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キング・オブ・ロックンロール・フォトグラファー、写真家ジム・マーシャルの哲学

2024.03.24

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ビートルズが最後のコンサートを行なったのは1966年8月29日、サンフランシスコのキャンドルスティック・パークだった。

その模様をカメラに記録したのが、ジム・マーシャルだ。ジムはビートルズ最後のコンサートでバック・ステージに入ることを許可された、ただ一人の写真家だった。

「ひとの写真を撮るということは相手がそれを承知していようがいまいが—わたしにとっては契約だ、ということです。信頼されているし、信頼しているということです」


「キング・オブ・ロックンロール・フォトグラファー」とも謳われたジムは、被写体に対して無制限に近づけるアクセス権をミュージシャン側に要求した。作為的な写真を嫌い、もっぱら自然光を好み、ドキュメンタリー的に撮るジムにとって、それが唯一で絶対の条件だった。

名立たるミュージシャンたちが彼の前では、日頃の警戒心を解いてさりげない瞬間を見せている。

ボブ・ディラン、ローリング・ストーンズ、ジミ・ヘンドリックス、マイルス・デイビス、ジョニー・キャッシュ……。モノクロ写真の一枚一枚を眺めているだけで、彼らの人間性や音楽が伝わってくるかのようだ。そしてブライアン・ジョーンズ、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョップリン、ジム・モリソン、いずれも27歳で亡くなったスーパースターたちである。

何とも言いようのない気配を漂わせているジム・モリソンの瞳を、一瞬にして捉えることができたのも、決して偶然などではないだろう。時代の空気をつかまえる射撃手のような感性が、お互いに音楽を通して共有できていたからこそ起こり得た奇跡だった。



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