「この曲はカート・コバーンについて書かれた曲ですか?」
フーファイターズの新曲が出るたびに、幾度となく同じ質問をされてきたというデイヴ・グロール。ニルヴァーナについての質問をされても、いつだって嫌な顔ひとつせず誠実に答えてきた男だ。
だけど、大事な人を失った時の喪失感や無力感、大切な誰かを失ってしまうんじゃないかという危機感、そういった感情が形になって曲が出来上がる時には、
待てよ。これは歌わない方がいいのかもしれない。きっとみんなは、俺がカートのことを歌ってるって思うだろう
と感じて、途中でやめてしまったことも何度かあった。
カートとの関係は、デイヴ自身の人生におけるいろいろな人との関係の中で、唯一多くの人が知っているものだ。しかし、誰かが曲を聴いて好きになる時はその人自身のことに置き換えて好きになるのだから、具体的な曲の説明をしてそのことを台無しにしたくはないと、デイヴは言う。
一番大事なのは誰についての曲ではなく、何についての曲かってことなんだ。
「Best Of You」
2005年に発売されたアルバム『In Your Honor』から最大のヒットとなった「Best Of You」。この曲もカートに対して歌っているとファンの間ではささやかれるが、デイヴ・グロールによると、この歌は“縛り付けるものからの脱却”について歌っているのだという。彼らのライブの定番曲としても人気の高い1曲だ。
「ザ・ベスト!ザ・ベスト!ザ・ベスト!」というポジティヴな言葉の繰り返しが、聴く者を強く前向きな気持ちにさせてくれる。だがこの歌詞に使われる「get the best of~」は、「~をやっつける」「~を打ち負かす」という意味なのだ。
誰かが君を打ち負かそうとしているのか?
誰かが君をやっつけようとしているのか?
誰かが君の信念を奪ってしまったのか?
その真実、君が感じる痛みを
信じて、告白するべきなんだ
誰かが君を打ち負かそうとしているのか?
ニルヴァーナがなかったら、今の自分はないと語るデイヴ。長い間ニルヴァーナに対する敬意とフー・ファイターズへの思いのバランスをうまく取らなければならなかったと言う。
フー・ファイターズは『人生は続いていくものなんだ』っていうことを証明するために始めたバンドだったから。
生き残れる、乗り越えられるということ、希望があるということ、生きていればいいことがあるということを証明するためにやってきた。だから、その希望を悲嘆で覆い隠してはいけないんだと語る。
俺の頭が生きるか死ぬかを迫る
だけど選ぶことなんてできない
ただ俺は絶対に屈しないよ
おことわりだぜ
1997年のフジロック・フェスティヴァル第1回目開催時に出演してから、2000年、2005年に続き4度目の出演となるフー・ファイターズ。今年のソニック・ハイウェイズ・ツアーのセット・リストを見ても必ず演奏されているこの曲。「ザ・ベスト!ザ・ベスト!ザ・ベスト!」とぜひともみんなで大合唱したい。
「Best Of You」(ライヴ・アース2007より)
※参考文献:クロスビート・スペシャルエディション「デイヴ・グロール」シンコーミュージック/文中のデイヴ・グロールの言葉はインタビューからの引用
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