★ダウンロード/ストリーミング時代の色彩別アルバムガイド
「TAP the COLOR」連載第14回
アスファルトには様々な人生を描くことができる。都市生活に疑念を抱いた男女が訣別を告げる道。スモールタウンから出て来た少年少女の夢が歩き始める道。孤独な旅路にいつも心と一緒にいてくれる道。そして自分の中の革命や青春を祝祭するための道──すべては自由へと繋がる道。その色は永遠に“グレー”であるべきだ。
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オアシス『(What’s the Story) Morning Glory?』(1995)
米国のグランジブーム終焉と入れ替わるように登場した英国のポップカルチャー「ブリットポップ」を代表する1枚であり、溢れんばかりのロック信念が刻まれた感動作。ギャラガー兄弟の相反する個性もバンドの魅力。確かな音楽体験に裏付けされた楽曲のクオリティ、ロックスター然とした面構えが忘れられない。2009年解散。
ケミカル・ブラザーズ『Exit Planet Dust』(1995)
それまでバンドアプローチが中心だったダンス/クラブとロックの融合。しかし1990年代半ば以降、彼らの登場によって「デジタル・ロック」「ビッグ・ビート」の名のもと、DJ/ダンスアクトがシーンを牽引していく。97年のセカンドではオアシスの兄ノエルをfeatして全英1位を獲得したのも、そんな時代の然るべき象徴だった。
クラフトワーク『Autobahn』(1974)
ドイツが生んだエレクトロ音楽のパイオニア。まだまだコンピュータ文化が浸透していない時代、彼らはシンセサイザーを使ったポップな音でその面白さと無限の可能性を教えてくれた。高速道路をドライヴする様子を描写/表現したタイトル曲がヒット。その後の音楽的影響の地図は、実はビートルズをも凌ぐとさえ言われている。
J・マスシス『Free So Free』(2002)
別名「ダイナソーJr.」とも呼ばれる。ソロ名義であろうが音やスタイルは何ら変わらず。1985年にデビューして以来、轟音ノイズと泣きのメロディが融合した壮絶なギターロックで街道を突き進む。そこにニール・ヤングのような、旅人のさすらい感覚を見出さずにはいられない。アルバムタイトルがすべてを代弁してくれる。
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