「本物の音楽」が持つ“繋がり”や“物語”を毎日コラム配信

TAP the POP

TAP the CHART

1991年はレッチリがブレイクして、ニルヴァーナの伝説的アルバムがリリースされた

2015.03.20

Pocket
LINEで送る

「TAP the CHART」第9回は、1991年を取り上げます。まずはシングルとアルバムの年間チャートTOP 10から。

【1991年のBillboard年間チャート】

★TOP 10 SINGLES

❶(Everything I Do) I Do It for You / Bryan Adams
❷I Wanna Sex You Up / Color Me Badd
❸Gonna Make You Sweat (Everybody Dance Now) / C+C Music Factory
❹Rush Rush / Paula Abdul
❺One More Try / Timmy T
❻Unbelievable / EMF
❼More Than Words / Extreme
❽I Like the Way (The Kissing Game) / Hi-Five
❾The First Time / Surface
❿Baby Baby / Amy Grant


★TOP 10 ALBUMS
❶Mariah Carey / Mariah Carey
❷No Fences / Garth Brooks
❸Shake Your Money Maker / The Black Crowes
❹Gonna Make You Sweat / C+C Music Factory
❺Wilson Phillips / Wilson Phillips
❻To the Extreme / Vanilla Ice
❼Please Hammer, Don’t Hurt ‘Em / MC Hammer
❽The Immaculate Collection / Madonna
❾Empire / Queensrÿche
❿I’m Your Baby Tonight / Whitney Houston

スクリーンショット(2015-03-18 16.40.44)
【1991年の主な音楽的出来事】
○この年のロックシーンは久しぶりに活気を取り戻した。ガンズ・アンド・ローゼズやメタリカといった80年代からメジャーシーンで活躍するHR/HMバンドが待望の新作を発表する中、ニルヴァーナやパール・ジャムといった新たなグランジ勢、ミクスチャーのレッド・ホット・チリ・ペッパーズらが大ブレイク。ロック自体の地殻変動が起こって時代は確実にオルタナティヴへと突入した。この流れはR.E.M.などのインディー出身のバンドにも光をあてることになり、U2の新作はオルタナ時代へアプローチした。チャートアクションではC+Cミュージック・ファクトリーやマライア・キャリーが注目を集める中、ナタリー・コールが亡き父ナット・キングとのデュエットで魅了した。

○パール・ジャムの『Ten』が8月に、ニルヴァーナの『Nevermind』が9月にリリースされる。特に後者はマイケル・ジャクソンのアルバムを蹴落として、92年初めにナンバーワンの座に。シアトル発のグランジムーヴメントはこの年から全米規模に広まって行った。サウンドガーデン、アリス・イン・チェインズ、スマッシング・パンプキンズなどがシーンを形成した。

ニルヴァーナのアルバムはこの年の9月24日、シングル「Smells Like Teen Spirit」は9月10日にリリースされた。

○ガンズ・アンド・ローゼズが4年ぶりとなる新作『Use Your Illusion I』と『Use Your Illusion II』を2枚同時リリースして話題に。グランジ勢の台頭やオルタナティヴ時代の幕開けによって、それまでロックシーンの中心にいたハードロック/ヘヴィメタル勢が放った最後の花火的作品となった。

○メタリカが『Metallica』をリリースして大ヒットに。スピード重視のスラッシュメタルからダークでヘヴィなサウンドへ転化して、オルタナティヴ時代にガンズ・アンド・ローゼズとはまた違う形で足跡を残した。

○レッド・ホット・チリ・ペッパーズが『Blood Sugar Sex Magik』をリリース。80年代半ばより一貫したミクスチャー・ロックを演り続けてきた彼らの大出世作となった。

○ジェーンズ・アディクションのペリー・ファレルがラストツアーのつもりで企画したフェス型ツアー『ロラパルーザ』が大成功。ナイン・インチ・ネイルズやロリンズ・バンドなども出演し、オルタナティヴ・ロックのムーヴメント化へ繋がった。翌年以降も開催されて話題になった。

○西海岸ギャングスタ・ラップの伝説的グループ、N.W.Aのアルバム『Niggaz4Life』が全米1位を獲得。ドクター・ドレーやアイス・キューブが在籍していた。

○クイーンのフレディ・マーキュリーがエイズで亡くなった。享年45。彼の死後、クイーンの作品に再び脚光。

○オペラ界の3大テノールとして有名な、ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラスによる競演ライブ盤が大ヒット。

○エニグマがデビューアルバム『MCMXC a.D.』をリリース。グレゴリア聖歌を取り入れた「Sadeness」が世界中で大ヒット。

○ダイナソーJr.がメジャー第1弾『Green Mind』をリリース。
○マッシヴ・アタックがトリップホップの元祖的作品『Blue Lines』をリリース。
○プライマル・スクリームが『Screamadelica』をリリース。
○マイ・ブラッディ・ヴァレンタインがシューゲイザー・サウンドの金字塔『Loveless』をリリース。
○ジョージ・ハリソンが17年ぶりのツアーを実施。
○ポーグスから看板のシェイン・マガウアンが脱退。
○ガンズ・アンド・ローゼズからイジー・ストラドリンが脱退。
○ヒットを量産していたユーロビートのプロデュースチーム、SAW(ストック・エイトケン・ウォーターマン)が活動を停止。

○1991年に亡くなったミュージシャン
スティーヴ・クラーク<デフ・レパード>(1月8日)
セルジュ・ゲーンズブール(3月2日)
スティーヴ・マリオット(4月20日)
ジョニー・サンダース(4月23日)
ジーン・クラーク<バーズ>(5月24日)
デヴィッド・ラフィン<テンプテーションズ>(6月1日)
スタン・ゲッツ(6月6日)
ドティ・ウエスト(9月4日)
マイルス・デイヴィス(9月28日)
フレディ・マーキュリー(11月24日)

【1991年のBillboard1位獲得シングル/アルバム】○内数字は獲得した週。
*ビルボードはこの年の11月30日より売り上げベースに比重をおいた集計方法にチャートを変更した。
★SINGLES
Justify My Love/Madonna ②
Love Will Never Do (Without You)/Janet Jackson ①
The First Time/Surface ②
Gonna Make You Sweat (Everybody Dance Now)/C+C Music Factory
featuring Freedom Williams ②
All the Man That I Need/Whitney Houston ②
Someday/Mariah Carey ②
One More Try/Timmy T ①
Coming Out of the Dark/Gloria Estefan ②
I’ve Been Thinking About You/Londonbeat ①
You’re in Love/Wilson Phillips ①
Baby Baby/Amy Grant ②
Joyride/Roxette ①
I Like the Way (The Kissing Game)/Hi-Five ①
I Don’t Wanna Cry/Mariah Carey ②
More Than Words/Extreme ①
Rush Rush/Paula Abdul ⑤
Unbelievable/EMF ①
(Everything I Do) I Do It for You/Bryan Adams ⑦
The Promise of a New Day/Paula Abdul ①
I Adore Mi Amor/Color Me Badd ②
Good Vibrations/Marky Mark and the Funky Bunch
featuring Loleatta Holloway ①
Emotions/Mariah Carey ③
Romantic/Karyn White ①
Cream/Prince and the New Power Generation ②
When a Man Loves a Woman/Michael Bolton ①
Set Adrift on Memory Bliss/P.M. Dawn ①
Black or White/Michael Jackson ⑦*翌年3週分含む

1991年のナンバー1ヒットは27曲。

★ALBUMS
*ビルボードはこの年の5月25日より売り上げベースに基づいたチャートの集計元を変更した。
To the Extreme/Vanilla Ice ⑯*前年8週分含む
Mariah Carey/Mariah Carey ⑪
Out of Time/R.E.M. ②
Time, Love & Tenderness/Michael Bolton ①
Spellbound/Paula Abdul ②
Niggaz4Life/N.W.A. ①
Slave to the Grind/Skid Row ①
For Unlawful Carnal Knowledge/Van Halen ③
Unforgettable… with Love/Natalie Cole ⑤
Metallica/Metallica ④
Ropin’ the Wind/Garth Brooks ⑱*翌年10週分含む
Use Your Illusion II/Guns N’ Roses ②
Achtung Baby/U2 ①
Dangerous/Michael Jackson ④*翌年1週分含む

【1991年の全米ベストセラーアルバム】
○1600万枚/メタリカ『METALLICA』
○1400万枚/ガース・ブルックス『ROPIN’ THE WIND』
○1300万枚/パール・ジャム『TEN』
○1000万枚/ニルヴァーナ『NEVERMIND』

【1991年のグラミー賞】
最優秀レコード/ナタリー・コール「Unforgettable」
最優秀アルバム/ナタリー・コール『Unforgettable… with Love』
最優秀ソング/ナタリー・コール「Unforgettable」
最優秀新人/マーク・コーン

【1991年のMTVアワード】
ビデオ・オブ・ジ・イヤー/R.E.M.「Losing My Religion」

年度ごとの音楽の出来事やヒットが分かる!〜TAP the CHARTのバックナンバーはこちらから

【執筆者の紹介】
■中野充浩のプロフィール
https://www.wildflowers.jp/profile/
http://www.tapthepop.net/author/nakano
■仕事の依頼・相談、取材・出演に関するお問い合わせ
https://www.wildflowers.jp/contact/

Pocket
LINEで送る

あなたにおすすめ

関連するコラム

[TAP the CHART]の最新コラム

SNSでも配信中

Pagetop ↑

トップページへ