男は女に物を買い与える。
だが女はそのことを、街中で言いふらす。
プレゼントの値段まで大声で。
そして歌の主人公は、この男に言い聞かせるのだ。
悲しい、悲しい真実。醜い現実さ
つい最近も、どこぞの大企業の経理担当がキャバクラに通い詰めて何億円も貢いだ、なんてニュースがあったが、ボズ・スキャッグスの「ロウダウン」はまさに、そんな曲だ。
このヒット曲が生まれたのは1976年。
ブルース・シンガーとしてデビューしたものの鳴かず飛ばずだったボズを一気にスターへと押し上げ、その後彼はAOR(懐かしい響きだ。アダルト志向のロックのこと)の顔となっていくわけだが、この曲は、デヴィッド・ペイチとの共作である。
ペイチはその後、これまた代表的AORバンドとなるTOTOを結成するわけだが、ふたりはプロデューサーをきっかけに出会い、ロスの郊外で合宿し、初めて書いた曲が「ロウダウン」だった。
「ロウダウン」は、1950年代から使われ始めたスラングで、最低な現実、といった意味らしい。曲名として最初に登場するのは、1969年、ジェイムス・ブラウンの「Lowdown Popcorn」。
最低なポップコーンって、どんな味がするんだろう。そして1971年には、シカゴの3枚目のアルバムの中に「ロウダウン」という曲がある。こちらは、愛するアメリカのひどい現実を歌ったものだ。
女性にしろ、食べ物にしろ、社会にしろ、いつだって最低のものは最低だ。そしてポップソングはいつだって、最高や最低について、歌ってきたのだ。


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