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ジミ・ヘンドリックスが初めてギターを燃やした日

2024.09.18

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歯でギターを弾いたり、背面でギターを弾いたりと、数多くの衝撃的なパフォーマンスを生み出したジミ・ヘンドリックス。中でもギターを燃やす有名なパフォーマンスが生まれたのは、1967年3月31日のことだ。

その日、ロンドンのとあるライブハウスでは、ウォーカー・ブラザーズの解散ツアーが初日を迎えていた。前座として出演するバンドの中には、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの名も連なっていた。

アメリカ北西部のワシントン州で育ったジミは、当時からすでに誰も寄せ付けない神業的なギターの腕前だった。だが、黒人差別が根強く残っていたアメリカよりも、イギリスのほうが受け入れられやすいだろうという理由から、前年の9月に活動の拠点をニューヨークからロンドンに移していた。

この日の出演者はウォーカー・ブラザーズ、エンゲルベルト・フンパーディンク、キャット・スティーヴンスら名のあるアーティストたちだった。

まだ無名だったジミは、どうすればライブをもっと盛り上げられるかと、出番を待つ合間にスタッフと楽屋で話し合っていた。

「もしジミがギターに火を点けたらどうなるだろうね(笑)」


ジミの広報を担当していたキース・アルサムは冗談のつもりで言ったのだが、「悪くないね」と思ったジミは、スタッフにライターを買いに行かせたという。

その日の夜。ジミのライブは「Foxy Lady」から始まり、「Can You See Me」「Hey Joe」「Purple Haze」と続いた。そして最後の曲、その名も「Fire」で伝説のパフォーマンスは生まれた。

俺が熱望するものはたった一つ
お前の火で卒倒させてくれ


曲が終わろうというところで、ついにジミはギターに火を点けた。前代未聞のパフォーマンスを目の当たりにして、観客が唖然としたのは言うまでもない。この時、手に軽い火傷を負ったジミは、出番が終わるとすぐに病院に向かったという。

この事件によってジミの名はさらに広まり、6月にはポール・マッカートニーの推薦もあってアメリカ最大のフェス、モンタレー・ポップ・フェスティバルに出演することになる。

そこで圧倒的なライブ・パフォーマンスを披露するとともに、再びギターに火を点けたことによって、ジミ・ヘンドリックスの本当の伝説が始まろうとしていた。


(2013年11月19日に公開/2015年3月31日に改訂)


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