「本物の音楽」が持つ“繋がり”や“物語”を毎日コラム配信

TAP the POP

TAP the LIVE

エド・サリヴァン・ショーに出演したビートルズが全米の若者にもたらした衝撃

2025.02.08

Pocket
LINEで送る

「あの夜エド・サリヴァン・ショーを見ていなかったら、今日の僕はないと断言できる。この世に存在してさえいなかったかもしれない。僕の人生が活力に満ちているのも彼らのおかげなんだ」


そう語ったのは、当時14歳の少年だったビリー・ジョエルだ。

人気バラエティ番組「エド・サリヴァン・ショー」にビートルズが登場したのは、1964年2月9日のこと。

わずか14分の出演時間だったが、「オール・マイ・ラヴィング」「シー・ラヴズ・ユー」「抱きしめたい」など計5曲を披露した。

ビートルズが動く姿を一目見ようとおよそ7500万人もの人たちがチャンネルを合わせ、視聴率は脅威の60%を記録、“ビートルズが出演している間は全米の青少年犯罪件数がゼロだった”という逸話まで生まれた。


エド・サリヴァン・ショーが放送された翌日には、街中の楽器屋に多くの少年たちがギターを求めて駆け込んだという。その中には若き日のブルース・スプリングスティーンやトム・ペティの姿もあった。

「座って見ていたのをはっきりと覚えている。とにかくすごかったよ。まるで地軸が傾いたような…あるいは宇宙人が侵略してきたような衝撃だった」(ブルース・スプリングスティーン)

「ぼくの人生を変えたパフォーマンスの1つだ。その瞬間まで仕事としてロックを演奏するなんて考えたこともなかったよ」(トム・ペティ)


エド・サリヴァン・ショーでのビートルズは若者たちに計り知れないほどの影響をもたらしたが、一方でアメリカのメディアは「性別不明、光るものがない」「騒々しいだけのバンド」などと報じた。

それまでイギリスの音楽とアメリカのマーケットには、高くて大きな壁があった。当時イギリスでもっとも人気のあったクリフ・リチャードですら、アメリカ進出は失敗に終わっていたのだった。

ビートルズとて例外ではなく、前年の7月にリリースしたアメリカにおけるデビュー・アルバム『イントロデューシング・ザ・ビートルズ』は全くヒットしなかった。

流れが変わったのは秋の終わり頃、ラジオでイギリスからの輸入盤が流れて火がつき始めていた「抱きしめたい」が、1963年の12月26日にリリースされると、わずか3日間で25万枚を売り上げたのだ。

その勢いは衰えることなく、翌年2月1日にはついに全米1位まで登りつめた。
詳しくはこちらのコラムで

そこから間髪入れず、9日には前述のエド・サリヴァン・ショーに出演して、センセーションを起こした。そして12日には格式高いことで知られるカーネギー・ホールでのコンサートを成功させると、16日には再びエド・サリヴァン・ショーに出演した。

テンポよく展開していった「エド・サリヴァン・ショー」とカーネギー・ホールでのコンサートだったが、これらは「抱きしめたい」のヒットを受けて決まったものではない。カーネギー・ホールでのコンサートは驚くべきことに、1年前から決まっていたものだった。

1962年10月、イギリスの新聞を賑わせているビートルズの名に目をつけたのが、アメリカでプロモーターをしていたシド・バーンスタインだ。イギリスにおける彼らのニュースは日を追うごとに大きくなっていき、これはタダ事ではないと感じ取ったという。

「プロモーターとして、私は『勝負の時だ』と思った。アメリカでは誰も彼らを知らなかったけど、絶好のタイミングだと思った。単なる直感だったけどね」


そして1963年の2月にマネージャーのブライアン・エプスタインと連絡をとると、彼らの音楽も聴かずにカーネギー・ホールでのコンサートを契約したという。

一方エド・サリヴァンもその年の夏にヨーロッパを訪れた際に、イギリスにおけるビートルズの圧倒的な人気を知って出演交渉を持ちかけた。すると、2月にカーネギー・ホールでコンサートをやるということで、その前後での出演をブライアンに取り付けた。

ビートルズからただならぬ何かを感じ取って動いた2人だが、イギリスのバンドがアメリカで成功した例などなく、はたから見れば無謀とも思われただろう。

しかし彼らの直感は見事に的中し、年が開けて1964年になると「抱きしめたい」が全米1位となり、エド・サリヴァン・ショーとカーネギー・ホールでのコンサートは、最高のタイミングで本番を迎えたのである。

これによってビートルズのアメリカ進出は前代未聞の大成功を収め、4月には全米チャートの1位から5位を独占するという快挙を成し遂げる。

イギリスの音楽シーンとアメリカとの間にあった壁は乗り越えられて、ブリティッシュ・インヴェイジョン(イギリスの侵略)と呼ばれる新たな時代が到来する。

(注)本コラムは2015年11月3日に公開したものです。


エド・サリヴァン presents ザ・ビートルズ ノーカット完全版 [DVD]

●Amazon Music Unlimitedへの登録はこちらから
●AmazonPrimeVideoチャンネルへの登録はこちらから

★2つの大切なお知らせ★


【一夜限りのスペシャルライブが実現! 人気のチケットはお早めに!!】

TAP the POPが初ライブイベント『音楽愛』(ONGAKU LOVE)を開催します。
豪華6組の弾き語り&バンドが出演。さらにゲストを迎えたトークショー、
次世代の音楽シーンを担う新しい才能も紹介します。
二度とないアーティストの組み合わせは、誰かに語れる貴重な体験になります。

「もう何年も何十年もライブハウスに行ってない」
「生で音楽を楽しむことの興奮を取り戻したい」
……そんな人も大歓迎。“音楽愛”の復活を共に祝福しましょう!

TAP the POP 音楽愛 (ONGAKU LOVE)
2025.2.28 FRI @横浜 ReNY β
OPEN18:00/START18:30


▼出演
冷牟田竜之(ex東京スカパラダイスオーケストラ/Taboo)
山口洋 (HEATWAVE)
ショコラ&アキト(片寄明人/ GREAT3)
イエロースタッズ
THESE THREE WORDS(冷牟田竜之)
金子駿平
佐々木モトアキ
吉澤成友(YOUR SONG IS GOOD)


★チケット入手方法

※「通常チケット「スペシャルチケット」の2種類があります。

①通常チケット (人気上昇中につきお早めに!)
受付 : e+(イープラス)
受付期間 : なくなり次第終了
料金 : ¥6,600

▼通常チケットの購入はこちらから
https://eplus.jp/sf/detail/4257420001-P0030001P021001?P1=1221

②スペシャルチケット(リハ見学・記念撮影・サイン入りTシャツ・書籍・特設ページ名前入れなど数量限定)
受付 : CAMPFIRE(クラウドファンディング)
受付期間 : 2025年2月20日(木)18時まで
料金 : ¥8,000~¥50,000

▼スペシャルチケットの詳細・お申し込みはこちらから
https://camp-fire.jp/projects/view/811070

▼スペシャルライブイベント『音楽愛』について
https://www.tapthepop.net/extra/127354


【ご支援ご協力のお願い】

「音楽が秘めた力を、もっと多くの人々に広めたい」
「音楽が持つ繋がりや物語を、次の世代に伝えたい」
音楽コラムサイト『TAP the POP』は、今後の活動に向けてクラウドファンディングを実施中です。



豪華6組の弾き語り&バンドが出演する一夜限りライブの「スペシャルチケット」をはじめ、参加できない人のために、“ここでしか手に入らない”グッズや書籍のリターンをご用意しました。

この機会にぜひ❝音楽愛❞を一緒に育ててくれませんか。応援よろしくお願いいたします(下記の「音楽愛」ページで経緯や想いを綴りました)。

~リターンメニューのご紹介~
♪初開催ライブイベントのスペシャルチケット(数量限定/2月20日締切)
♪Tシャツなど7種の限定デザイン&ロゴ入りグッズ
♪約4,000本の原稿から厳選するベスト盤的書籍
♪ご支援いただいた全員の方を「音楽愛メンバーの証」として特設ページで名前入れ

▼ TAP the POPクラファン「音楽愛」ページ(CAMPFIRE内)
https://camp-fire.jp/projects/view/811070

●CAMPFIREでアカウントを作成してから(簡単にできます)、TAP the POPのクラファンページに「お気に入り登録」をよろしくお願いします。最新情報がいち早く届くのでオススメです。
●「音楽愛」に共感してくれそうなお友達やお仲間がいたら、TAP the POPのクラファンページをシェア・拡散してください。よろしくお願いいたします。

Pocket
LINEで送る

あなたにおすすめ

関連するコラム

[TAP the LIVE]の最新コラム

SNSでも配信中

Pagetop ↑

トップページへ