★ダウンロード/ストリーミング時代の色彩別アルバムガイド
「TAP the COLOR」連載第257回〜BLUE〜
1990年代以降、ビルボードのアルバムチャートは売り上げに基づいた集計方法に変わった。さらにゼロ年代に入るとネット配信が普及してCDやアルバムが売れなくなった。その影響もあって現在のチャートはほぼ毎週のようにナンバーワンが入れ替わり、すぐにトップ10圏外へランクダウンしてしまう(その代わりに年に数枚だけビッグヒットが生まれる)。だが70〜80年代はナンバーワンになること自体が困難で、言い換えればそれらは「時代のサウンドトラック」として確かに機能していた。5月にはどんなアルバムがナンバーワンになったのだろう?
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ローリング・ストーンズ『Black and Blue』(1976)
当時、ロン・ウッドを新メンバーに迎え入れたストーンズ第3章の幕開け的作品(4週1位)。ワルなR&Rやレゲエナンバー以上に、「Memory Motel」「Fool to Cry」といったメロウな曲が本作のロマンス。インナージャケット(下の写真)で夜のビーチに佇むメンバーの姿もそんな世界観を象徴。
ビートルズ『1967–1970』(1973)
いわゆる「青盤」として知られ、今も売れ続けるビートルズの公式ベスト盤(1週1位)。タイトル通り、彼らのキャリア後半の代表曲がずらりと並ぶ。ビートルズという名前や存在を知らない世代が当たり前となった現在。「赤盤」と併せて入門編として最適な作品集。もしこれで何も感じなければ、ロックとは縁がないと思っていいだろう。
スーパートランプ『Breakfast in America』(1979)
英国出身のプログレ・バンドだた彼らが、アメリカに移住して文化を吸収しながらポップ路線へと転向。そして放ったのが大ヒットした本作(6週1位)。「The Logical Song」「Take the Long Way Home」「Goodbye Stranger」などのシングルヒットが生まれた。こうして見ると、改めてアルバムジャケットの力を感じる。もし違うものであったならここまでヒットしなかったはずだ。
エイジア『Asia』(1982)
元キング・クリムゾンのジョン・ウェットン、元イエスのスティーヴ・ハウとジェフリー・ダウンズ、元エマーソン・レイク&パーマーのカール・パーマーらによって結成された英国プログレ系スーパーグループ、エイジア。本作は彼らのデビュー作(9週1位)で大ヒットを記録。80年代を代表する名曲「Heat of the Moment」を収録。印象的なアートワークはイエスとの仕事で知られるロジャー・ディーン。
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