないラモーンズのキャリアだが、スタジオ録音5枚目となった本作では、フィル・スペクターをプロデューサーに迎え制作。ジャケット写真もポップでカラフルな仕上がりに。R&R不滅の名曲「Do You Remember Rock ‘n’ Roll Radio?」収録というだけで、それだけでいい。新宿ツバキハウスでの大貫憲章「LONDON NITE」で必ず聴こえていた夜を思い出す。
トーキング・ヘッズ『Remain in Light』(1980)
NYアンダーグラウンド/パンクシーンから登場した彼ら。本作ではデビュー当時から発揮されていたインテリジェンスに、アフロビートやファンクの肉体的躍動感/陶酔感が加わって、1980年代を代表する大名盤になった。プロデュースはブライアン・イーノ。余談だが、江口寿史が探偵ギャグ漫画『ひのまる劇場』の第1話オープニングで本作のジャケットを描いたこともあった。
ザ・クラッシュ『Sandinista』(1980)
全36曲144分、当時は3枚組という大作としてリリースされた4枚目。前作『London Calling』が隙のない完璧な名作ということもあり、本作は散漫な印象で評価がされることが多いが、ジョー・ストラマーとはまた違った魅力を持つミック・ジョーンズの「Hitsville UK」や「Somebody Got Murdered」もやはりザ・クラッシュ。聴くだけで胸が熱くなるバンドなんて、そうはいない。
シャム69『Tell Us the Truth』(1978)
1970年代後半、どうしようもない気持ちを抱えてストリートを出歩いたワーキングクラスの若い世代の心を掴んだデビュー作。イギリスのユースカルチャーとも関係性がより深く、パンクスだけでなくスキンヘッズたちに愛されたバンドとしても語られる。パンクに最も大切な力=熱さという血が全編に流れつつも、どこか哀切な世界観が漂う。
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