「本物の音楽」が持つ“繋がり”や“物語”を毎日コラム配信

TAP the POP

TAP the DAY

ロックンロールの創始者チャック・ベリー伝説〜憧れのマディ・ウォーターズと交わした運命の一言、遅咲きのデビューからの快進撃

2022.03.18

Pocket
LINEで送る


ロックンロールの音楽を聴かせてくれよ
古くさい方法でもいいからさ
忘れられないようなバックビートを奏でてくれよ
古い風習に縛られていても、その音を聴けば
ロックンロールが感じられるように 
僕と一緒に踊りたいならさ
僕と一緒に踊りたいんだろう?


ボ・ディドリーやリトル・リチャードと並び“ロックンロールの創始者の一人”として知られている伝説の男チャック・ベリー。
ビートルズのジョン・レノンが「ロックンロールに別名を与えるとすれば“チャック・ベリー”だ」と発言しているほど、後進のロックアーティストたちに多大な影響を与えてきた彼。
そんな“生きる伝説”のような彼は一体どんな人生を歩んできたのだろう?

──1926年、彼はミズーリ州セントルイスに住む家庭の6人兄弟の真ん中として生まれる。(一部の伝記ではカリフォルニア州サンノゼ生とする説もあり)
幼いころから聖歌隊に入り音楽に親しんできた彼だったが、高校時代には不良仲間に影響され様々な悪事に手を染めて警察のお世話になったことも数多くあったという。
1953年、27歳になった彼はピアニストのジョニー・ジョンソンが率いるトリオバンドにギタリストとして加入する。
ある日、彼はブルース界の大御所マディ・ウォーターズから“人生を変えるアドバイス”をもらい、その直後にブルースの名門チェスレコードとの契約を結ぶ。

ある日俺は新車の遠乗りがしたくなって、シカゴに親戚がいるという友達のラルフと2人でシカゴへとドライブしたんだ。
ラルフの親戚の家でご馳走になった後、俺達はシカゴのサウスサイドのブルースの生演奏が聴けるクラブをハシゴしてまわった。
そこでハウリング・ウルフ、エルモア・ジェームスのステージを観たんだ。
とても感動したし!興奮して聴き入ったよ!
そして、今度は憧れのマディ・ウォーターズが出演するクラブへ行ったんだ!
マディは最後のセットのラストナンバー「Got My Mojo Working」を演奏中だった。
演奏が終わると群がるファンをかきわけ、マディのサインを貰うために突進してくれたラルフのおかげで、俺はマディと口をきくチャンスができた。
大統領か法王に、お目どおりするような気分だった俺は、曲の素晴らしさを褒めた後、単刀直入に「レコードをつくるにはどうすればいいのか?」と聞いてみた。
大勢のファンが声をかけようとひしめく中で、マディは俺の質問に答えてくれたんだ。
「レナード・チェスに会ってみろ!そう47丁目とカテッジの角にあるチェスレコードさ!」
俺に音楽を愛することを教えてくれた人。
俺の音楽に最も大きな影響を与えた人。
それがブルース界のゴッドファーザー、マディだ!


1955年、29歳にしてシングル「メイベリーン」で遅咲きのデビューを果たした後、彼は数年間に渡り「Roll Over Beethoven」、「Rock ‘n’ Roll Music」、そして代表曲となる「Johnny B. Goode」、「Carol」を発表しながら、ライブでおなじみとなった“ダックウォーク”で観客を楽しませ、一躍スターへの階段を登りつめてゆく。
ところが人気絶頂の1959年(当時33歳)、チャック・ベリーは14歳の少女に売春を強要した容疑で逮捕され、3年間収監される身となる。
釈放後、黒人差別、金銭トラブルなど辛い経験をする中で、彼は疑心暗鬼に陥ってしまう。
「だれも信用できない…」ギターケースを抱えて、彼はたった1人でツアーを行うようになる。
初来日は1981年、55才の時だった。
当時、日本公演で彼のバックバンドを務めたのは、日本人のドラマーとピアニスト、そして白人のベーシストだった。
その時の様子を知る音楽ファンによると、演奏はかなりグダグダだったらしいが…マネージャーも帯同せずにバックバンドを現地調達することが多かった彼にとっては“普通”のことだったのかもしれない。
彼は翌年にも来日し、横浜スタジアムなどで当時人気絶頂だったRCサクセション、サム&デイヴ解散後のサム・ムーアとの共演イベント『THE DAY OF R&B』にも出演している。
1986年(当時60歳)、彼がロックの殿堂入りを果たした際に選考委員は「ロックンロールを創造した者を一人に限定することはできないが最も近い存在はチャック・ベリーだ」とコメントしている。


また同年、ローリング・ストーンズのキース・リチャーズが中心となり、彼の故郷セントルイスで生誕60周年記念コンサートを行う。
そのときの様子が翌年、映画『ヘイル!ヘイル!ロックンロール』として公開されて大きな話題となった。

【オフィシャルサイト】
http://chuckberry.com


【佐々木モトアキ プロフィール】
https://ameblo.jp/sasakimotoaki/entry-12648985123.html

【TAP the POP佐々木モトアキ執筆記事】
http://www.tapthepop.net/author/sasaki


Pocket
LINEで送る

あなたにおすすめ

関連するコラム

[TAP the DAY]の最新コラム

SNSでも配信中

Pagetop ↑

トップページへ