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片想い──インディー・シーンを彩るクセ者たちが届ける、ソウルフルな傑作

2017.09.04

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僕音楽やめてもいいよ
でも音楽止めたらヤダよ
(「party kill me(パーティーに殺される!)」より)


ヴォーカルの片岡シン、ザ・なつやすみバンドやceroなど数々のバンドやセッションで活躍するMC.sirafuを中心に2003年ごろに結成されたバンド、片想い。現在はあだち麗三郎(あだち麗三郎クワルテット、cero他)、伴瀬朝彦(ホライズン山下宅配便他)、オラリー(I♡A、カジメラ)ら、インディー・シーンを彩る一癖も二癖もあるミュージシャン8人で活動する彼らを一言で表すなら、「生活と音楽に境目がない人たち」とでも言おうか。

メンバーには専業ミュージシャンとして活動している者もいるが、たとえば片岡は下町で風呂屋を経営していたり、オラリーは出産して子育てに勤しんでいたりと、マイペースに個々の暮らしを育んでいる。そうしたそれぞれの生活から生まれた想いや、見つめた風景や耳にした音、感じた味、匂い……などなどをお互いに持ち寄っては、ソウルやファンクをベースにしたバンド・サウンドでポップに切り取っていく。

3年ぶり2作目となるアルバム『QUIERO V.I.P.』で奏でられる多彩な楽曲群から連想するのは、多様な考え方や生き方をもった人たちが集う社会の縮図だ。それはたとえば居酒屋だったりクラブだったり路上だったり、あるいは銭湯だったり。足を運んだ理由は各々違えど、そこに集う者たちが時間を共有して語り合い、泣き笑いしては、想いに任せて声を上げる。そこにメロディが生まれれば、想いはさらに重なりあって強くなっていく。

音楽が無くても人は全然生きられるが、音楽があれば人生は絶対に色鮮やかなものになる──片想いの音楽は、日々の生活を目一杯に謳歌することが大切なのだと、一緒に歌って踊っているうちにさりげなく気づかせてくれる。

片想い『QUIERO V.I.P.』

片想い
『QUIERO V.I.P.』

(カクバリズム)


official website
http://kakubarhythm.com/
http://www.kakubarhythm.com/special/quierovip/

片想い「Party Kills Me (パーティーに殺される!)」 MV


『片想い&KAKUBARHYTHM present “片想インダ公園”』
9月9日(土)東京・上野恩賜公園野外ステージ
LIVE:片想い/七尾旅人/MOODMAN
FOOD:アジアカレーハウス/上野萬屋酒店/ヤスダ屋


*本コラムは2016年8月29日に初回公開した記事に追加修正したものです。

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